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自然の中で育つ。鎌倉市内の青空自主保育「でんでんむし」を取材

移住と子育て

2021.06.15

鎌倉に移住するにあたり、自然の中で子育てをしたいと希望する方は多いと思います。実際、鎌倉市は海も山も近くにあるという豊かな自然が魅力のまちです。そんな鎌倉市には、「青空自主保育」を行う団体があるのをご存知でしょうか。

自然の中で育つ。鎌倉市内の青空自主保育「でんでんむし」を取材
広町の森の谷戸。毎週火曜日は畑で活動しています。

「青空保育」とは、園舎を持たず、晴れの日も雨の日も山や海や川など自然の中で過ごす保育のこと。そして「自主保育」とは、幼稚園などに子どもを預けず、親自らが保育を行うことです。それらを合わせたのが「青空自主保育」です。今回は広町の森(「鎌倉広町緑地」が正式名称。鎌倉市内の南西部に位置する、市が所有する緑地です)を拠点として活動をする「青空自主保育でんでんむし」の活動に同行し取材をさせていただきました。

自然の中で育つ。鎌倉市内の青空自主保育「でんでんむし」を取材
森を歩いて、みんなで畑を目指します

「青空自主保育でんでんむし」は、2(早い子は歩けるようになった1歳8ヶ月くらいから)~6歳の就学前までの子どもが参加できる、鎌倉市内の団体では、唯一小学校入学まで通しで通える青空自主保育です。取材時では、鎌倉市内の団体の中では一番加入人数が多く、また今年で20周年を迎えます。

西鎌倉の広町の森をベースに活動しており、鎌倉市内だけでなく藤沢市の方も半数くらい参加されています。週4回(月・火・木・金)、専任保育者と保護者が保育に携わり、3クラスに分かれて活動していますが、毎週火曜日は、畑活動をしており、そのときは3クラス合同の縦割り保育となります。今回は火曜の畑活動に参加しました。

朝8時50分に広町の森の入口に集合(季節によって変わります)。保護者が自転車で子どもたちと一緒に、ぞくぞくと集まります。「でんでんむし」では、専任の保育者(我が子を自主保育で育てた先輩母であり、保育者としての経験や自然・安全に関する知識も豊富なスペシャリストです)と、当番の保護者が活動に付き添います。ただし、ずっと子どもに付き添うというよりは、大人みんなで子どもを見守ろう、という感じで「助け合い、預け合い」という精神です。

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途中、なにかを見つけたらしい子どもたち。なんだろう?

集合したら軽いミーティングがあり、その後、子ども達は思い思いに畑を目指します。まだよちよち歩きかな?という小さな子どももいますが、みんな自分のペースで歩いて行きます。途中、泣いてしまう子もいたりして。そんなときは大人が助けたりもしますが、基本は見守るというスタンスです。転んでも、まずは子どもが自力で立ち上がれるか見守る。ついついすぐに抱き起してしまいそうなところを、大人がぐっとこらえます。すると、子どもは案外平気な顔で、自ら立ち上がり、また進みます。そんな姿を目の当たりにしながら、私も森の中を進みました。

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するすると高い木にも登ります。すごい!

途中、桑の木の場所で休憩をします。梅雨入り前でいい天気だったこの日は、水分補給も積極的に。みんなで一緒に水分を取ります。休憩中も、木に登って遊ぶ子、追いかけっこを始める子、虫を見つけてじっと観察する子、みんな思い思いにのびのびと遊びます。自然の中でどうやって遊ぶのかな、と観察していると、子どもには子どものルールがあるらしく、木に登る順番も、誰かが独占するわけでもなく、みんなが自然とルールを作り、それを守って遊びます。また、ケンカが起こっても大人は口をはさみません。

「やめなさい」「危ないよ」「だめだよ」を大人がほとんど声に出さなかったのも、とても印象的でした。むしろ大人は「やってごらん」と言って、あとは見守ります。「自然の中でひととの関わりをおぼえ、生きる力をはぐくむ」それが、青空自主保育の基本方針です。自然の中で、助け合い、協力し、ときにケンカをし、手を取り合って共に成長している姿がありました。

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畑と田んぼがあり、収穫をしたり、メンテナンスをしたりします。

休憩が終わったら、畑を目指してさらに進みます。広町の森の谷戸にあたるエリアに「でんでんむし」がお世話になっている畑があり、出発から1時間ほどで到着しました。まるで、桃源郷のような場所。谷戸に流れ込む湧き水が田畑を潤し、水遊びもできるそうです。

畑に着くと、畑の手入れをしてくれている方が挨拶をしてくれ、今日やるべき作業を伝えてくれます。ここでも、子どもに畑作業の手伝いをやろう、というのではなく畑作業をやりたい子は大人と一緒に行い、子ども同士で遊びたい子、水遊びをする子、なにも言わなくても、それぞれに自分がやりたいことを見つけて、それに参加していきます。

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子どもも一緒に、キャベツの根を掘り起こします

この日の畑作業はキャベツの収穫と、キャベツの根を掘る作業。きゅうりのツルが伸びたので、支柱を追加する作業、麦(スペルト小麦という小麦の古代原種を栽培しており、種をつないでいく活動もしています)の網取りなどをしました。田植えも行うので、稲穂を育てている一画があったり、オタマジャクシを保護するために、一度自宅で育てて田んぼに還す活動もしています。

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きゅうりのツルの伸びたので、支柱を増やす作業。子どもも一緒に

畑仕事が終わったら、みんなでお弁当を食べて、最初の集合場所に歩いて戻り、解散です。(私は、畑作業の途中で帰ることになったのですが、朝からたくさん森の中を歩いて、心地いい疲れを感じました。)

自然の中で育つ。鎌倉市内の青空自主保育「でんでんむし」を取材
アメンボを捕まえた!と見せてくれました

取材の日は、最近都内から鎌倉に引越しをして参加を始めたという2才くらいの女の子がいました。この日はまだまだおっかなびっくりという感じでしたが、徐々に慣れて森の中で他の子どもたちと自由に遊びを見つけるんだろうなと思い、ほほえましかったです。最近は、こうして鎌倉に引越しをしてきた方の新規の参加や、都内から参加できる体験会はありますか?というお問合わせも増えているのだそうです。

そこで、鎌倉市内の「青空自主保育」の7団体が協力して「青空自主保育マップ」を作りました。参加している保護者の方がイラストを描いたという素敵なマップです。手書きのアイコンがついていて、それぞれ団体の特徴を表しています。また、活動の拠点も目で見て確認できるので便利。気になる団体には、直接コンタクトを取ることもできますし、InstagramなどのSNSから、体験会の日程などの情報を得ることもできます。

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鎌倉市内7団体の「青空自主保育」マップです

各団体の詳細は、下記の「青空自主保育MAPホームページ」から詳しく見ることができます。

ぜひ、気になる団体へお問合わせをしてみてください。

名称

鎌倉市「青空自主保育」MAP

URL

https://kamakurajisyuhoiku.wixsite.com/mapinfo