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造船カフェのバトンを手に

港カフェ ブレス

造船カフェのバトンを手に

全国の皆さんに、是非知ってもらいたい福岡のカフェがある。
今となってはだいぶ市内でも認知されてきたが、ちょっとマニアックで素敵なカフェだ。

福岡でお洒落なカフェがある場所と言えば、大名・今泉などのいわゆる天神エリア、糸島の海岸沿い、はたまた糟屋郡や油山など山の上がまず思いつくだろう。

しかし、今回の場所はそのどれにも属さない。
同じ中央区だが、天神からも離れていて最寄り駅からも徒歩17分ほど。海は近いけど、窓からは見えない。その代わりに見えるのは造船所だ。大きなクレーン、大型船の剥き出しのブロックだ。作業員のほとばしる汗だ。

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長浜漁港から北西方面、半島状に突き出たエリアが今回の舞台

見えるというより、共にあると言った方がいいかも。大きな造船所に寄り添うように小さな工場がひしめき合う、無機質でガテンな下町雰囲気の中、ちょこんと佇んでいるこちら。

造船カフェのバトンを手に
工場と民家に囲まれ、「裏路地」という言葉が似合う場所にある

その名も、「港カフェ ブレス」。
築45年の古民家を改装し、1階はアート・雑貨などのギャラリー、2階は先述の眺望があるカフェスペース。オープンして7年、特異な場所ではあるが着実に認知度も高まり、常連客も多い。いや、もう常連を超えて、この店のファンと呼ぶ方がしっくりくるだろう。

さて、ブレスではこの度店長が変わったというので、早速会いに行ってみた。

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今年9月より店長を引き継いだ青柳さん。想像してたよりかなりお若くてびっくりした

名前は青柳智子さん。以前は化粧品の通販会社に勤めており、出産に伴い退職。子育ても落ち着いた今、挑戦することにしたという。きっと前々からのこの店のファンで、長年通った末、掴んだチャンスなのだろう。と勝手に思っていた。

「いえ、このお店を知ったのは募集があった6月のひと月ぐらい前で、最初は主人に連れられて来ました。もともとカフェをやりたいと思ってずっと物件を探していたんですが、ここが本当に自分の理想としていた雰囲気ぴったりで、募集を知った時は『チャンス!』と思って応募しました」

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27歳という若さながら、1児の母として子育てと運営を両立している

早速、想いを込めた長文メールを送った。ファン歴は浅いかも知れないが、強い想いが元オーナーに通じたようで、晴れてブレス3代目店長に。聞けば、雇われではなく、オーナーも兼ねているというから驚いた。
ほんわかした雰囲気の反面、根が強い方だなという印象。このカフェの空気感と、経営者としての芯の太さ、そして何よりここが好きだという想い、その全てを持ち合わせている気がした。数多くの応募から選ばれたのも納得だ。

その根底にあるのは「この場を通じて人と人を繋げたい」という想いだそう。それは客同士もそうだし、ギャラリーの作家さん、野菜の生産者、ご近所の方々など様々。その他、カフェの域を飛び越えて、近くの広場や倉庫などでイベントも催していきたいとのこと。

造船カフェのバトンを手に
客が自由に店の感想やイラストを書いたコミュニティ用のノートはもう20冊を超えた

ただレトロで洒落ているだけではなく、さらにこの店には客を思いやった仕掛けがある。
2階の所々に設置されている謎のスイッチ、これを押さないとスタッフは来ない。ゆっくり寛ぐ客を邪魔しないよう、2階は基本スタッフ不在とし、呼ばれた時だけ行くシステムになっている。声を掛ける必要もなければ、変な話、コーヒー1杯で長居してしまった時の気まずさも感じずにすむので、小心者の僕にとってもありがたいし、何より静かさを維持できる。あとは1階の棚を作品販売のためのレンタルスペースとして格安で借りたり、持ち込んだ本をお店の本と交換できたりもする。

造船カフェのバトンを手に
家具やインテリアなどにもこだわりを感じる店内。テーブルも程よい距離感で配置されており、寛いでもらう為の配慮を感じる

諸事情で3台分あった駐車場は廃止してしまったが、その代わり、コインパーキングを利用した方に手作りクッキーや近所の珈琲屋とコラボしたオリジナルコーヒー豆のプレゼントを最近始めた。
「車で来られるお客さんの負担は増えてしまったのですが、それでも『来てよかった』と少しでも思って頂けたら」という想いが込められている。

先代のオーナーや店長が考案した仕組みやこれらのマインドを、独自色を足しつつも継承している。「ブレス」という一つの場所を、別々の人たちが名前を変えることなく運営を代々引き継いでいる。場所や建物もそうだが、この事が一番面白いと思った。意外とそういう場所って無いのではないだろうか。

オープンは12時から。しかし11時あたりから開店を待つ人がちらほらと表れるので、少し早めて開けたりもしているそう。根強いファンがいる何よりの証拠だ。

造船カフェのバトンを手に
この重厚感のある大きな鉄の扉、最初は開けるのに少し勇気がいるかも知れない。でも、開けたら素敵な空間が待っている
屋号

港カフェ ブレス

URL

http://www.breath-f.com/

住所

福岡市中央区港3-3-20

備考

tel&fax:092-202-0011
open:12:00
close:24:00
定休日:水曜日

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