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TOP » 鹿児島 » 【鹿児島県大崎町】3-Day Designing Camp Day 3 レポート

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10月24日から26日の3日間、『3-Day Designing Camp』（主催：大崎町SDGs推進協議会）が開催されました。リサイクル率日本一16回を誇る、「未来の社会に一番近いまち」鹿児島県・大崎町を舞台に、循環型社会の未来を地域とともに実践的にデザインするプログラム「CIRCULAR VILLAGE DESIGNING」が令和7年度より始動し、その取り組みの一環となります。今回はDAY3の様子をレポートをお届けします。

Day 1のレポート記事はこちら。
Day 2のレポート記事はこちら。

プロトタイプとは？

Day3 はまずDay1〜2を踏まえて、チームで考えたアイデアを「手を動かしながらつくる」時間に。

その前に事務局より「何のためにプロトタイプをつくるのか？」について、以下の2点を意識してほしいと説明がありました。

・プロトタイプは完成前の試作モデルであり、重要なのは見た目ではなく、試行錯誤の過程で得られる学びやコミュニケーションであること。
・実際に制作することで新たな発見や改善が生まれ、見栄えを追求しつつも、フィードバックを受けながら楽しんでつくることが大切である。

こちらを踏まえて、実施発表会へ向けてプロトタイプづくりがスタートしました。

STEP4（つくる（プロトタイプづくり））

3チームそれぞれが一斉にプロトタイプづくりをスタート。

30分程経過し、各チームが次の動きに移りはじめます。

各チーム、プロトタイプが完成し、実施発表会がはじまります。

実施発表会

まず、事務局より「3-Day Desiginig Camp」の開催背景と大崎町SDGs推進協議会のこれまでの取り組みについて、それぞれ説明がありました。

次に「3-Day Desiginig Camp」Day1~2までをまとめた動画を来場者に披露。2日間の様子を来場者に知っていただく時間となりました。

導入が終わり、各チームのプレゼンがスタートします。

まずは「つながりの循環」チームから。

まちの人々に愛される場所をつくることを第一に考え、「三文字（※）の“おはよう”が街を動かす、立ち話をしたくなる、みんなのサーキュラーステーション」というタイトルを掲げてアイデアをカタチにしていったといいます。

（※）大崎町假宿エリア内にある交差点周辺の字のこと。

ごみの分別という“やらねばならない場所”というイメージが強いごみステーションに交流の場としての可能性があることに着目。ごみの分別を行う場ではなく、朝の一杯のコーヒーや挨拶をきっかけに交流が生まれ、職種や世代を越えて日常の会話や学びが交差することで、新しい挑戦や出会いが芽生える拠点になり得ると考えたそうです。

実際のプロトタイプとして、テントを設置。紙コップにコメントを書いたりシールを貼ったりしながら「“おはよう”コーヒー」とPOPを掲げ、ごみステーションを訪れた住民にコーヒーを配ったりリサイクルの手伝いを行ったところ、地域の意外なつながりや最近の話題（例：消防団詰め所の移転など）が飛び出し、フランクな交流が生まれたのだとか。

「“おはようコーヒー”を踏まえ、朝の一杯のコーヒーと簡単な挨拶を媒介に小さな関わりをつくることで、単なるごみ分別といった場を超え、生活に貢献するコミュニティ拠点“みんなのサーキュラーステーション”を実現しようというのが今回の提案になります。」

 

次は「きおくの循環」チーム。

日常の愛着や知恵をつなぐ方法を探りながらまちに眠る人や物の記憶を掘り起こす活動を行い、まちを歩いて現存する（閉店した）映画館や銀行、食堂、印刷所、お菓子屋などの建物があることで記憶が残っている一方で、更地になれば思い出せなくなるという問題意識が共有されました。

その中で、商店街にある「後藤洋品店」で実際服を購入したり店主からヒアリングした時間を通じ、建物と衣類に含まれる記憶をどうつなげるかを考え、それを写真集というカタチで表現することにしたといいます。

「後藤洋品店の店主が先代から店を引き継いだ経緯や跡継ぎがいない現状を聞いていると、店内の洋服が長年にわたり、まちの暮らしを見守ってきた記憶をまとっていることを強く実感しました。」

