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おとなの工場見学!藤沢市の「東湘印版株式会社」に行ってきました

インタビュー
2025.06.27

「東湘印版株式会社」は藤沢市の北側エリア、小田急江ノ島線の「長後」駅が最寄り駅となるのどかな場所にある印刷会社です。昭和44年に創業し、従業員は30名程。アットホームで温かく、そして印刷のプロフェッショナルとしての心意気を感じる会社です。

おとなの工場見学!藤沢市の「東湘印版株式会社」に行ってきました
空き地にて看板と共に。代表の石川智隆さん
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これまでに作っていただいた現地看板。雨にも強い素材の紙で、毎回色を変えてもらっています

実は「鎌倉R不動産」が現在行っているプロジェクト「dig kamakura」の現地看板の印刷をしてくれているのが、この「東湘印版株式会社」。そのご縁があって、会社内と工場を見学させていただくことになったのです。

当日は、代表の石川智隆さん自ら工場の中を案内してくれました。まずは会社の紹介。そして、実際に作業をしている印刷機のある工場を見学しました。工場にある機械は最大でA2サイズが印刷できるもので、大型のポスターや大量印刷は行わないという選択をしています(ただし、大型印刷機については別の場所で所有しているので対応も可能だとのこと)。

おとなの工場見学!藤沢市の「東湘印版株式会社」に行ってきました
工場見学っぽい!エンボス加工ができる機械の操作を体験しました。ここから何ができるかは、後ほどのお楽しみ

「大量に安く印刷するなら、当社でなくてもいいと思っていて。お客様には上手く使い分けてもらえればと思っています。その代わり、あえて小さなサイズのものにこだわり、社内にデザイナーも置くことによって、お客様が作りたいものを実現する。アイデアを生み出して形にしやすい環境を整えることに注力しています」と石川さん。

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CMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)の4色を使って、フルカラー印刷を行います

そんな石川さんですが、会社に入った当時はちょうど世の中がデジタル化の波に乗っている時代だったといいます。紙は古い、紙はエコじゃない。という時代の流れの中で、自分の仕事は紙媒体をデジタルに移行することなのか…と考えていたそうですが、そのときに社員のみなさんと「紙のよさってなんだろう」と話し合ったそうです。
その中で出てきた意見のひとつに「紙は捨てやすいところがいい」というものがありました。
その時は、捨てたらダメじゃないかと思ったそうですが、よく考えてみるとそれは、「紙は捨てやすい。だからひとに気軽に渡しやすいというメリットがある」という意味だと思い直したそうです。

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たくさんのインクの缶

いまでは「世の中に印刷物が価値あるものとして存在するように」という方針のもと、デザインから印刷・加工まで自社でも一貫して行えることを強みとしています。

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自社でデザインして作った日めくりカレンダー「koyomi」は海外の方にも人気です

自社でデザインした商品として、オリンピックイヤーに作った、漢字の日めくりカレンダー「koyomi」があります。これは社内で出たアイデアを自分たちで形にして制作したプロダクト。海外の方が日本のお土産に買っていく人気商品です。「koyomi」には、日めくりカレンダーの機能の他に、その日の漢字一字の意味を知ったり、実際にカレンダーの一部に書き込むことができるようになっており、「紙に書く」という楽しみを体験できるように工夫されています。

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「紙で伝える展」も企画しています

「紙に書く」と言えば、「紙で伝える展」という企画展も行っています。紙は人と人を繋ぐもの、という同じ想いをもった会社同士、地元の出版社、コピーライター事務所とコラボしている企画展で、簡単にいうと、便箋と封筒を選び手紙を書くというイベントです。

手紙を書くという行為は、まずは便箋と封筒の色柄などを相手を想って選ぶことから始まり、自分の想いを紙の上に込めて綴ること。デジタル化してスマートフォンでも簡単にメッセージを送ることができる時代ですが、手紙にはデジタルにはない人の温かみや息遣いが感じられる。そういう体験をしてもらい、手書きの文化を残していくこともとても大切なことだと思います。

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自分でエンボス加工した紙をノートにしてプレゼントしてくれました

「東湘印版株式会社」では、お客様とデザインの打合せ、紙選びから印刷方法やエンボス、紙の折り方・まとめ方などの加工方法にいたるまで丁寧に模索して仕上げます。

「お客様と一緒になにかを作るときに、自社で工場があるからいろいろな方法を実際に試してみたり、そこから思ってもみなかった発想が生まれたりします。一緒につくる喜びや難しさを共有して、そこにシナジーが生まれるのを感じます。
いま、時代は『紙の文化』に戻っている部分もあると思っていて、紙はきちんと分別すればリサイクルができるものですし、大切に取り扱えば環境負荷は少ないと考えています。
また、自社のブランディングを考えたときに、紙の媒体でリーフレットやショップカードといったものをしっかりとデザインして作りたい。紙のモノで世界観を伝えたいと考えるお客様も多くなっていると感じます」と石川さん。

紙のもつ可能性、印刷のもつ力を最大限に引き出す社内ラボラトリーとして「PAPER PEAK PRODUCTION」を立ち上げ、様々なこだわりを持った顧客のニーズに応えています。この10月には会社のリブランディングも控えており、ますます個性的な印刷会社となりそうな「東湘印版株式会社」。これからも、よろしくお願いします!

名称

東湘印版株式会社

業種

印刷会社

URL

https://tosho-inban.co.jp/

住所

神奈川県藤沢市長後1343-3

アクセス

小田急江ノ島線「長後」駅・徒歩 18 分