real local 山形山形ラーメン、ダイバーシティ放浪記_03「牛肉と大根の煮込みが乗ったラーメン」 | reallocal|移住やローカルまちづくりに興味がある人のためのサイト【地域情報】

山形ラーメン、ダイバーシティ放浪記_03「牛肉と大根の煮込みが乗ったラーメン」

地域情報
2026.08.05

「山ラー」のまちとなった山形市は「ラーメン多様性のまち」。

これぞ山形のラーメン!という典型的な型はないけれど、実に豊かな生態系を有するラーメン世界。昔ながらの中華そばがあれば、その向こうには鳥中華も、冷たい肉そばもある。冷やしラーメン発祥の地でもあり、辛味噌もあれば、つけ麺もある。もちろん、都会の風に乗ったイマドキっぽいのものもある。いずれもがまちにとって大切な存在で、それらが集まって「山ラーの街らしいラーメンワールド」ができている。そして、よく見れば、そこにはマイノリティがさまざまに存在する。主流のカテゴリーに属さない、ひときわユニークなものたち。カチコチにこり固まった既存のラーメン概念を超えてゆこうと試みるアバンギャルドなものたちさえいる。おもしろい。わたしたちが生きる「山ラー」のまちは、「ガラパゴス的ラーメンの楽園やまがた」でもあるのだ。

このシリーズは、「山ラー」というガラパゴス世界の探検物語である。これまで「どんどん焼きが乗ったラーメン」(第1回)、「山菜と牛サガリに溢れたラーメン」(第2回)との遭遇をレポートしてきた。今回はそれにつづく第3回である。

山形ラーメン、ダイバーシティ放浪記_03「牛肉と大根の煮込みが乗ったラーメン」

そのラーメンには、牛肉が乗っていた。そこまではまあふつうに「ある」だろう。しかし、さらにそのラーメンには、大根が乗っていた。それも、しっかりと煮込まれた、味のしゅんだ、テロテロの大根である。これはなかなか「ない」。少なくとも筆者は出会ったことがない。口のなかに入れた瞬間に「じゅわっ」とするやつである。ながく時間をかけて煮込まれ、そのまま料理店の主役になるような。そう、このラーメンの中央に乗っているのは「牛煮込み」である。スープもまた、牛煮込みの煮汁を思わせる。山形のソウルフード「芋煮汁」の汁色にもそっくりである。

すごいのは、それが冗談半分では全然ないこと。しっかりうまい。しかも麺がいい。写真からでも、この麺の魅力はきっと伝わるはず。なんという魅惑的な手打ち具合だろうか。細かったりくびれていたり、太かったり、ねじれていたり。色気がある。実際、口に入れた途端に、踊り出し、豊かな食感を響き渡らせる。これほど見事なクオリティの麺が、どこか芋煮を彷彿とさせるような優しい味わいのスープに浸され、牛煮込みという料理と一体化している。まさにあまじょっぱい醤油味を好む山形人に愛されるような和風ラーメンの仕上がりである。「たわら屋」さんの、その名も「手打ち 煮込みのせ中華」。

わたしはこの「煮込みの乗った手打ちラーメン」をじぶんのお気に入りに加えた。
「山ラー」のまちをつくるのは、ラーメン職人だけではない。どんなラーメンを食べたいか、どんなラーメンを求めているか、食べる側の人間の欲望もまた、このまちのラーメン世界をつくっている。じぶんはどのラーメンを愛するのか。各人がじぶんらしい選択をしていくことがこの「山ラー」のまちの多様性を育てることになるはず。「山ラー」のまちで試されているのは、食べる側のわたしたち自身ではないだろうか。