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【イベント報告】場所を起点に仕事をつくる 福井で仕事をつくる人たちvol.1 ゲスト:「大野の印刷・編集室 みなと」山本響さん

2026.04.13

real local福井、新たな企画を始めてしまいました。名付けてトークシリーズ「福井で仕事をつくる人たち」。企画趣旨はこうです。



U・Iターンしてきた30歳前後が、福井の各地域で仕事をつくろうとしている。
福井で仕事をつくること。それは、ここで生きていくという意志の表れでもある。
誰かに頼まれたのか、自主的なのか。こりゃ一体何が起こっているのか?

「各地でぽこぽこと湧き始めた人たちのことを、もっと知りたい。個々の活動を、横につなぎたい」
そんな素朴な思いで始まった30歳前後の当事者による横つなぎリレートーク企画。
10代で東日本大震災、20代でパンデミックを経験した世代が、いま、地方でどう生きているのか。
泥臭さも、迷いも、前進する時の糧も赤裸々に、自分たちの言葉で語る仕事づくり実践のリアル。


ということで、2026年2月13日に記念すべき第1回目を開催しました。
ゲストは大野の地域おこし協力隊として活動する山本響さん。
(以前real local福井で山本さんの移住について記事を投稿しています!前編後編

2026年5月に協力隊卒業を目前にした山本さん。(イベント開催時は、卒業約3ヶ月前)
この3年間の軌跡や、これからのことをどう考えているのか?について、今だからこそ話せることをまるっと語ってくれました。
今回の記事では、聞き手の川上がその一部をお届けします。

*今回のイベントの動画アーカイブを販売しております。全編はぜひそちらをご覧ください。動画アーカイブについては、記事の最後にご案内がございます。


【イベント報告】場所を起点に仕事をつくる 福井で仕事をつくる人たちvol.1  ゲスト:「大野の印刷・編集室 みなと」山本響さん
山本響(やまもとひびき)
|大野市地域おこし協力隊/大野の印刷・編集室 みなと

1998年生まれ、神奈川県出身。横浜国立大学を卒業後、東京工業大学大学院へ進学。在学中は、富山県高岡市にて空き家を活用し、人が集う場をつくるプロジェクトなどに関わる。卒業後の進路を模索する中で大野のまちと出会い、その魅力にハマり、新卒で大野市へ移住。 2023年5月より地域おこし協力隊として「まちなか賑わい創出業務」に携わる。 活動の一環として、まちなかの空き家を改修し「大野の印刷・編集室 みなと」を立ち上げる。現在は、「誰かのつくりたいを形にする」ことを軸に、制作の伴走やワークショップの企画・開催を行っている。

 

<聞き手>
【イベント報告】場所を起点に仕事をつくる 福井で仕事をつくる人たちvol.1  ゲスト:「大野の印刷・編集室 みなと」山本響さん
川上真理子|ライター/季節仕事人 

1996年千葉県生まれ。学生時代のフィールドワークで訪れた池田町に一目惚れして2022年に移住。ライター業と池田町での季節仕事(しめ縄や山菜採りなど)を生業にしている。

髙橋駿介|PLAY CITY 理事/合同会社LIGHT HOUSE 代表社員 

1996年兵庫県生まれ。2016年大学進学を期に福井へ引っ越し。坂井市三国町にて茶ノ下旅館の経営、湊ノ芸術祭共同主催、また福井市中心市街地の古ビル運用委託や各地で設計デザイン業務を行う。

イベントは19時開始だったので、17時半頃から集まって最終打ち合わせをしていた我々。
響ちゃんは「緊張する〜」と言って手汗を、私(川上)は脇汗をかいておりました。駿介くんは何汗をかいていたのか教えてくれませんでした。

【イベント報告】場所を起点に仕事をつくる 福井で仕事をつくる人たちvol.1  ゲスト:「大野の印刷・編集室 みなと」山本響さん

会場にいる方の約3分の2が山本響さんのことを知っている方でした。
特に1列目には普段から響ちゃんのことをよく知っている大野から来た面々が座っていて、存在だけで温かかったです。

