real local 名古屋【岐阜県白川町】山間部の澄んだ空気の中で、里山暮らしの幸福感を育てる生活。 - reallocal|移住やローカルまちづくりに興味がある人のためのサイト【インタビュー】

【岐阜県白川町】山間部の澄んだ空気の中で、里山暮らしの幸福感を育てる生活。

インタビュー

2022.11.03

今回は、岐阜県加茂郡白川町「黒川」での里山生活を発信していらっしゃる『暮らすファームSunpo』さんにお邪魔してきました。

【real local名古屋では名古屋/愛知をはじめとする東海地方を盛り上げている人やプロジェクトについて積極的に取材しています。】

 

里山の緑に囲まれて。

高速の恵那ICを降りて、そこから30kmほどのくねくね山道を抜けて黒川に。道中はヒノキの木々の隙間をすり抜けるような峠道で、春のはじめの青々とした緑が目に眩しい日でした。(実は取材に伺った後、農繁期に加え、とても活動的なSunpoさんにスーパーバタバタ期が到来!季節が少々巡っておりますが、お話を伺った際の空気感やSunpoさんの想いをそのままお届けできたらと思っております。何卒ご了承くださいませ。)
峠を抜けてたどり着いた黒川は思っていたよりもずっと開けていて、風のよく通る明るい場所でした。

【岐阜県白川町】山間部の澄んだ空気の中で、里山暮らしの幸福感を育てる生活。
Sunpoさんが管理する田畑の一部。秋になればすうっと広がるこの土地いっぱいに稲穂が揺れます。
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田んぼにうずくまるひつじの「セーター」。
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同じく田んぼでのんびりお食事、ヤギの「ジャンパー」。

今回取材させていただいたのはご夫妻で『暮らすファームSunpo』を営む児嶋健さん、陽子さん。ハリッとした笑顔の素敵なおふたりです。

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太陽の光がよく差し込む気持ちの良い広場です。おふたりの笑顔も眩しい。

 

里山暮らしを通して「暮らす」ことの本質を考える。

「里山暮らし」というと「人の多い都会的な生活から離れて、田舎の自然とともに狭いコミュニティの中で質素に暮らす」。そんなイメージがありました。今回取材させていただいた中で最も覆された価値観はそこにあります。Sunpoさんの取り組みは里山というフィールドをまるごと楽しみ、内からも外からも大勢の人を巻き込み、楽しいこと全部をやりつくしたい。そんな理想からできています。
学生時代の一時を北海道の農村部で過ごし、その後大手自動車メーカーに9年間勤務。そのかたわら趣味でリバーガイドなどを行なっていた健さん。農村部や自然遊びと関わる中で環境問題に目を向けるようになり、職業として本格的にその問題と向き合うことを決意したそうです。2012年に岐阜の里山、黒川へ家族で移住。有機農業を始められました。

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児嶋さんご家族のご自宅周辺。山々に囲まれて自然が盛りだくさん。家が立ち並び、ご近所さんとの交流も多くあるそうです。

黒川という地域はもともと有機農業への関心が高く、現在60〜70代になる人たちが「ゆうきハートネット」という技術研修と交流を目的とした団体を2007年に立ち上げています。農業に精通した地元の人々が移住者へ食物栽培の研修を行う流れができており、児嶋さんたちは彼らのことを「レジェンド」と呼び慕っています。過疎化が懸念されていた山間部でありながら、現在に至るまで多くのIターン者を呼び込み、活発な地域となっています。
児嶋さんご家族もこの地域への移住者ですが、児嶋さんの農業への取り組みを受け入れ、しっかりと支えてくれるまちの姿勢や、同じように移住してきた同年代の人々の存在がとても心強かったといいます。

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様々な方法で自然/人々へのアプローチを模索してきたおふたり。活動内容やコミュニティは多岐に渡り、黒川をめいっぱい楽しもう/楽しんでもらおうと全力です。
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過疎化する山間部の実態を専門的に捉え、白川町「ゆうきハートネット」の取り組みが書籍化されたりも。

有機野菜やお米のほかに、原木椎茸、果樹やハーブも栽培しており、「野山の花屋 道草Sunpo」という名称で黒川で育てた植物だけでリースやスワッグの制作販売/ワークショップも行なっています。

