real local 南八ヶ岳森とほどよい関係 Blackbird停留所   - reallocal|移住やローカルまちづくりに興味がある人のためのサイト【宿・拠点】

森とほどよい関係 Blackbird停留所  

滞在しながら創作や展示もできる宿

2023.10.24

標高1100mの八ヶ岳南麓、営みが点在する「カラマツ通り」沿いに森と繋がる宿があります。二つの薪棚によって緩やかに外と仕切られた敷地、鳥が翼を広げたように両端に長い軒が流れ、平滑な左官仕上げの漆喰と木板張りで仕上げられた建物。一棟貸しの宿、BLACK BIRD停留所です。

実はここ通常の宿泊に加え、土間とアトリエ兼展示スペースと居住空間が共存することで、コンパクトながら滞在中に製作や展示もできるユニークな「宿」だったりもします。

森とほどよい関係 Blackbird停留所  
BLACKBIRD停留所外観 背後に森、手前は駐車スペース兼広場

この特徴的なフォルムは、2階が三尺(910mm)ほど持ち出され、妻側の軒がそこからさらに三尺伸びています。設計者によると、これは地域の古い街道沿いにある町家の形態で、雨や雪から通りを歩く人を守るアーケードのような役割、屋根の下で作業ができ、人溜りができる場所、さらに土間と一体になることで、暮らしと仕事を一つの建物で両立させるという機能が凝縮された形だということです。

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深い軒と持ち出された2階、そして通り土間 左手前の石組内で焚火ができる

しかし、建物以上に特筆すべきは森との距離感です。

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建物西側は草地と森 この関係がいい

敷地の真ん中に建物を配置した広場と森を分断するランドスケープは、建物に足を踏み入れてようやく背後の森の存在に意識が向かいます。まるでヨーロッパの都市住宅のパティオや京町家の坪庭のようですがこの森は境なくずっと先まで続いています。建物の土間から、寝室から、テラスから臨むリアルな森は自分の庭のように感じられる、ほどよい距離にあるのです。

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敷地内にある森の尾根道

さて、室内はアートと職人による美しい仕上げを楽しめる空間です。

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間取図

1階は、Wサイズのソファベッド1台と造作したワークテーブルが4台壁沿いに配置されています。間仕切り壁はないですが寝室としても使えます。
さらにこの空間はコンパクトながらアトリエとして、プライベートな展示室(ギャラリー)として、ポップアップストアとして、滞在しながら創作や展示、商いの場所として利用することも可能です。建物のコンセプトである暮らしと仕事の一体化を具現化する空間、移動しながら活動されている方にぜひ使っていただきたい宿なのです。

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1階 / ワークスペース兼寝室兼ギャラリー兼アトリエ等多用途に使えます  窓から見える森は四季折々の景色がピクチャレスクのように切り取られる
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1F/ アトリエ兼展示物販スペース兼寝室
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4月に開催された行田ユタカ展、大工である行田のキャンバスは工事に使用した材料の端切れ

また、寒冷地ならではの必須設備、煙突が2階床から屋根まで貫くイエルカ・ワインの薪ストーブがあります。ストーブの前には階段の踏み板を延長したベンチがあり、薪を焚べ暖を取りながら燃える炎をストーブのガラス越しに楽しむことができます。

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薪ストーブはイエルカの小梅

そして1階東側にある洗面室の壁はタイル張りで、洗面台・トイレ・浴室(UB)・洗濯機が機能的に配置されています。

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さて、玄関前の階段を上ると正面の壁に、大工で絵描きの行田ユタカが描いた壁画があります。行田は、この建築に携わった大工の一人で、いつも施工中に印象に残った対象を描きます、今回は黒い鳥でした。この鳥は室内を舞いながら寝室の壁で大きく羽根を広げ水墨画のような森を目指します。

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階段北側壁面に描かれた樹と鳥
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行田の黒い鳥 寝室から行田の作品と窓越しの森眺望が楽しめる
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寝台の背後にも壁画

2階の寝室は、構造用合板で造作されたオリジナル寝台の上にシングルのマットレス2台を置き、両脇に造作したベッドサイドテーブルが配置されています。そして西側の森に向かって大きな窓があり広葉樹の森を眺望できます。

キッチンには調理に必要な道具や家電類が予め用意されています。
>冷蔵庫、オーブンレンジ、ミキサー、コーヒーミル、炊飯器、IHクッキングヒーター等
近隣には有名なこだわり食材の「ひまわり市場」や大型スーパーもあり食料品、飲料の調達に不自由はありません。周辺の飲食店も魅力的なお店がたくさんありますが、暮らすように地元の店で食材を買い出し調理をするという体験もぜひお試しください。

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ダイニングキッチン

さて、この宿で最も魅力的な場所は2階のテラスです。そこは壁のない屋根と剥き出しの構造体、床がデッキ敷きで外と内が曖昧な空間。中空感のある高さから眺める森は圧巻で、無数の葉や枝が風にそよぎ、光によって移ろう影、そんな様子をずっと眺めていたくなるのです。遠すぎもせず近すぎもせず森とほどよい関係を築ける場所だなと感じました。
ここには鳥が訪れ、森にはシカもやってきます。

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森とこの距離感 テーブルは臼にそば打ち台 ※写真は9月撮影

室内の仕上げは装飾ではなく素材をそのまま見せるという意思が伝わってきました。床はリノリウム、壁・天井はボードと構造用合板とシナ合板で仕上げられています。普段クロスや天井が張られて隠された下地材、作り手が素材と正面から向き合った美しい仕上げの成果もぜひご覧になってください。

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壁と天井はシナ合板仕上げ、右側がダイニングと寝室を緩やかに仕切るルーバー仕上げのクローゼット

ところで、建築面積の半分を占める通り土間はコンクリート打放しの床にダイニングテーブルが置かれた広場と森をつなぐトンネルのような場所で両端に広がる異なる二つの風景を楽しめます。また、ここから実際に森に足を踏み入れマイクロハイキングに挑戦してみてください。土間から草地を抜け、斜面を上り、ピークの尾根までわずか数分間の山行ですが多様な植物や樹木に近づき触れながらの森体験を楽しめます。

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通り土間の先が森への入り口 土間と森を展示空間として構想してみてもいいかも

近隣には富士山が眺望できる温泉(甲斐大泉温泉パノラマの湯)やスキー場もあります。実はここは冬こそ体験していただきたいところです。静かで凛とした冬の八ヶ岳南麓、ぜひ体感してください。

季節によってまるで異なる森の景観をほどよい距離から体験していただける宿、展示や創作を行いながらのご滞在もお待ちしています。

ご予約は以下からお願いします。
※展示や物販、アトリエでご予約される方はご予約前に予約サイトかメールで内容についてメッセージを送ってください。

https://airbnb.com/h/blackbirdstop

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名称

八ヶ岳南麓の一棟貸し宿 BLACK BIRD停留所

URL

https://airbnb.com/h/blackbirdstop

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