トークは2部構成。第1部では山本響さんがこれまでの活動についてたっぷりトーク。
休憩を挟んで2部では、
これからの仕事づくりについて3人の対談形式で深堀り、参加者からの質問も受けました。
ここでは、それぞれの部で特に印象に残ったことを書きたいと思います。
【イベント報告】場所を起点に仕事をつくる 福井で仕事をつくる人たちvol.1  ゲスト:「大野の印刷・編集室 みなと」山本響さん

激落ち込みの弾丸帰省をしたことも。「みなと」としてできることを考え続ける(第1部)

第1部は、山本響さんによる40分間のトーク。
大野に来て1ヶ月目にして、荒島旅舎というホステルの場を通してたくさんの繋がりができたこと。
荒島旅舎での出会いがきっかけでシェアハウスを始めたこと。
リソグラフを買ったことや、大野の印刷・編集室 みなとを立ち上げたこと。
毎回冬に落ちること。辛くて実家に弾丸帰省したこと。

良いことも辛いことも赤裸々に語ってくれました。
その中で特に印象に残ったのは(選ぶのも難しいですが!)、辛くて実家に弾丸帰省した時のこと。

山本さん:みなとをオープンさせるまでは明確な目標に向けて走ればいいんですけど、2024年11月にオープンしたら急にどこに向かっていいかわからなくなって。自分がどうありたいのかもよくわからないから、すごく他者が羨ましかったり、孤独を感じたり。全てが嫌になって…そういう時ありませんか?

川上:あります、うん。

山本さん:みなとに来てくれる人も増えて、みなとの内側は耕やされてきた気がするけど、まちとみなとの関係性はまだまだだなと感じていて。周りの人は若い子が頑張っている場所という認識を持ってくれているけど、それ以上のものになっていないなとすごく感じていました。今もその感覚はまだありつつも、 この時はすごく思っていました。

「なかなか調子が出ず、涙が止まらない時もあった」という山本さんは、神奈川の実家に弾丸帰省をしました。

山本さん:20時半くらいの最終新幹線に乗って深夜1時くらいに実家に着いて、一泊して帰ったんです。一回離れたことで、 自分の頭や心が整理されてきました。なんでこんなに落ちてしまうんだろうって考えると、地域おこし協力隊として来ているから、できる人だと思わないといけないなとか、能力を示さないといけないって自分の中で思っていたなと。私は個人事業主の形の協力隊だったので、上司とか同期とかもいないし、誰にどこまで頼っていいのかあんまりうまくわからなくて。他者に相談できていないところがあるから、こんなにガポンと落ちてしまったんだなとすごく思いました。ちゃんと人に弱さを開かないといけないなということを実感して、相談するということをちゃんとしようというのを、 そこからすごく思うようになりました。
【イベント報告】場所を起点に仕事をつくる 福井で仕事をつくる人たちvol.1  ゲスト:「大野の印刷・編集室 みなと」山本響さん

ほんとに弾丸帰省や!!この時はよほど辛かったんだろうなぁと思いました。
でもその短期間で「弱さを開く」勇気を持つようになった山本さん。こんなにたくましい人っているだろうか…。
山本さんはいつも落ち着いた雰囲気をまとっているのですが、目に見えない身体の奥には、時にマグマを、時に底なし沼の暗闇を持つ強さを感じます。
このことをきっかけに自分の中で意識が変わって、自分からまちの人に相談するようになったと言います。

山本さん:新卒で来て、手に職があったわけでも、スキルがあって来たわけでもないからこそ、自分に何ができるんだろうとずっと考えながらやってました。「印刷室みなと」という場所で、何ができるんだろうということをやる前も思っていたし、 やりながらずっと自分の中に問うてきて。普通にきれいな印刷をするのであれば、ネットプリントがある。リストグラフの印刷であれば、大阪にレトロ印刷という有名な会社がある。じゃあなんで自分は大野のここで印刷室をやるのか、来てくれる人に何ができるんだろうみたいなことを考えながらやってました。

