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高岡さんという人

2020.01.16

「ローカルって自分で仕事をつくらないと何も始まらないなって思ったんすよ。
そんな言葉をぼそっと呟いた。

高岡さんという人
リノベーションしたニシワキビル3階の高岡さんの事務所でインタビュー。こんな真面目に話したのは初めてであった。
雨の夜の訪問者

高岡さんと初めて会ったのは、2016年6月。私がニシワキビルの1階にクマゴローカフェを開店して数か月経ったある雨の日だった。そろそろ帰ろうと片付けをしていた閉店間際、「まだやってます?一杯だけ。○○さんから紹介されてきたんすけど。」とふらりとお店に来たのが始まりだ。そこから3年半ほど経つ。

高岡さんが独立し、企画設計の会社を立ち上げたのと、福井のリノベーションまちづくりが動き出したタイミングが合ったのであろう。ニシワキビルのことを面白がり、コツコツと同じビルの3階の一部屋をリノベーションし、自分の事務所兼ショールーム(予定)を構えた。高岡さんはここを福井の拠点に、色々な企みを同世代の人たちを仲間にしながら、じわじわと着実に実行し始めている。

高岡さんという人
居心地のよさそうなスペースが広がる。気が付けば高岡さんの事務所は夜遅くまで人が集まる場所に。
高岡さんは何を考えているのだろう

高岡さんの経歴は、なかなかに面白い。福井県福井市出身。生業は企画設計。大学は最初文系で卒業したが、建築を社会人になってから改めて夜学で学んだ。設計事務所に入社。中国の事務所に数年間在籍した後、独立。現在は上海、東京、福井と3拠点を行き来する。

「日本の福井くらいの規模の地方都市の駅近くに住んで暮らすってどんなのか実際やりたかったんだよね。」「飲み会を途中で帰らなくていい、最後まで居られるっていいじゃん。」「県外の人にここに来れば面白い人に会える場所と言える空間をつくりたいんだよ。」彼の言葉はどこを切り取っても明快だ。

どうして福井の駅前に暮らそうと思ったかという問いに、「僕の原風景に福井中心部の20年くらい前の姿があるんすよ。」と答えが返ってきた。「イケてる古着屋、雑貨店があってワクワクした場所。生活倉庫にヴィレッジヴァンガードがあった時代。西武デパートの新館ができたころ。かっこいい場所だったという記憶が、原動力になってると思う。」話すのは過去の福井駅前の姿。でも決して、昔はよかったという懐古主義の言葉ではない。
「前職の会社で、企業理念に自分がかっこいいと思っていれば実現できるっていうのがあって。その考え方があるからかな。」と高岡さんは話をつなぐ。「自分は変わらないけど、福井駅前に住んでみて、周りの人たちが自分の作った空間に来たときのリアクションが大きかった。ここに住むのいいぜって言えるよね。」言葉からは自分が行動に起こしてきたことへの自負がにじんでいる。

風の人であり、福井人である

高岡さんはふらっと現れてはまた消える。昨日は駅前を歩いていたのに、今日連絡したら上海だった、なんてことはザラだ。
「中国はかっこいい。北京オリンピックの下地で、30年近く新しい価値や人の流動があったから、そこで働く人たち、職人さんたちにその視点があるし、プロダクトも新鮮。逆にそこを輸入していけたら面白いんじゃないかなって思うんだよね。」

高岡さんという人
高岡さんが直接中国から輸入した家具や備品がちらほらと。漢字の雰囲気が絶妙。

これから福井というローカルで、彼は何を巻き起こしていくのか。
「自分自身や同世代の男性の実生活を発信するメディアは作るよ。空いているビルが沢山あるので何棟か借りて、暮らす人やお店をする人を探す不動産業もいい。あとは自分の作った場所にあるものを直接買えるネット販売はやりたいよなあ。」
やりたいことはきっと頭の中に溢れているのだ。2019年晩秋には、福井の浜町にあるクラフトブリッジ(以前の記事のリンク)の2階から4階を一気に借り受けた。福井駅から徒歩約10分。昔からの料亭や移築された洋館などが立ち並ぶ駅前とはまた毛色の違うエリアだ。
「だってこのままじゃもったいないじゃん。」と高岡さんは言う。「別になんも考えてないよ。元々この場所のコンセプトにはすごく賛同していたけど、それにこだわりすぎたくもないんだよね。でも場所の力ってすごく信じていて、クラフトブリッジもニシワキビルもそういう力がある場所だから、まずは俺らが使い倒すところから始めたいなって思うんだよ。ロケーションもいいよね。駅から10分くらいで足羽川と足羽山が近くにあって程よく緑が整備されてる。
まずは自分たちがとにかく動かしてみるんだと言う口調はいたって飾り気がない。「今、ランチタイムこの場所を開放していて、とりあえず毎日誰かが居るんだよ。周りの企業の人たちも来はじめている。まずはこういうことから始めていけたらいいかな。」クラフトブリッジもまた新しいフェーズに踏み出した。

高岡さんはどこにいるのか分からない人、とらえどころのない人である。その認識は今も変わらない。その反面、この数年で自分の足場をこの福井で一つずつ組み上げてきた。北陸の福井人の気質なのか黙々と実行する姿と、飄々としているこの2面性に私は驚かされているのだと思う。

高岡さんという人
白い壁に飾られた絵は、日本の某歴史的建築物を描いたもの。素朴なタッチの絵に惹かれた。

壁に飾ってある絵が飾ってあった。メガネの会社のインテリアの仕事でもらったものだそうだ。どことなく中華風味がある白い壁にその絵はマッチしていた。

高岡さんという人
後日、クマゴローカフェにて立ち飲みしながら、色々な話ができた。今後の動向を期待!