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【鹿児島県 鹿児島市】親子で同じパンを一緒に食べられるように/喜ぶひまわりベーカリー森真一郎さん

インタビュー

2022.10.31

移動販売で遠くから見ているあの子にもみんなと同じようにパンを食べてほしい。
家族全員で、同じものを美味しく食べられるパン作りをしていきたい。

今回は、喜ぶひまわりベーカリーのパン職人 森真一郎さんにお話をうかがった。

【鹿児島県 鹿児島市】親子で同じパンを一緒に食べられるように/喜ぶひまわりベーカリー森真一郎さん

店内に入ると、ショーケースには、美味しそうなパンが並んでいる。このクロワッサンは、フランス人直伝のレシピで3日間かけて作ったものだ。

【鹿児島県 鹿児島市】親子で同じパンを一緒に食べられるように/喜ぶひまわりベーカリー森真一郎さん

そして、このバケットは、熊本の小麦を使っていて、レモン果汁を入れているこだわりのパンだ。表面は、バリっと硬く、噛めば噛むほど、バケットの香ばしい味を楽しめる。

【鹿児島県 鹿児島市】親子で同じパンを一緒に食べられるように/喜ぶひまわりベーカリー森真一郎さん

実は、このパンは、こだわりにこだわったパンなのである。今回は、森さんが、こだわるパンについて迫っていく。

 職人への道

⼩学⽣の頃から、親戚が和洋菓⼦店を営んでおり、お盆やクリスマスなどの繁忙期には、お⼿伝いをしていて、「作ること」が⾝近にあった森さん。

進路を決める時に、昔か⼿伝いに⾏っていた親戚のおばちゃんに⽇本菓⼦専⾨学校を進めら れ、本格的にこの道に進むことになったという。

卒業後は、ケーキの平⾯細⼯で、東⽇本で⼀番の賞を受賞したこともあるそう。
その後、パンと洋菓⼦のお店に⼊って、洋菓⼦の道に進もうとしたところ、⼈数が少ないからということで、パン製造に配属された。

「⼯房に⾏くと、周りにはフランス⼈しかいませんでした。 仏和辞典を基に、⽚⾔で会話をしながら、全てフランス⼈にパン作りを教えてもらいました。」

⾔葉の壁や、異⽂化に悩むことや苦労もあったが、⽇本にいて、パンの本場であるフランス ⼈に囲まれて学ぶことができたのは、とても貴重な経験だったそう。

パイルームという 0 度くらいの寒い部屋で、ジャンパーを着て、⼀⽇中フランス⼈と⼆⼈ で、パイの折り込みをしたという苦労もあったという。

「修⾏をしてこそ 1 ⼈前になれる」「耐えれば、次がある」という気持ちで 6 年間の下積み期間を耐えてきたとお話してくれた。

その後は、⼤⼿パン屋で店⻑を務め、⻑い下積みと経験を積み、「実家の側で、パン屋をし ようかな」と思い、地元である出⽔に帰ってくることになった。

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「フランス⼈直伝のこだわりのパン屋をはじめました。最初は、⾼速道路を作っている⼈、 新幹線を作っている⼈たちがいて、賑わっていたのですが、段々と撤退してしまいうまくい かなくなっていったんです。

そんなある⽇、たまたま知⼈を通して出会ったマクロビの⽣活を究極に極めた⼥性(後の奥 様)がお店に来てくれてお話をしたところ

「こだわっているんだったら、とことんこだわりなさい!」という⾔葉を聞いて、その⽇に ⽩砂糖を全部捨てて、きび糖に切り替えました。そこから、どんどん、こだわるようになっていきましたね。

ある⽇、パンの移動販売に⾏くと、⼦供が⼀⻫に集まってくるんです。 でも、寄ってこない⼦がいて、どうしてかな?と思っていたところ、何回か通ううちに「卵 アレルギーを持っているんだ」と、お話ししてくれました。

⼤体の⽅が、アレルギーがあることを隠されることが多いんです。 そうなると、親も⼦どもの前で⾷べられなくなってしまって、裏で⾷べたとしても罪悪があ って⼼の底から美味しいと思えなくなってしまうと思うんです。

だから、どうにかして、遠くで、⾒ている⼦供を呼びたいと思いました。
「⽢酒に変えてみたらどうかな? ⻑芋にしてみたらどうかな?」 妻と何度も、何度も、話合って作りました。

やっと完成したパンを持って、その⼦の元へ⾏き

「このパンはね、卵が⼊ってないから、⾷べられるんだよ。」

と伝えると 次の⽇からその⼦は、移動販売に来る 30 分前から、パンをずっと待ってくれていたんです。

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そこから、寝る間を惜しんで、アレルギーを持つ⼦供たちの元へ、出⽔から姶良⽅⾯までパ ンを届けてまわりました。

幼稚園に届けに⾏くと、「先⽣、今⽇遅いよ〜」と⾔いながら幼稚園の柵を握ってずっと待っている⼦もいました。

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その他にも、宮崎や熊本からインターネットの情報を⾒て、おじいちゃんや、おばあちゃん が訪ねてこられたこともあるとのこと。
パンを⾒た瞬間に、⼀⽣懸命働いている息⼦や娘に、「あったよ〜!買って帰るからね!」 とその場で電話をする⽅もいらっしゃるそうだ。 その⽅々の気持ちを想うと、どれだけ嬉しいことなのか、胸がいっぱいになる。

他にも、森さんのパンは、多くの⽅に「⾷べることの喜びと、美味しさ」を届けている。

学校の給⾷で、皆がコッペパンを⾷べている時に、アレルギーがあるから、⾃分だけ違うも のを⾷べている⼦に、給⾷⽤に決められた⼤きさのパンを作った、というお話も。

また、卵アレルギーで、ケーキが⾷べられない⼦たちにもために、ケーキも作っていらっし ゃる。注⽂を受けた⽇の朝に、スポンジを焼いて、卵の⼊っていないクリームを使ってお渡ししているという。

きっと、アレルギーを持っていて、「⾷べたくても⾷べられない」という⽅がもっとたくさ んいるのではないだろうか。
そんな⼈たちのために、森さんは、「⼦供たちが、みんなと⼀緒にパンやケーキを美味しく ⾷べられるように」今⽇も美味しいパンを焼き、みんなの元へ。

屋号

喜ぶオーガニックベーカリー ひまわり

URL

https://himawari.natural-life.link/

住所

⿅児島市吉野町 1045−36 ティア メゾン 滝の神(MAP

備考

電話番号:080-1722-9727