大学院を卒業した直後に大野に飛び込んだ山本さんだからこそ、必死に自分に何ができるかを考えてきた–。
私自身も大学院を卒業して福井県池田町に飛び込んだ身なので、自分に何ができるかを問い続けるところに激しく頷きました。
そうやって試行錯誤する3年間の中で、気づいたことが大きく2つあると語ってくれました。(続きはぜひアーカイブをご覧ください)

 

仕事じゃない部分のつくり方の大切さ(第2部)

第2部では、山本さんのこれからについて、聞き手の私(川上)と髙橋くんを混えて対談形式でトークしました。

ここで印象的だったのは、髙橋くんの感想。(やりとりじゃないんかい!)

髙橋:山本さんの話ぶりや写真を見ていると、温かい人たちに囲まれて、ここから仕事をつくっていくことに繋がるんだなって思う。けど一般的に見れば、移住して来た人たちは、そこにたどり着くまでがすごく難しい。仕事じゃない部分のつくり方みたいなものも、響ちゃん流のアプローチがとても面白いなと行く場所とのミスマッチがないというか、ちゃんと気に入った場所にたどり着けていることの大切さ。仕事をつくる土台の部分が興味深いです。

んー!たしかに。そもそも大野で仕事をつくるということは、そこで生きるという小さな覚悟みたいなものでもある。
その覚悟ができるまでの過程には、きっと自分とまちのつながりが深まったり「ここにいたい」と思える瞬間が集積するような「仕事をつくる土台」となる部分があるはずという指摘。ナイスすぎる。

私たちのテーマは「福井で仕事をつくること」ですが
それは「ここで仕事をつくる」と思うようになった暮らしの部分と切っても切り離せないテーマなのだなと。
髙橋くんの言葉を通じて、私自身改めて気づかされたことでした。

最後に会場から質問を受けました。
大野から来てくれた人たちから見た山本さんの話を伺ったり、福井市の地域おこし協力隊として活動する方が相談したり。

とにもかくにも「こんなにいいの!?」というくらい赤裸々に話してくれた山本響さんには大感謝ですし
後半では、たっぷり語ってくれたからこそ話を深めることができたと思っています。

【イベント報告】場所を起点に仕事をつくる 福井で仕事をつくる人たちvol.1  ゲスト:「大野の印刷・編集室 みなと」山本響さん

トーク全編のご購入方法について

全編は下記URLからご購入いただけます。ぜひご覧ください!
https://hororijapan.base.shop/

今回ゲストと聞き手の感想
山本響(ゲスト)
 お客さんは、2000円を払って、大事な時間を使って、トークに来てくれる。そんな人たちに何が渡せるのか、残せるのか。スライドもたくさん悩み、当日もずっとドキドキしていました。でも、終始とてもあたたかい場で、安心しました。これまでも協力隊として、報告会や発表の場に登壇することが何度かありました。でも、お客さんの反応はよくわからなくて、「私が話すことに意味があったのだろうか?」と思うこともありました。
でも今回のトークは、聞き手のまりこちゃんと駿介さんがいて、私の話に対して「わかる〜」とか「えー!」とか、ずっと2人の反応がありました。それがめちゃ良かった。自分も聞き手になったときは、こんなふうであろう!と思いました。
 トークの中で、「弱さを人に見せられない」「他人が羨ましい」「どこに向かったらいいかわからない」と思ったときの話なども出しましたが、そこにすごく反応があったなと感じました。聞き手の駿介さんも、私が「若者が頑張っている場所以上のものになっていない」というスライドを出したときに「わかる……」とボソッとつぶやいていて、共感してくれたことに嬉しくなりました自分が悩んでいたり、心にしまっていたモヤモヤは、実はみんなも似たものを抱えているんだ!とびっくりしました。協力隊や自分で仕事を作っている人は、普通の会社のような、わかりやすい「同期」や「上司」がいません。だからこそ、状況は違えど、同じような葛藤を1人で抱えている人も多いのかなと思いました。
 話すのが恥ずかしい部分ではあったけれど、勇気を出してスライドに出して良かったなと思いました。そして、うまくいかなさみたいなものも、もっとみんなでシェアできたらいいのになーと思いました。そういう意味で、この連続トークはもっと20〜30代くらいの人に聞いてほしい!届けたい!とメラメラしています。(本編とは関係ないけど、トークが終わった後、聞きに来てくれた人も含めて何人かで夜の片町で中華を食べたのが最高でした!そこまで含めてトークや!!!)

