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【山形・村山市】地域を繋ぐ“ハブ”のような存在に。県内初の体験型グランピング施設「yamagata glam」。

施設紹介

2022.03.29

「rain drop」と呼ばれるドームテントや温泉プールなどが魅力の体験型グランピング施設「yamagata glam」についてご案内します!

「グランピング」とは、「グラマラス」と「キャンピング」を組み合わせた造語で、通常のキャンプと違い、テント設営や食事の準備などといったことをせず、ホテルに泊まるようにキャンプができることを指す。テント内も寝袋ではなく、ベッドやソファーが設置してあり、ラグジュアリー感のある場所でリラックスできるのも特徴。手ぶらでの参加ができるので、キャンプ初心者も安心して利用できる。山形県内にも2020年冬、村山市に体験型グランピング施設「yamagata glam」がオープンした。運営するのは、かみのやま温泉で古くから旅館を営む「日本の宿 古窯」。村山市と連携協定を結び、この施設を通して地域の活性化を目指している。密が防げることからコロナ禍で一層アウトドアに注目が集まっていることもあり、オープン当初から好調な滑り出しだそうだが、その魅力について広報マーケティング部課長の木幡純一さんと施設のマネージャーを務める白丸友希江さんのおふたりに聞いた。

【山形・村山市】地域を繋ぐ“ハブ”のような存在に。県内初の体験型グランピング施設「yamagata glam」。
木幡純一さん(左)と白丸友希江さん(右)。白丸さんは、元々古窯の仲居として働いていたそう。

観光需要を増やし、地域の方にも喜んでもらえる施設に

最上川を望む場所に8張りのドームテントが並ぶ。直径6m✕高さ3mの大型テントで、収容人数は最大5名。テントの中にはふかふかのベッドとソファーがあり、冷暖房も完備なので、テントとは思えないほど快適に過ごせる。川に面した部分は窓のようにスケルトンになっていて、テント内から最上川を眺めることも可能。大自然の中に身を置いている感覚を味わえる。

木幡「弊社でこの敷地を長く保有していて、活用方法を模索していました。最上川沿いの大自然を活かすことを考えたときに、旅館よりもアウトドアに特化した施設がいいのではないかという案が上がり、グランピング施設として動き出したんです。本業が旅館業なので、宿泊のノウハウはありますが、グランピングは初の試み。全国のグランピング施設を訪問したり、テントメーカーの方にも情報共有をいただき、コンセプトなどを固めていきました。『やまもりやまがた』をキーワードにそれぞれのテントには、山形にある山の名前をモチーフにした名前をつけています。内装もその名にちなんだものにしていて、8つともテーマが違った設えです」

【山形・村山市】地域を繋ぐ“ハブ”のような存在に。県内初の体験型グランピング施設「yamagata glam」。
真っ白なドームテントが並ぶ姿も絵になる。
【山形・村山市】地域を繋ぐ“ハブ”のような存在に。県内初の体験型グランピング施設「yamagata glam」。
天童市にある雨呼山がモチーフとなったテント「rain drop」。まるでホテルの一室のように充実している。

“体験型”と銘打っているのは、キャンプができるからだけではない。事前予約をすれば、宿泊者が無料で体験できるアクティビティがいくつも用意されているのだ。

木幡「当施設は温泉保養館の『クアハウス碁点』さんに隣接しており、お風呂と温泉プールの利用をさせていただいています。それも“湯あそび体験”として提示していて、アクティビティのひとつに。ほかには最上川三難所舟下り、そば打ち、ホースガーデン乗馬など、地域でできる体験をいくつも準備しています。どの体験も宿泊料金にインクルードされているので、宿泊していることを証明するリストバンドと予約確認メールを見せていただければ、無料でご利用いただけます。すべてを消化しようと思ったら1日では足りないほどなので、宿泊される方は忙しいと思います(笑)。体験をいくつも用意していることはリピーターになっていただく目的もありますが、ただ誘客するだけではなく、地域とお客様を繋ぐハブのような施設になりたいという思いも込めているんです。なので、各体験施設にも私たちが交渉をして許可をいただきました。観光だけではなく、食材についてもハブとして機能するように地域のものを積極的に使っています。例えば、朝食のパンは近くの『お米のめぐみ 穂たる』さんのものを提供することで、お客様が『おいしい』で終わるのではなく実際に立ち寄ることもできるような“知るきっかけ”を作れればと思っているんです。弊社全体として観光需要を増やすことに力を入れており、我々がそれを商品として提供することで、村山市民の方にも喜んでもらえるようにしていきたいと考えています」

【山形・村山市】地域を繋ぐ“ハブ”のような存在に。県内初の体験型グランピング施設「yamagata glam」。
管理棟では山形のお酒も販売している。
【山形・村山市】地域を繋ぐ“ハブ”のような存在に。県内初の体験型グランピング施設「yamagata glam」。
体験のひとつ「最上川三難所舟下り」の様子。(写真提供/yamagata glam)

コロナ禍でのオープンではあったが「三密回避」という点でアウトドアは親和性が高く、昨年の夏は稼働率が98%と好発進。シーズンオフで週末のみの営業となった冬季もひと部屋、ふた部屋しか残らないほどだったという。とくに若い世代が多いそうで、それは木幡さんたちも想定外だったと話す。

