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キャンプも日々の生活も。自然と過ごす山形ライフ/高橋美樹さん

インタビュー

2020.07.21

山形暮らしを楽しむ #山形移住者インタビュー のシリーズ。今回のゲストは高橋美樹さんです。

山形市で生まれ育ち、東京で5年間を過ごしたのち、2017年に山形市へUターン。ご夫婦でキャンプを趣味としながら日常を楽しむ美樹さんの山形ライフが、日々Instagram(@___myon)にて発信されています。

山形の雄大な自然やキャンプの様子、日々の食卓やお出かけのひとコマなど、美樹さんの暮らしを見ていると、自分次第で山形はどこまでも楽しい場所になるのだと感じさせられます。それらのスナップの背景にはどんな思いがあるのか。美樹さんが山形に寄せる思いや日常を楽しむ工夫について、お話をうかがいました。

キャンプも日々の生活も。自然と過ごす山形ライフ/高橋美樹さん
高橋美樹さん(写真提供:高橋さん)

── 東京へ行ったきっかけは?

私も夫も共に山形市出身で、山形で結婚して、その直後に夫の転勤で東京へ行くことになり、約5年間を過ごしました。

── Uターンに不安はなかったですか?

むしろ楽しみでしたね。東京暮らしも刺激的で毎日充実していたのですが、山形を離れている間に、カフェや花屋を経営したり、会社を立ち上げたりと、仲間たちが実践者となって山形を盛り上げていて、これからの山形がすごく楽しくなる予感がしていました。自分も特技をいかした仕事がしたいとか、こんな暮らしがしたいと思い描いたりして、Uターンには楽しみしかなかったです。

実は、Uターンする大きなきっかけは家を建てることでした。夫も私も団地育ちだったので、家にはすごく憧れがあったんです。家を建てるにあたり、ずっと住みたい土地ってどこだろう?と考えるようになりました。

地元では仲間たちが頑張っていて、遠くからいつも刺激を受け、頭の片隅にはいつも山形がありました。

キャンプも日々の生活も。自然と過ごす山形ライフ/高橋美樹さん
東京暮らしの頃からキャンプにハマったという美樹さん。(写真提供:高橋さん)

かつてはバリバリ仕事して、休日はイベントやライブとかおしゃれなカフェに行ったりする、みたいなことが“充実した暮らし”だと思っていたけど、本当の充実ってなんだろう?と、東京の生活が身の丈に合っているのかとか、二人で話合うようになりました。

もともとアウトドアが好きで、自然が身近に感じられる環境がいいし、地元には頑張っている仲間たちもいるし、山形が理想的な場所かもしれないと結論が出ました。最初はいつか戻れたら、という軽い気持ちでいたのですが、自分たちでも早くアクションを起こしてみようと、30歳という節目に思い切ってUターンを決めました。2017年のことです。

山形に戻ってからすぐに土地を探して、ビビッとくる土地に出会い、翌年に家が完成しました。

キャンプも日々の生活も。自然と過ごす山形ライフ/高橋美樹さん
美樹さんのご自宅(写真提供:高橋さん)

Uターンしてから2年間は、家をつくる準備もあり、仕事も忙しく、目まぐるしく日々が過ぎていきました。

東京にいた頃は事務職をしていて、好きなことと仕事を分けて考えていたように思います。ところがある日、夫から「好きなことを仕事にしてみたら?」と言われたんです。

山形に戻ってからは、友人が経営するカフェでマネージャーとして働いていました。カフェも接客も大好きな仕事だけど、他にも好きなことがあるから、新しいことにもチャレンジしてみようと、ちょうど家が完成したタイミングでアウトドアや写真など自分の好きなことがいかせるショップに求人が出て、転職が決まりました。好きなことを追求していくことや自分の生き方を考えるうえで、大きなターニングポイントとなりました。

キャンプも日々の生活も。自然と過ごす山形ライフ/高橋美樹さん
(写真提供:高橋さん)

── 美樹さんといえば、キャンプ。キャンプとの出会いは?

実はキャンプデビューしたのは関東にいた頃でした。夫はアウトドア一家で育ってきたのですが、私は小学校の体験学習くらいでキャンプはほぼ未経験。私のキャンプの師匠は夫なんです。

初キャンプでは、電車を乗り継いでバックパックひとつで千葉のキャンプ場に行き、あまりに過酷で最初は懲り懲りしたのですが、その後すっかりハマってしまって、千葉や山梨など毎週のようにキャンプに出かけていました。キャンプのイベントに行くとキャンパーと繋がれて、みんなでワイワイするのも楽しかったです。

キャンプも日々の生活も。自然と過ごす山形ライフ/高橋美樹さん
愛車のランドクルーザー60に乗って。(写真提供:高橋さん)
キャンプも日々の生活も。自然と過ごす山形ライフ/高橋美樹さん
キャンプで美樹さんはお料理担当。家で仕込んでおけば、煮るだけ焼くだけで完成するとのこと。こちらはスペアリブのトマト煮込み。(写真提供:高橋さん)

── 関東でキャンプにハマったのですね。

もともと自然が好きだったんですよね。祖父母の家が村木沢のエリアにあって、茅葺き屋根で広い縁側がある昔話に出てくるような家でした。その家が大好きで、田んぼも畑も山もあってすごくのどかで、祖父母の暮らしもまわりの環境もすごくいいなぁと思って育ってきました。

一度山形を離れたからこそ、幼少期の感覚が呼び起こされて、山形の自然っていいなあと、いい場所がいっぱいあるなと気づけたのだと思います。

キャンプも日々の生活も。自然と過ごす山形ライフ/高橋美樹さん
アウトドアを通じて山形の四季の美しさを味わう。春先にはカヌーをしたり。(写真提供:高橋さん)
キャンプも日々の生活も。自然と過ごす山形ライフ/高橋美樹さん
冬にはワカサギ釣りも。(写真提供:高橋さん)

── 東京に住んでキャンプをするのと、山形に住んでキャンプをするのとで、どんな違いがあるのでしょうか?

