アートで地域はもり☆もりするか?「森の芸術祭」の熱を次へ繋ぐ、DIY精神あふれる岡山発の実践。もり☆もりミーティング2026レポート

2026年3月7日、岡山県津山市の寺町耕舎にて、トークイベント「もり☆もりミーティング2026」が開催されました。主催は、岡山県北部を舞台にした「森の芸術祭2024」でコーディネーター等を務めたことがきっかけで結成されたチーム「MMMコレクティブ」。

会場は、国際芸術祭「森の芸術祭 晴れの国・岡山」(2024年秋に初開催)の拠点ともなった津山市にある、元々農機具の倉庫や修理工場として使われていた寺町耕舎。芸術祭をきっかけに生まれた地域との繋がりを背景に、「民間レベルで自分たちにできることを」という主催者の思いから開催に至ったそうです。当日は文化芸術に関わる約60名が集結し、熱気あふれる濃密な時間となりました。
「アートの専門家じゃないけど、DIY精神でやっちゃった!」そんな地域発のワクワクする実践も次々と飛び出したイベントの様子をレポートします。

裸祭りにも飛び入り参加!?民間レベルで地域を「キュア」するコレクティブ
イベントの口火を切ったのは、主催である「Forest Art Collective」のメンバー5名(大倉佑亮、三宅敦大、渡邊賢太郎、玉置慎輔、宍戸里帆)たち。普段は京都や大阪、岡山などをベースに活動しながら、プロジェクトごとに集合と離散を繰り返す「コレクティブ」という形態をとっています。

大倉佑亮さんは中学生時代に岡山県内に住んでいたという縁もあり、芸術祭の準備中には写真家・川内倫子さんの撮影に同行した際、なんと自ら裸祭り(西大寺会陽)に飛び入り参加してしまったという体当たりのエピソードも披露。会場の笑いを誘いながら、「行政主導だけでなく、僕たちのような民間・個人レベルでも地域を盛り上げていくことができるはず」と熱く語りました。
他のメンバーからも、地域と深く関わったリアルな実践が次々と語られます。三宅敦大さんは、車移動が必須な県北エリアでの海外アーティストのアテンドの大変さや、それらの仕事を積極的におこなってくれたサポートメンバーの活躍を紹介し、玉置慎輔さんは川内倫子さんの撮影コーディネーションに奔走したエピソードを。そして、渡邊賢太郎さんは津山市に滞在し、地元の人たちと交流しながら芸術祭を一緒に作り上げた、泥臭い実践の様子を明かしました。

さらに大倉さんは、芸術祭を振り返り「特別な力があったというより、言葉と仕掛け、そしてアーティストの作品の力が人を動かした」と語り、「地域にはまだ言葉になっていない思いがたくさんある。それを一緒に形にしてみませんか」と呼びかけました。
そんな彼らが今後の地域との関わり方として掲げたキーワードが、キュレーションの語源でもある「キュア(治療・ケア)」です。
「高齢化が進む地域に対して、私たちがずっと住み続けることは物理的に難しいかもしれない。でも、遊びに行ったり、仕事で行ったりする中で『キュアし合える、ケアし合える』関係性を作りたい。自然に支えられ、自然を支える里山のように、プロジェクトごとにメンバーが組み替わっていくようなコラボレーションができたら」。
大都市から「作品を持ってくる」だけではない、地域に寄り添い、里山のような関係性を共に育んでいこうとする「Forest Art Collective」のスタンスが印象的でした。
「失敗を恐れず思い切りやれ!」講座生たちの体当たりアート実践
続いて登壇したのは、岡山県が主催する「アートで地域づくり実践講座」の受講生たち。受講生が県や地域と連携してアートイベントをゼロから企画・実施する実践的なプログラムです。年齢も職業もバラバラな大人たちが、本気でぶつかり合いながら企画を作り上げたエピソードも語られました。

