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TOP » 湘南 » 湘南 葉山に“回復するレストラン”を 元DEAN ＆ DELUCA総料理長の新たな挑戦　DELI&RESTAURANT GOOD STOCK

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2021年、神奈川県葉山まちに「DELI&RESTAURANT GOOD STOCK」がOPENしました。手がけたのは、全国展開する食のセレクトショップ「DEAN ＆ DELUCA」で総料理長を務めてきた村上 英寿さんです。
大きな舞台から離れ、静かなまちに自らの手で店を立ち上げた理由とは。自分の料理を、自分のやり方で届ける場所をつくるまでの過程には、土地との出会いや、積み重ねてきた経験、そして店づくりへの思いがありました。

「DEAN&DELUCA（ディーン アンド デルーカ）」元総料理長。1972年、宮城県生まれ。専門学校卒業後、仙台国際ホテル、ビストロ勤務を経て、25才で上京。代官山「ラパン」の料理長を務める。2003年、ディーン＆デルーカジャパン丸の内店の料理長として入社。2005年より総料理長を務める。2015年、グループ統合に伴い、（株）ウェルカム／（株）ディーンアンドデルーカジャパンの取締役・総料理長に就任。現在はDELI & RESTAURANT GOOD STOCK（グッドストック）ほか、講演会などでも活躍。
実績
2003年ディーン＆デルーカジャパン丸の内店料理長に就任
2015年ディーン＆デルーカジャパン取締役・総料理長に就任

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DEAN ＆ DELUCAから独立、ゼロからの挑戦

DEAN ＆ DELUCAでは18年間、本当にさまざまな経験をさせてもらいました。社内ベンチャー制度が立ち上がったことを機に、自分で店を始めたいという思いが大きくなり、このお店のOPENを決めました。

ちょうどその頃はコロナ禍で、DEAN ＆ DELUCAの新店の計画もすべてストップしていた時期で、全国各地の店舗で泣く泣く使われなくなった什器も余っている状況でした。保管しておくにも倉庫代もかかるし、このままでいるより、再活用したほうがいいのではと会社に提案し、DEAN ＆ DELUCA時代の仲間たちが使っていた器具を引き継ぎ、DIYで空間を整えていきました。ショーケースや、照明など全国の店舗から譲り受けたものもあります。いろいろな仲間の店から集まったパーツが、この店のあちこちに使われています。

床や天井、壁などの内装をすべて剥がして、自分たちで塗装も行いました。もともとあった天井を抜いてみたらお店のロゴの色と同じ赤い鉄骨が現れて、そのままの姿で生かすことにしました。

“回復の場”として葉山を選んだ理由

葉山は、空気も水もきれいで、自然も多く、心が落ち着く場所です。私の住んでいる横須賀からも車で10分ほどの距離で、夏になれば息子とカブトムシを採りに来るようなこともありましたね。
葉山は昔から“静養の地”として選ばれてきた場所です。その空気感に惹かれました。
“レストラン”という言葉は、もともとフランス語の“レストレ（回復する）”が語源と言われています。料理を通じて心身が整い、ほっとできるような場所をつくりたいと思いこの場所でのOPENを決めました。

完成させすぎない、家庭に寄り添う料理

GOOD STOCKでお出ししているデリは、あえて“3歩手前”で完成を止めるような味付けにしています。すべてを仕上げてしまうと、家庭の料理とぶつかってしまうことがあるからです。例えば、香りの強いバジルを使ってしまうと、合わせられる料理が限られてしまいます。うちの料理は、主役ではなく名脇役でいい。あと一品ほしいというときに、そっと寄り添える存在でありたいと思っています。

日々アップデートされる店づくり

この店には“完成”はないと思っています。たとえば物販棚も、最初から決めていたものを並べているわけではなく、SNSで『こんなものがあったら嬉しい』というお客さまの声を受けて設置を始めました。
その都度必要なものを足していく。変化しながら、お客さまと一緒に育っていく。
最初からすべてがそろっている必要はなく、暮らしに応じて店も変化するほうが、むしろ自然なのではないかと思っています。

“仲良し”だけでなく“仕事”でつながる地域のつよさ

ローカルでは、“ご近所だから”や“昔からの知り合いだから”といった理由で何かを一緒に始めることがよくあります。ですが、それだけでは、上手く続かないときもあるかもしれません。お金がきちんと回っているか、仕事として成立しているか。それぞれの立場で向き合う姿勢や責任感を持って、ここでこの店をやっていきたいと思っています。

コンセプトは決めない。変化し続けるGOOD STOCK

GOOD STOCKの軸には、“笑いあふれる食卓を届けたい”という想いがあります。それ以外の部分は、なるべく決めずに余白を残しておきたいと考えています。
コンセプトを最初から固定してしまうと、変化に対応できなくなることがある。だからこそ、“ガイドライン”程度の緩やかさを持たせるようにしています。
必要なものを必要なときに足し、不必要になったらやめる。そんな柔軟さのなかで、今後も店を続けていけたらと思っています。