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【福島県天栄村】人と人を結ぶ台湾茶と焼菓子/ atelier24内山美穂子さん

インタビュー

2024.04.06

【福島県天栄村】人と人を結ぶ台湾茶と焼菓子/ atelier24内山美穂子さん

のどかな田園地帯が広がる福島県岩瀬郡天栄村に内山さんご夫妻が2022年11月から営まれている「atelier24(アトリエ ニシ)」があります。 atelier24では彫金作家のご主人の裕司さんの作品とともに奥様の美穂子さんが台湾茶と自家製の米粉や植物性の素材を使った焼菓子を販売しています。 今回は奥様の美穂子さんに台湾茶と焼菓子の魅力についてお話をうかがいました。

【福島県天栄村】人と人を結ぶ台湾茶と焼菓子/ atelier24内山美穂子さん
カウンターでお茶を淹れる内山さん

 −台湾茶と焼菓子の販売を始めたきっかけについて教えてください。  

母が台湾人なのですが、亡くなった時に母のカルチャーを知りたいと思ったのがきっかけでお茶の世界に足を踏み入れました。 最初は台湾茶を個人的に楽しんでいただけでしたが、 結婚を機に東京から福島に移住してきた頃に、 ご縁がありお茶にこだわりを持って選定されている台湾の茶農家様から仕入れさせていただけるご縁をいただけたんです。その頃、新たな住居兼店舗を立ち上げることになり台湾茶葉を販売してみる事にしたんです。
今では台湾茶だけでなく、色々なご縁で良質な中国茶も少しだけ販売しています。
そして、お茶に欠かせないものといえばお菓子ですよね。 なるべくなら提供するお茶に沿うような菓子を作りたいと思い米粉や植物性の菓子と掲げて始めました。 イタリアンレストランで焼菓子を作っていた経験もあったのですが、 今作っているような植物性の素材のみで作るお菓子は全く別物の世界で今までの経験が全く通用しなかったんです。 試行錯誤しながら何年かかけて今の仕上がりまで持っていけたように思います。
植物性の素材のみでの仕上がりに、召し上がっていただいたお客様が驚いてくれたり、美味しいとおっしゃってくださったり、 それが今ではモチベーション向上につながっていて提供するのが楽しくなってきています。

―台湾茶・中国茶の作法や他のお茶との違いなど内山さんが考える台湾茶について教えてください。  

台湾も中国もそうなんですけど、 人が集まって談笑をする場にはお茶が必ずつきもので、お茶を囲んで団欒するんですよ。 ビジネスの話をする際もお酒ではなくお茶を飲みながらというのが基本の文化なんです。
日本の茶道ですとお客様に振る舞うためにお茶を点てますが、 台湾茶、中国茶は自分もお客様と一緒に茶をいただくことでひとつの輪を作ることに重きを置いているように感じます。
また、台湾茶・中国茶には作法というものがあまりありません。
「お湯の温度」、「茶葉の量」、「抽出時間」、この3つをしっかり守っていれば、ある程度美味しく淹れることができます。 作法というよりは、今、目の前にある茶葉がどうしたら美味しく淹れられるかを見極めることこそが求められているテクニックなのかなと思っています。 そして良い茶葉であればあるほど、このテクニックがなくても美味しいお茶が淹れられると考えています。
中国茶は全部で6種類あります。緑茶、白茶、黄茶、青茶(烏龍茶)、紅茶、黒茶+αです。 それぞれ製法も味も違いますし、 地域によってお茶の飲み方や楽しみ方が様々なんです。採れる場所や土壌によっても味が変わってきます。 その時の体調によってお茶の味も変わってくるので、自分の体調に合わせて選ぶと良いですね。
例えば、今日はちょっと寒いなと感じるときは発酵度の高い深みあるお茶を選んだり、 夏場の暑い季節には発酵度が浅いさっぱりしたものを飲んだり。
そして、どうしてもみなさん、台湾茶・中国茶というと、 道具を揃えないといけないとか、作法があるというようなイメージを持っているかと思いますが、身近な道具で代用もできますし、前述したように重要なポイントさえ押さえていれば美味しく淹れる事もできます。 なので選択肢の一つとして日常的にお茶を取り入れていただけたらと思っています。 堅苦しい気持ちや頭を使って飲むお茶ではなくリラックスした気持ちでシンプルに美味しいを体感していただきたいですね。

