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【山形 / 連載】穏やかな休日のための音楽14

連載

2022.02.26

「穏やかな休日のための音楽」では、毎回山形に縁のある南米のアーティストとそのアルバムを紹介しています。

初めてフィロー・マッシャード(FILÓ MACHADO)のパフォーマンスを見たのはいつだったのか、もう定かではないのですが、とにかくその声とギター、そしてパーカッシブに体を使った、野生的で自由奔放な演奏には驚きを禁じ得ませんでした。ちょっと彼のパフォーマンスの一端をご覧になってみてください。

フィロー・マッシャードは1951年にサンパウロ州ヒベラォン・プレートに生まれ、なんと10歳にして既にダンスホールで歌い始めたそうです。

1971年にサンパウロへ移り、多くの著名なアーティストと共演。1978年に自身初のソロアルバム「FILÓ」をリリース。1981年にはブラジルの大御所、ジャヴァン(D J A V A N)と楽曲「Jogral」を共作し、彼のアルバム「Seduzir」にギターで参加。その後米国で活動したのち、ミシェル・ルグランとヨーロッパで共演。1995年にはミシェル・ルグランをゲストに迎えたアルバム、「Milagre da canção」を制作。1998年にはサンパウロの女性3人組ア・トレスの音楽監督として初来日。2001年には二度目の来日を果たし、安井源之新、TOYONO、伊藤ゴローのユニット、「Espirito」の傑作アルバム「セラフィン」などに参加しました。

2004 年に米国で製作された「Cantando um Samba」は、ヨーロッパ、アジアでもリリースされ、グラミー賞ラテンジャズ部門にノミネート。日本でもオーディエンスのみならずミュージシャンからの尊敬を集めているアーティストの1人で、高い技巧のギターと縦横無尽のヴォーカルで、自由自在な音楽を奏でるまさに「天才」です。そのフィロー・マッシャードの3回目の来日、そして山形公演は2005年のことでした。

【山形 / 連載】穏やかな休日のための音楽14

山形公演の会場は山寺風雅の国。現役バリバリのブラジルのビッグ・ネームの公演であったため、当時まだ経験不足の我々は大いに緊張した覚えがあります。気さくであり、また非常に豪放磊落な印象のフィローでしたが、アーティストらしい神経質で気難しい一面もありました。しかしそばに女性陣がいるとご機嫌に。

この時のツアーは当時の「Sundae Booth」の皆さんがVideo撮影をしていて、ライブの翌日はスタジオでMVを撮影しました。画質は良くありませんがまだYouTube上に残っています。フィローのヴォイス・パフォーマンスとタコ踊り(当時皆でそう呼んでました)を堪能できる素晴らしい動画です。

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【山形 / 連載】穏やかな休日のための音楽14

そして今回紹介するのは、2004年のアルバム『Jazz de Senzala』。山形にも来て頂いた大御所トニーニョ・オルタ(Toninho Horta)、ギンガと山形公演を行ったテコ・カルドーゾ(Teco Cardoso)などをゲストに迎えた作品です。本作の話題はなんと言ってもトニーニョ・オルタとの名曲”Aqui, O!“のデュオですが、やはりフィローらしいのは自身の声とギターによる楽曲です。フィロー・マッシャードらしい圧倒的なパフォーマンスとグルーヴに満ちた充実したアルバムです。雪を溶かしてくれそうな熱い演奏を、穏やかな休日に聴いてみてください。

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