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縁がつなぐ町工場の次の景色|Tintoys 玉造

宿・拠点
2026.10.15

大阪・玉造にある「Tintoys(ティントイズ)」。かつて自動車修理の町工場だったこの場所には、クラシックカーが佇み、個性豊かな人たちがそれぞれの仕事や活動を営んでいます。

この建物のオーナーはアニメーション制作を手掛ける株式会社ミツマメプロの植村泰之さん。植村さんは元々この場所を賃貸化するつもりはなかったといいます。

町工場から今の拠点に生まれ変わるきっかけは、この場所を面白いと感じていた友人の存在。そして、そこに新たな拠点を求める人との出会いでした。

今回はオーナーの植村さんにこの場所が生まれた経緯や、これから思い描く玉造の街についてお話を伺いました。

 

縁がつなぐ町工場の次の景色|Tintoys 玉造
玉造にある「Tintoys」。外壁に描かれたイラストは植村さんが手がけたもの。

 

「こんな面白い場所なのに、何かしたら?」

植村さんにとって、ここは生まれ育った実家でもあります。お父さんが営んでいた自動車修理工場が今のTintoysの始まりでした。暮らしの記憶が残るこの建物を、当初から何かに活用しようと考えていたわけではなかったそうです。

転機となったのは、古くからの友人である中村喜裕さんの存在でした。「こんな面白い場所なのに、何かしたら?」中村さんは以前から何度もそう話していたといいます。

 

縁がつなぐ町工場の次の景色|Tintoys 玉造
元は植村さんのお父さんが営んでいた自動車修理の町工場だった。

 

この場所をずっと面白いと思い続けてくれた友人

それほどまでに中村さんはこの場所に魅力を感じていました。実際、ご自身の結婚パーティーをここで開催されるほど。

当時、町工場としては閉店されていたとはいえ、まだまだ町工場の名残がある中に、仮設のキッチンを設け、パーティーを開いたそうです。

中村さんには建物の使い道を変える以前から、ここにある空間の面白さが見えていたのかもしれません。

時を経て、中村さんの紹介で出会ったのが建築塗装などを手がけるAdd Wallさんでした。Add Wallさんもまた、この場所を気に入り拠点を構えたいと考えるようになります。

さまざまな点で良きタイミングも重なり、少しずつ賃貸化の計画が始動。この場所を好きだった人、面白がってくれた人、そして新たに使い始めた人。そんな人たちのつながりが元町工場に新しい可能性を生み出しました。

 

縁がつなぐ町工場の次の景色|Tintoys 玉造
オーナー・植村泰之さん(左)と友人の中村喜裕さん(右)。中村さんはこの場所で自身の結婚パーティーも行った。

 

場所の記憶を消さずに新たな風景へ

Tintoysのリノベーションを担当したのは中村さんです。建築設計事務所VANSでの経験を持つ中村さんは、コーポラティブハウスの設計などにも携わってきた方。今回もその経験を生かしながら、建物の区画割りを考え、賃貸化の実現に向けて植村さんをバックアップしました。

目指したのは、古い町工場をきれいに一新することではなく、もともとの町工場らしさを残すこと。建物の補強工事など必要な手を加えながらも、工場として使われていた頃の空気感を失わないように計画されています。

かつて建物の外に掲げられていた看板。建物の中に残るクラシックカー。この場所がかつてどんな場所だったのかを伝える大切な存在です。

もともとこの場所が好きだった中村さんが設計を担当したことも、Tintoysの今の姿につながっています。建物を新しくすることと、昔の面影を残すこと。その両方を大切にするリノベーションです。

 

縁がつなぐ町工場の次の景色|Tintoys 玉造
かつて建物の外に掲げられていた「マルトモ自動車」の「マ」の文字。今は外され室内に飾られている。

 

縁がつなぐ町工場の次の景色|Tintoys 玉造
外装工事の様子。元町工場から少しずつ新たな拠点へと生まれ変わっていく。

 

クラシックカーと子どもの頃の記憶

今ではTintoysのトレードマークのような存在になっているクラシックカーの「デボネア」。

この車は、もともと植村さん家族が所有していた自家用車でした。車を見ると子供の頃に車酔いをした思い出まで蘇ることもあるのだとか。

植村さんはもともとおもちゃが好きで、現在のコマ撮りアニメーションの仕事にもその興味がつながっているといいます。

「Tintoys」という名前にも、おもちゃというキーワードが含まれています。英語の「tin toys」はブリキのおもちゃのこと。さらにおじいさんの時代には、この場所でブリキのおもちゃの塗装をしていたこともあったそうです。