―内山さんのお店では烏龍茶が並んでいますが、台湾茶の種類は他にもありますか。  

台湾で生産されているものを総称して“台湾茶”といいます。 台湾では80%が烏龍茶です。 あとの20%は紅茶やその他、白茶と言われるお茶が生産されています。 白茶は元々中国で生産されている軽発酵のお茶の種類で、海外での白茶の需要が高くなり台湾でも生産されるようになりました。(2023年現在)

―台湾茶を入れる茶器についても教えてください。  

この聞香杯(もうこうはい)は香りを聞くと書くのですが香りだけをいただく杯になります。温度が下がると一気に甘い香りが際立ちます。 空いた杯や急須の蓋で充分香りを楽しむこともできますよ。 この茶壺からお茶を注ぐ茶器は茶海(ちゃかい)、公道杯と言います。 例えば大勢のお客様と飲むときに、味を均一に出す為でもあります。

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右の茶葉を入れている茶則(ちゃそく)はご主人の裕司さんの作品
【福島県天栄村】人と人を結ぶ台湾茶と焼菓子/ atelier24内山美穂子さん
聞香杯(もうこうはい)に香りを閉じ込めている様子

―では台湾茶の淹れ方について教えてください。

まず沸騰したお湯を用意します。 沸騰したお湯を茶壺に注ぎます。 ある程度茶壺が温まったところで茶壺からお湯を茶海に、茶海から茶杯に注ぎます(器を温める作業) 。茶壺に茶葉を入れ沸騰したお湯を注ぎます。 良い具合に抽出されたところで茶海に茶を注ぎきります。 茶海から聞香杯に茶を注ぎます(聞香杯を使う場合) 。茶杯を被せて親指で上を抑え、人差し指で底を支え一気にひっくり返します。 ゆっくり聞香杯を引き抜き表に返したら香りを聞いてみましょう。その後、お茶をいただきます。

―以前食べさせてもらったマフィンがとても優しい味だったのですが、自家製の焼菓子についても、こだわりを教えてください。  

こちらで販売する焼菓子はお茶を引き立てる意味でお作りしています。 中国や台湾の茶藝館に行くとナッツやドライフルーツを食べながらお茶をいただく所が多いんです。 素朴な味がお茶の味を尊重しつつ優しく力添えする存在なんですね。 私もそのような考えで焼菓子を焼いています。 特に台湾のお菓子にこだわっているわけではないのですが、体にいいもの、中国や台湾でいう生薬(しょうやく)など漢方で使われるものを意識して取り入れたりしています。 それと、私自身が小麦粉を取りすぎると体調があまり優れなくなるため米粉を主体に使っています。 お菓子の中に入れる果物や野菜は地元で採れた旬のものを使うようにしています。 塩気のきいたマフィンもよく作るのですがお野菜がとても良い仕事をしてくれます。
店頭では焼菓子を大量に並べたりはしていません。 あくまでも茶葉販売をメインにしているので、焼菓子は添えていただく程度に置いています。 フードロスの削減という意味でもあまり作らないようにしていることもあってか、お菓子はご注文いただく事がほとんどになりましたね。 営業日にはインスタグラムのストーリーで本日のおしながきも出していますので御来店の際にはチェックしていただけたらと思います。

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24のパイナップルケーキ
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楢葉町の柚子を使ったスコーン

―この先の展望を教えてください。  

そんなに壮大なことは考えてなくて、 お店に来店されて気持ちよく帰ってくれる人たちがたくさん増えたらいいなと思っています。 市街地でお店を出したりするのも魅力的だとは思いますが、 この静かな景色を堪能できるのはこの場所しかないんですよね。 滞在してもらえるよう店舗も少しづつバージョンアップしていければと考えています。 色々な人たちが集まってくれるのは私たちも楽しいです。 様々な分野でプロフェッショナルな方も来店してくれていて、 そういう方達とたまたま来たお客さんが繋がってお仕事に発展したり、そういったきっかけ作りの交流の場になるのも良いのかなと。 結果的に地域の循環=輪に少しでも貢献できていけたら嬉しいですね。

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内山家の皆様 店舗エントランスにて
名称

atelier24(アトリエ ニシ)

URL

https://www.instagram.com/_atelier_24_/

住所

福島県岩瀬郡天栄村小川字峯内117

営業時間

月曜日・火曜日:13:00~17:00
日曜日:11:00~18:00
※急遽休業になる場合はインスタグラムのストーリーにてお知らせいたします。

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