私の場合、関東ではいわゆる“キャンプ場”でキャンプをすることも多かったです。みんながキャンプをするために集まってくる場所。

山形ではゆっくり景色を見ながら自然を楽しむキャンプをしています。夫は釣りが趣味なので、釣りができて野営ができる場所を選ぶことが多いです。

キャンプも日々の生活も。自然と過ごす山形ライフ/高橋美樹さん
大井沢でのキャンプ。山形では、より自然に近い環境での野営を楽しんでいるそう。(写真提供:高橋さん)

例えば大井沢に行ったときは、夏の月山を見ながら、自分の横に流れる川はあの月山から雪解け水が流れてきているのだなぁと、自然の中に身を置きながら地形を体感できるというか。ありのままの自然の中に「ちょっと場所をお借りします」という感覚です。

「蔵王坊平国設野営場」は夏でも羽織りが必要なくらい涼しいんですよ。木々に囲まれて虫の音を聞きながらハンモックでお昼寝していると最高に気持ちがいい。涼しいながらも夏の景色が楽しめていいですね。

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真夏のキャンプではアイスコーヒーがおいしい!とのこと。(写真提供:高橋さん)

── 美樹さんにとってキャンプの醍醐味とは?

自分だけの時間を楽しめることでしょうか。まちなかにいると、ひとりで過ごしていても本当の意味でひとりにはなれないし、家にいてもやることがたくさんあって、ゆっくり考えたり自分と向き合う時間ってほとんどないんですよね。

キャンプに行くと“無”になれる。自分を少し引いて遠くから見られるというか。ぼーっと考えていると、ずっと引きずっていた仕事での失敗も切り替えができたり、悩んでいたことがどうでもよくなって、気持ちがふっと軽くなる。自分にとっては欠かせない、大切な時間です。

キャンプも日々の生活も。自然と過ごす山形ライフ/高橋美樹さん
キャンプでは読書もはかどるのだとか。(写真提供:高橋さん)

── キャンプのほか、山形のどんなところが好きですか?

人があたたかいところ。あと、山形は食文化をはじめ、地域に根ざした昔ながらの文化を大切にしているところ。

その一方で、お店をつくったり、事業を起こしたりと、若い世代が次々と新しいことにチャレンジしていますよね。それは旅行客や外から人を集めるためじゃなくて、自分たちが暮らす山形を大切に、より良くしようとしている。一人でコトを起こそうとするのではなく、お店同士や周りとが連携して人を生かした仕事をしようとするから、相乗効果が生まれて、さらに周りを楽しませることができる。それってすごく素晴らしいことで、他県に自慢できる誇らしいことだと思います。

山形の場合は、きっと学生の力も大きいですよね。彼らががんばっているのを少し上の世代の人が受け入れて応援しているのも、チャレンジがしやすい環境をつくっているのかなと思います。

キャンプも日々の生活も。自然と過ごす山形ライフ/高橋美樹さん
お料理が得意な美樹さん。BOTAcofeeとコラボレーションしてイベント「みきメシ」を開催。(写真提供:高橋さん)

こういった山形の魅力は、一度住まないとわからないことなのかもしれません。だけど、なんとか伝えたい。Instagramでは、そんな山形の日常的な魅力を伝えたい思いもあって発信しています。「山形に一度行ってみたいな」と思う人が一人でも増えたらいいなという思いを込めて。

──Uターンして約3年が経ちますが、ご自身の中でどんな変化を感じますか?

暮らしを楽しむことの意味が少しわかったような気がします。仕事が終わってベランダから山形の景色を見てお酒を飲んだり、夫と週末はどこにキャンプに行こうかと話し合ったり、将来の話をしたり、日々の食事を楽しんだり。どれも当たり前のことなのですが、そんな当たり前の瞬間がいいなぁと、自分にとっては大切な時間なんだと思うようになりました。それが一番大きな変化ですね。

キャンプも日々の生活も。自然と過ごす山形ライフ/高橋美樹さん
ご主人が雪の残る月山を登山して収穫した月山筍を夕食に。季節の味を楽しむ暮らし。(写真提供:高橋さん)

── 今後挑戦したいことや、これから考えていることがあれば教えてください。

いま山形の人口はどんどん減少しながらも、高齢者の人口は増えていますよね。幼少期におじいちゃんおばあちゃん子だったことも影響しているかもしれませんが、最近は、まちづくりの中で若い世代と高齢の方々が一緒になって、高齢者の方が活力あふれるような活動ができたらいいなと思っています。

例えば、カフェが高齢者と周辺の子どもたちとの憩いの場になって、近所のおじいちゃんやおばあちゃんが子どもたちに昔話を聞かせたり、話し相手になったり、暮らしの知恵を教えてくれたり、多世代が連携して助け合って子どもを守っていけるような環境。接客とかアウトドアや写真など、自分の得意なスキルを生かしてそれに携わっていけたらと思っています。

イベントか場づくりか、どんな手法になるかはまだ考え中です。まわりにがんばっている仲間たちがいるから、私もがんばってみたい。せっかく山形にいるのだから、新しいことにチャレンジしていきたいと思っています。

写真提供:高橋美樹さん via Instagram(@___myon)
取材・文:中島彩