湘南一小さなポテト屋から
藤沢市 KugenumaToricot
北海道のじゃがいもを、湘南で食べる。
「ここは、縁があったものや、人を、結んでいくロープみたいな存在なんです」
小田急江ノ島線「鵠沼海岸」駅を中心に南北へ広がる、鵠沼海岸商店街。
地元住民が向かうスーパーの手前、そろそろ商店街の切れ目になりそうだ、という地点に、その小さな店はある。
Kugenuma Tricot(鵠沼トリコ)
北海道十勝産のじゃがいもを使って、ワンハンドで丸ごと食べられるフライドポテトを提供する。
広さにして、わずか1坪程度。店、というよりも小さなキッチンの入った箱、といったイメージだ。その中から、深いブルーのオーニングと、パンチの効いたカウンターが飛び出してくれば、まもなく開店の合図。
「つながりの中で偶然生まれたのが“KugenumaToricot”」
もともとは、同じ敷地内に建つ賃貸アパートのため、住人用シェアキッチンを目的に建てられたものだったが、運営前に店舗へと方向転換を図る。
どんな店にするか?
様々なアイディアは生まれたものの、すでに建てられたキッチンのサイズは1坪しかない。
現実的な制限の中から、今の姿「湘南一小さなポテト屋」としてオープンしたのが、2016年の6月のこと。
単純に、店をやることが目的ではなかった。作りたかったのは、コミュニケーションの拠点。
「ロープのように、編み物のように、バラバラだったものがつながっていくこと」
その理念は、ショップロゴに採用されているモチーフの “ロープ”や、フランス語で編み物を意味する店名“toricot”に表れている。
「強烈なこだわりで、どうしても北海道じゃなきゃ、湘南じゃなきゃ、というのではない。
たまたま出会った中で、これいいね、と感じるものがあって。じゃあそれを今いる場所、行ける場所で広めていこうか、みたいな。
Toricot自体、イベント出店をすることもあって移動している。
関わる地方も、今までは北海道のじゃがいもだったから、今度は九州のもの、とか。どんどん増えていけたらいいと思います」
「オープンして、地域の人に受け入れられたと感じられるのは有難い。買い物途中のお子さんや、年配の方が、楽しんで買って行ってくれる姿を見られるのは嬉しいです」
コミュニケーションを大切にしていく中で、何ができるか、どんな変化が生まれていくか。
今後、やってみたいことは「マルシェイベントをこの場所で開催すること」。
湘南一小さなポテト屋の、これからが楽しみだ。