備前市で「ひとひと 〜あなたにとっての炎は何ですか〜」というイベントを企画した内海さん、岡本さん、矢田さん。「炎」をテーマに、なんと「本物の火を使い、野外で夜まで開催する」という3つの挑戦を掲げました。ハードルが高かった「炎の使用」は、地域の人たちと交渉を重ね、地元のレストランオーナーの協力を得て見事実現。「怪我さえしなければ、思い切り挑戦していい、という講師陣の言葉に背中を押されました」という矢田さんの振り返りには、会場からも笑いが。大人たちが地域で実践していった見事な実践です。
パブリックをハックせよ!地域ごと便乗した「久世げー」
会場のボルテージをさらに上げたのが、真庭市久世で2024年に行われた「久世げー(久世芸術祭)」を主催した河野文雄さんと柴田祥子さん。私も当時取材班として参加していたので懐かしい気持ちに!

「せっかく森の芸術祭が行われるなら、地域が乗っからないわけにはいかない。便乗したい!」という規格外の熱量からスタート。「ないものなら作って遊ぼう、DIY」の精神で、商店街や河川敷を次々とアート空間に変えていきました。
地元の人の昔の写真を巨大印刷して街中にコラージュしたり、誰も使わない河川敷に竹ドームを作ってアンビエントミュージックを流したり。さらには、アーティスト・イン・レジデンスを実施して巨大なミュラール(壁画)アートまで完成させてしまいました。
「パブリックと地域(僕ら)が別れてるのがそもそもおかしい。自分たちでもっと自由に使えばいいのにって思ってた」と語る河野さんの言葉には、まちを愉快に自分たちの遊び場に変えてしまう圧倒的なパワーが溢れていました。
交差する熱量、そして2027年へのワクワク
イベントの最後には、オブザーバー陣からのコメントが。 「アートで地域づくり実践講座」講師の北島琢也さんは、「地域内外の人が交流し、繋がっていく場を作ったチームは流石」と称賛。奈義町現代美術館の岸本館長は「アートを通じた繋がりが芸術祭以降も続くことが重要」と語り、アート•メディエーターのはがみちこさんも「芸術祭の醍醐味は、周りで勝手に面白いことが起きて広がっていくこと」と、地域発のボトムアップな活動にエールを送りました。

トークの終盤、次回、2027年に開催予定の森の芸術祭に向けた話題になると、登壇者たちは早くも「次は何をしようか」と目を輝かせていました。
【第2部】交流会&打ち上げエピソード
第1部の熱気冷めやらぬままスタートした【第2部】交流会では、「ヒトトゴハン」による美味しいケータリングを囲みながら、登壇者と参加者がフラットに交流。アートを通じた新たな繋がりが会場のあちこちで「もり☆もり」と育まれていました。


オフレコですが、イベント終了後の打ち上げでは、地元のカフェバーに場所を移して大盛り上がり!懐メロカラオケ大会で、役割や肩書きを超えた交流の場に。現場の熱量がそのまま夜の街へと持ち込まれ、次なる企みへの密談が交わされました。
岡山県北の「森」には、今、来年に向けてワクワクするようなアートの生態系が育ち始めています。「森の芸術祭 晴れの国・岡山 2027」も開催が決定する中、次はどんな「勝手な」お祭りが飛び出すのか。これからの岡山のアートシーンから、目が離せません!
| 日時 | Forest Art Collective もり☆もりミーティング 2026 |
|---|---|
| 会場 | 寺町耕舎(岡山県津山市西寺町53) |
| 料金 | 参加費:2,000円(ミニドリンク付き) |
| 主催 |
共催:岡山県、おかやま県民文化祭実行委員会、(公社)岡山県文化連盟 |
| 備考 | 【第1部】プレゼンテーション&ディスカッション 13:30–16:40 ・久世藝術祭2024『久世げー』 ・Forest Art Collectiveメンバー オブザーバー: 【第2部】交流会 16:40–18:00 |