自動車修理の町工場から、コマ撮りアニメーションの制作へ。そして、ブリキのおもちゃを思わせる場所の名前へ。一見すると別々のものに見えますが、ものづくりやおもちゃへの興味、そして昔からの記憶がつながっています。

 

縁がつなぐ町工場の次の景色|Tintoys 玉造
思い出の詰まった「デボネア」。この場所の過去と植村さん自身の現在を結びつける存在でもある。
縁がつなぐ町工場の次の景色|Tintoys 玉造
工事の際にはすでに動かなくなっていたデボネアを台車で移動したり吊り下げたりしながら施工したそう。

 

この場所を好きになってくれる人に使ってほしい

Tintoysの入居者募集を始めた当初は、建物の前に貼り紙を出していただけだったそうです。それでも、貼り紙を見て足を止め、興味を持ってくれる人が少なからずいました。

不動産サイトなどにも掲載するようになりましたが、植村さんの印象に残っているのは、むしろ自分からこの場所を見つけ、訪ねてきてくれた人たちのことでした。

「世界観が合うと思って来てくれた人は、場所も大事に使ってくれる」そんな思いが、Tintoysの根底にあります。入居者を決める際にも、どんな人に入ってもらいたいか、どんな場所にしていきたいかを考えながら進めていったそうです。

それぞれの仕事や活動がこの場所の雰囲気に合う。建物の魅力を大切にしながら使ってくれる人が集まる。そうやって少しずつTintoysの風景がつくられてきました。

入居者が退去するときには、次に入居したい人を紹介してくれることがあるそう。新しく入る人も、前の入居者が大切にしてきた場所の雰囲気を受け継いでくれる。こうした関係性が続いていることは植村さんにとってもうれしいことなのだそうです。

 

縁がつなぐ町工場の次の景色|Tintoys 玉造
街の人たちも参加してイベントを楽しむ。人が場所の可能性を見つけると言っても過言ではない。

 

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街の人たちも参加してイベントを楽しむ。人が場所の可能性を見つけると言っても過言ではない。

 

面白い人が集まることで、街も面白くなる

 植村さんが思い描くTintoysの未来は、個人商店が集まったような場所。それぞれが独立して活動しながらも、同じ場所にいることで新しい交流が生まれ、思いもよらない化学反応が起きる。そんな場所になったらうれしいと話してくれました。

そんな思いは植村さんの地元でもある玉造の街に対しても広がります。玉造はもともと車屋さんや印刷業など、町工場がたくさんあった場所でした。今ではマンションも増え、街の風景は少しずつ変わっています。

街が変化していくことは自然なことですが、どこを見てもマンションばかりになってしまうのは少し寂しい。昔ながらの下町らしさや、元町工場のある風景が少しでも残っていれば、玉造という街の面白さになるのではないか。そんな思いもTintoysを続けていく理由のひとつになっています。

 

縁がつなぐ町工場の次の景色|Tintoys 玉造
入居者が次の入居者を紹介したり、イベントを通じて人がつながったり。面白い人たちが出会う土壌をつくっている。

 

フラッと立ち寄りたくなる場所「Tintoys」

この場所の始まりにあったのは、「こんな面白い場所なのに、何かしたら?」そんな素朴な言葉でした。

そう言ってくれる友人がいて、その魅力に共感してくれる人がいて、実際に使ってくれる人が現れた。植村さんがひとりで考えていたら、今のTintoysは生まれていなかったかもしれません。

町工場だった頃の面影も、思い出が残るクラシックカーも、今ここで仕事をする人たちの個性も。いろんな物語がひとつの場所に同居しているTintoys。ここには独特の空気が流れています。

ここに来れば何か面白いものに出会えるかもしれない。思いがけない人と知り合えるかもしれない。自分でも何か始めてみたくなるかもしれない。

目的がなくても、ちょっと気になるから立ち寄ってみる。そんなふうにフラッと足を運びたくなる場所が街にあるって、なんだかいいものです。

 

縁がつなぐ町工場の次の景色|Tintoys 玉造
(左から)Add Wall松井さん、中村さん、植村さん、Add Wall松下さん。みなさんのご縁がつながり、元町工場の賃貸化という新しい展開を生み出した。
縁がつなぐ町工場の次の景色|Tintoys 玉造
イベントの際の様子。「ちょっと気になる」と感じたら、ぜひフラッと立ち寄ってみてください。

 

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名称

「Tintoiys(ティントイズ)」

URL

https://www.instagram.com/tintoys2023/

住所

大阪市東成区中道4丁目6−18

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