「そこで私たちは眠っている洋服を現代風アレンジさせて目覚めさせるにはどうすべきかを考え、受け継がれてきたものを単に保存するのではなく、記憶と現代の文脈を掛け合わせて生まれ変わらせることが未来へつながると考えました。」

今回の取り組みはまちの人々と協働できる可能性も感じたのだとか。10~20代の若者や地域を支えてきた人々とも交流する場に発展し得るという考えも共有し、プレゼンは終了しました。

最後は「ものの循環」チーム。

「リサイクルに楽しさや喜びを生み出すにはどうすればよいか」をテーマに「おかえり●●ちゃんプロジェクト」を立ち上げ、関係性の再生と循環を日常の幸せとして感じられる仕組みを提案しました。

そこで28品目に分ける細やかな分別を住民が実践していることによって資源が生かされているという実感を十分に持てているかを問題意識として捉え、アイデアを考えていったそうです。

「Day1のフィールドワークで、生ごみが木くずと混ざり6ヶ月かけて堆肥になりまちの土壌へ還る過程を知り、住民の手によって土壌が再生される循環について、もっと実感を持てる機会を増やせないかと考えました。そこで循環を身近にするために“おかえり”という家族的な挨拶をブランド化し、目をモチーフにしたアイコンを作成し、何がまちに戻ってきているのかを視覚的に示すことにしました。」

そこで、トイレットペーパーや完熟堆肥など、分別された資源が再び製品や土に還っていることをアイコンで示し、住民に資源の循環を認識してもらうきっかけにしたいのだとか。

さらに「おかえり●●ちゃん」にシリアルナンバーを入れ、QRコードで読み取ると、ものの循環の流れが視覚的にわかる仕組みを取り入れ、ものを通じた人と人のつながりを可視化できるようにしたと説明がありました。

そのほかにも、チームでリサイクル可能なものづくりに挑戦。埋め立て処分場で目立った靴の問題に着目して、分解しやすい単一素材（ペットボトル）で制作したサンダルのプロトタイプを披露しました。サンダルは使用後に横型に圧縮してペットボトルとしてそのままリサイクルに出せる設計で、複合材を避けて分解・再資源化しやすいデザインにこだわったといいます。

最後は会場にいる全員で集合写真。来場いただいた町民の皆さん、ありがとうございました。

リフレクション

実施発表会が終わり、プログラムも終盤に差し掛かってきたところで3日間をリフレクション（※1）の時間へ。

大崎町での出会いや学びが参加者自身の仕事や生き方にどのような影響を与えたか。また、ごみや資源に限らない「つながり」や「きおく」といった循環の捉え方がどう変わったか。それらを踏まえて、自分ができる小さな行動を一つ綴る時間となりました。

（※1）内省を意味する言葉で、自分の考えや言動、行動などを深く省みること。

チェックアウト

最後はチェックアウトへ。参加者、事務局、メンター、サポートに入ってくださった町民の皆さんも含めて、この3日間の感想をシェアする時間となりました。いくつかの声を紹介したいと思います。

（参加者A）
実はプロトタイプをつくるのは初めてで、ドキドキしながら参加した。実際にフィールドワークやまちあるきでまちを知り、町民の皆さんからお話聞く中で、単なる視察では感じられない大崎町の可能性を感じた。提案したプロトタイプについてもブラッシュアップしきちんと実現できるように、今後も関わっていきたい。

（参加者B）
プログラムに参加して、同じ志を持つ仲間を得ることができ、3日間がとても楽しく充実したものとなった。この経験や大崎での出来事をふとした瞬間に思い出しながら過ごし、物理的に離れていてもできる関わりをしながら、プライベートでもまた訪れたい。

（参加者C）
外側から見ると、観光としていいところだけを見てしまいがちだが、今回は地元の皆さんの日常にお邪魔し、その中の視点で見てアイデアをカタチにしていったのは貴重な体験になった。また、地元の人と一緒に汗を流すことも大事だと気付かされた。

最後は各チームごとに集合写真。

皆さん、3日間、本当にお疲れさまでした。今回提案した内容が今後どのようなカタチとして展開されていくか、楽しみです。