川上真理子(聞き手1)
 今回のイベントを一言で表すなら「温かさ」でした。響ちゃんはトークの中で「人は、人がそばにいるから立ち直れる」と話してくれました。いろんな場面で大野の人たちの温度に触れてきたからこその言葉だなと思います。響ちゃんの3年間の写真を見ても、その笑顔が語っているな〜と。当日の参加者最前列に、普段から響ちゃんをみている人たちが座っていたのも、温かさの理由だったと思います。第1回目のイベントでしたが、ほんとうに響ちゃんにトップバッターをしてもらえてよかったです。また個人的には、同世代とこのテーマで動いてみると、自分が想像していなかったような「良さ」を生みだすことができるという実感を強く得た夜でもありました。心強く思える手応えみたいなものがあります。だからこそ、この手応えをぎゅっと握って、福井に限らず全国の地方で生きる人々へしっかり届けていきたい。私もメラメラしています。

髙橋駿介(聞き手2)
 「若い子がなんか頑張っている場所」以上のものになっていないことへの焦り。山本さんのお話の中で、一番心に響いた言葉でした。地方では、若者が何かを始めようとするだけで、多くの人が気にかけて応援してくれます。けれど、その方々にとって本当に「必要な場所」になるのは、想像以上に難しい。「応援してもらえること」と「求めてもらえること」は全く別物。「頑張って」と声をかけてくれる人が、必ずしも足を運んでくれるわけではないというシビアな現実があります。山本さんはその壁に直面しながらも、試行錯誤を繰り返し、「みなと」が担う役割を広げ続けてきました。今では応援の声だけでなく、山本さんが生み出す「価値」そのものにも惹かれて人が集まるようになってきた。山本響個人の場ではなく、いろんな人が関われる場所でありたい、という考え方にも、訪れた人にとっての可能性の広がりを意識されているようで、一貫性があってなるほど、と思いました。一から初めたみなとという場所が、応援され、役割が生まれ、次はどうなっていくのか、負けてられないなぁ。

 

次回のお知らせ
トークシリーズ「福井で仕事をつくる人たち」は、第2回を開催。
今回ゲストが気になる次のゲストを呼び、今回ゲストが聞き手にまわる形でバトンを繋いでいきます。

第2回目は、2026年3月27日(金)19:00-21:00。ゲストは建築士の田上夏伊(たがみかい)さん。

新卒で南越前町地域おこし協力隊となり、福井県へUターンした田上さん。2024年に3年間の地域おこし協力隊を終えた後も福井にとどまることを決め、建築デザインの仕事を本業としながら、南越前町でのプロジェクトも継続中。様々な決断を経た田上さんのこれまでとこれからについて、「地域で自分で仕事をつくるとは?」という問いを立てながら、トークイベントを開催しました。報告はまた次回!(ほんとうはイベント前に記事を公開したかったけど、間に合わなかったなー💦)
【イベント報告】場所を起点に仕事をつくる 福井で仕事をつくる人たちvol.1  ゲスト:「大野の印刷・編集室 みなと」山本響さん

住所

[map]福井県大野市元町2-9[/map]

屋号

大野の印刷・編集室みなと

URL

https://www.instagram.com/minato_printingstudio/