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ずうっとやりたかったという、小さな里山のお店。陽子さんお手製のリースやスワッグ他、縁のある作家さんの器、黒川で育てられた肉なども販売しています。
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黒川のありのままの自然を愛するために、農薬や化学肥料を一切使わないことにこだわって活動していらっしゃいます。

2018年には「Sunpo Activity」として源流でのシャワークライミングやオーガニックバーベキューの提供も始まりました。今後はカフェの運営やクラフトビールの醸造も考えているそうで、やりたいことがたくさんでわくわくするね、と眩しい笑顔でおっしゃっていました。
Sunpoさんは黒川という土地でできるすべてのことを楽しみ尽くそうとしていて、それをイベントとして他の地域のひとたちに体験してもらったり、提供する場や仕組みをどんどん拡大していっています。

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4/10に開催されたHygge Marketはthe!快晴!ちなみにこの日はなんと健さんのお誕生日。おめでとうございます!偶数月に開催してきたマーケットは12/11(日)が今年最後となります。12/10(土)には前夜祭も開催します。ぜひお越しください! ・詳しくはこちら>「Hygge Market」・

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【岐阜県白川町】山間部の澄んだ空気の中で、里山暮らしの幸福感を育てる生活。
黒川の地で30年以上も羊を飼い慣らしている宮本さんの指南を受けながら、健さんと陽子さんでセーターの毛刈り。バリカンではなく昔ながらのハサミで挑戦です。少しずつ少しずつ。慎重に慎重に。
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夏仕様に大変身を遂げたセーター。長時間頑張ってくれました。さっぱりー。

 

『田舎』が持つ、生活の根源的な魅力。

【岐阜県白川町】山間部の澄んだ空気の中で、里山暮らしの幸福感を育てる生活。
【岐阜県白川町】山間部の澄んだ空気の中で、里山暮らしの幸福感を育てる生活。
個人的な話にはなりますが、見渡す限り何Kmも田んぼが広がる片田舎で生まれ育ちました。田舎で暮らす、ということの不便さやコミュニティの狭さを痛感している身としては、安易に田舎への移住は素晴らしいよね、とは正直言えません。けれども今回の取材を通して、GWに家族総出で行なったお米の種まきや田植えのこと、水面がきらきら光って青々と色づいた田んぼ、下校途中の夕焼けに染まった稲穂、炊き立ての新米のおにぎり。歩いて畑まで行って、大きな葉野菜を冷たい井戸でじゃぶじゃぶと洗ったこと。そんな風景を思い出して、それがとても楽しくて美しかったことを痛感しました。

児嶋さんのご家族は、当時1歳になったばかりのお子さんを連れて移住されています。道を歩けば知り合いだらけのコミュニティの中に飛び込んでいくことは、少なからず勇気のいることだったでしょう。田舎暮らしを満喫する一方で、その場所で暮らすために地道に人間関係を築くための時間もたくさんあったと思います。

誰もが生活の拠点を田舎に移して自然の生活を送ることが、必ずしも正解ではないかもしれません。ただ溢れるほどの物事を育て、楽しみ、慈しむことができる土地が消費の根源に確かに存在していて、それはとても価値のあることです。Sunpoさんはそんな暮らしの土台の姿を、里山の陽の景色のもとで育んでいるのです。

広大な自然と季節の移ろいの中で「幸福感」がどのように生まれているのか。
皆さんもぜひ一度『暮らすファームSunpo』さんを訪れて、体感してみてはいかがでしょうか。

【岐阜県白川町】山間部の澄んだ空気の中で、里山暮らしの幸福感を育てる生活。

屋号

暮らすファームSunpo

URL

・暮らすファームSunpo:http://farm-sunpo.com/
【それぞれのリンクはこちら>https://linktr.ee/NO_LAND_Sunpo
・Instagram:@farm_sunpo

住所

岐阜県加茂郡白川町2482-3

備考

今年最後のHygge Marketは12/11(日)開催!
12/10(土)には農藝フェスも開催します。
・詳しくはこちら>農藝フェス&Hygge Market

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