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プリズム、日常への刺激

陶芸家 富田啓之/個展「prism 10」4月17日(日)〜24日(日)

※終了しました。

プリズム、日常への刺激
陶芸家、富田さん。個展初日ご本人のドレスコードは“猫”だった模様

「水を飲む、ってだけのところをどこまで刺激させることができるかな、みたいなのは大事だと思います」と、今まさに刺激的な非日常の雰囲気を帯びた作品群に囲まれながら、富田さんは落ち着いた声で語ってくれた。

プリズム、日常への刺激
入口は静謐な佇まい。「タナトス」と名付けられた作品が迎えてくれる

刺激。その単語は彼の作品にはふさわしい言葉だ。

けれど、彼が作品を作る上で考えていることを聞いていくと、彼が口にしたのはごくごく当たり前の日常的な行為についてだった。例えば、「水を飲む」。

現在、個展を開催中の陶芸家、富田啓之さん。今回は初開催の個展と同じ会場で、10年目のメモリアル的な展示。ギャラリーは、藤沢駅北口という、地元の人間でなければ馴染みはないかもしれないディープなエリアにある。オーナー自身もアーティストであり、高い天井に渡った鉄骨の梁は、ギャラリーそのものも特別な存在であることを物語る。

富田さんは、大磯出身、現在は二宮町在住であり、作業場は伊勢原市と、経歴には耳馴染みのある地名が続く。「仕事ということで言えば、都内も、大阪も、行きますし」。とはいえ、活動の拠点自体を、大きく移動させる、と考えたことはなかったのだろうか。

プリズム、日常への刺激
作品にもご本人にも、チャーミングな面が垣間見える

「僕が作っているものって、結局生活に密着しているものなんです」。器はもちろんのこと、彫刻的な作品も、部屋に飾ってもらってこそ。どんな作品も、結局は人の暮らしを彩るものを作っているのだと。

「例えば野心みたいなものは、当然向上心の表れではあるんですけど、結局のところやっぱり、身近な人間が楽しめないと。楽しめるものを作ることができないと、将来的に成功すると思えない」

プリズム、日常への刺激
個性的でありながら、空間との調和を感じる
プリズム、日常への刺激
縄文土器のような形と、キラキラした色は不思議とマッチする

「縄文土器って多分、実際使ってた時は相当すごいのを使ってたんです」。話題は経年変化が起こる前の、リアルタイムな縄文時代へ。「かなりド派手だったんだろうなって」。

近所のおばちゃんを楽しませられる人間になっていかないと、作ることの本質は見えない。「外を見る目も大事だけど、身近な人たちが意外と欲しているというか、それを感じるから」。

それはつまり、彼が大切に考えているところの、刺激。そうして、身近な大事にしたいもの、と口にするのは出身地、大磯のイベントだった。

富田さんは、「大磯うつわの日」というイベントの主催者でもある。町の中、ギャラリーではないところで器を販売し、去年で5回目の開催。毎年3千人くらいの人がイベントにやってくるという。

プリズム、日常への刺激
個展のタイトルに相応しく、軽やかなきらめきがある

「喜んでもらいたいって気持ちがすごい強くて、展示をやっていても、また今回もおもしろいものやっているね、って。人というか、空間ありきなんですね」

富田さんの作品はもちろん魅力的だ。けれど作品単体だけではなく、会場の中、空間の中で、どんな存在感を放つか。展示の面白さ、その相乗効果は、足を運んでこそわかる醍醐味だ。

そこに、空間、というキーワードがある。「空間っていうのも、建物的な意味合いもそうだし、ライフスタイルとか」。形ではないもの、人の暮らす、「住まい」という空間につながっているという。

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オーナーさん、お客様としばしの歓談。柱や、床に置かれた作品もすべて、今回の展示。床に置かれた作品は、どこか星の配置を思わせる

「扱いやすいものに、愛情って生まれるのかっていうと、なかなか実はそうではないと思う」。ものも、人も、手をかけたくなるところから愛情が生まれてくる。

刺さる要素、目で見て流れて行ってしまわない、ある種の棘のようなもの、そんなものが必要なのだと、富田さんは話す。合理的なのが、果たして人間性という意味で正しいのか。整合性にかけていることが、人間であったりする。「そういうところに訴えていったほうが、長い目で見ると、愛されるものになるのかなって気はします」。

今回の個展のテーマは、プリズム。10年という節目を、賑やかに表現したい思いがあった。すでに携わっている温泉旅館の壁面作品など、建物に関わるような仕事も増えてきているそう。10を超えた、次の節目に向けて、プリズムは日常を刺激しながら続いていく。

富田啓之さんの個展、4/24(日)まで。藤沢「Gallery gineta」にて。

屋号

富田啓之(陶芸家)

備考

※作家全日在廊、会期中無休

 

日時

日時:2016年4/17(日)〜4/24(日) 11:30〜18:30

※最終日17:00まで

会場

Gallery gineta

住所

藤沢市藤沢1055

公共交通

JR東海道線、小田急線「藤沢」駅 徒歩8分

URL

https://www.facebook.com/pages/Galley-Gineta/806290116057865

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