木幡12食付きで55,000円(1テント2名利用時)というのは、決して安価ではありません。しかし、今の10代、20代は好きな人との体験、経験、思い出が作れることに対しては価値を見出していて、糸目をつけない方が多いことを知りました。私たちの考えとは価値観が変わってきていることを感じています。卒旅プランでは、予約してくださった方にインスタントカメラの『写ルンです』をプレゼントしているんですが、スマホ世代の方にとって現像するまで何が撮れたのかわからないワクワク感がおもしろいようで、そのプランもけっこう人気ですよ」

白丸「みなさん思い出作りに対して積極的な印象です。卒旅プランも今はコロナ禍で行けなかった方が『リベンジ卒旅』をするために20203月以降に卒業された方も対象にしています。それもあって若い方が多いのかもしれません。宿泊するのはもちろん、ほかでは体験できないことができるのがここの魅力なので、食事についても体験の要素を入れています。『焼く』、『煮る』だけではなく、形を作ったり顔を作ったりして、料理をしながらも楽しんでもらえる工夫をしているんです。声をかけると、みなさんすごくいい笑顔で『楽しいです』って言ってくださるんですよ」

木幡「クアハウス碁点さんの日帰り温泉は地元の方から人気で、みなさん仕事帰りに自分の家のお風呂に入るように使われているそうなんですね。そこにyamagata glamに泊まられている若い世代の方が混ざっている状況はおもしろいとも思っていて。新しい層の誘客になっているのではないかと思っています」 

白丸「そば打ち体験などもこれまでのお客様と層が変わって、新鮮だという話を伺っていますよ。yamagata glamができたことによって、観光需要の幅が広がっているはうれしいことです」

【山形・村山市】地域を繋ぐ“ハブ”のような存在に。県内初の体験型グランピング施設「yamagata glam」。
冬季の夕食は鍋。中央のクマは大根おろしで作る。「料理のおいしさはしっかりと担保した上で、そこにどんな付加価値をプラスするのかが重要になります」(木幡さん)。(写真提供/yamagata glam)

人材育成、雇用からも村山市をバックアップ

村山市との連携協定という部分においては「人を呼び込む」という目的以外に「人材を育てる」面も担っている。

木幡「現在は、クアハウス碁点さんのお風呂と温泉プールを使わせていただいているのみですが、今後例えばプールの改修があるときなどに事業者としてyamagata glamも参加していきたいと考えています。最大利益、付加価値を生むためにどんなコンテンツが必要なのかを一緒に提案していきたいです。それ以外に従業員のスキルアップであったり、働くやりがいについても協議をしているところなんですね。弊社は旅館業が本業なのでオペレーションの実務などは伝えられることがあると思っています」

人材育成以外にもyamagata glamがあることで村山市に新しい雇用も生み出しており、ダブルワークをする方や短時間働きたい人も多く働いている。求人を出せばすぐに埋まるほどの人気だ。その理由には誰でもすぐ働ける環境にしていることもある。

木幡「この施設内で発生した支払いについては、すべてキャッシュレスで現金は扱わない仕組みにしています。世の中的にそれができる時流になってきているのもありますが、現金を扱うとレジ締めが終わらない、金額が合わないときの対処など働く人にとってストレスにもなり得るので、誰が来てもすぐにレジが担当できる環境にしました。それ以外の仕事も“この人にしかできない”というものをなくしていて、1時間、2時間教えて貰えば、すぐに働き出せる環境に。いい意味でいい加減に楽しく働けることを重要視しています」

白丸「村山市の方にも多数働いていただいています。別の仕事との合間にここで働いている方もいますよ。この施設自体、アウトドアを極めることに重きを置いていないのもあって、私もここで働きながら焚き火のやり方などを学びました。スタッフがアウトドアのプロである必要がないことも働きやすさのひとつなのかもしれないです」

【山形・村山市】地域を繋ぐ“ハブ”のような存在に。県内初の体験型グランピング施設「yamagata glam」。
春の施設全景。桜の時期にはお花見も楽しめる。(写真提供/yamagata glam)

今後は、地域とさらに密接にそして観光業を盛り上げるためにも、さまざまな取り組みを開催していく予定だ。

木幡「以前、単発で行なったスカイランタンという企画があったのですが、そういう企画も今後はクアハウス碁点さんのお客様にも告知をして一緒に行なえるようにしていきたいです。私たちは集客だけではなく、地域のコミュニティーに企業として参加をしてユーザーを繋いでいくことが役目。これまでも敷地内で土日にマルシェなどの計画を持ち掛けていただいたりなどもありました。私たちが持っている顧客は若い世代ですが、地元のラーメン屋さんはまた別のセグメントの顧客を抱えておりますし、パン屋さんもまた違う。多数のセグメントが1か所に集まれば、新たな滞留が生まれます。みなさんが新たな顧客を獲得できる場を提供していけたらと思うんです」

写真:伊藤美香子
取材・文:中山夏美

名称

yamagata glam

URL

https://yamagata-glam.com/