薬膳の考えをベースにした二十四節気のお弁当屋 |暮らしの中で商う【CAGOM(カゴム)】
JR吹田駅の北エリア、片山町。幹線道路の両側に古き良き青い瓦屋根のアーケードが残る片山商店街を抜けて、暮らしながらお店をされている【CAGOM(カゴム)】を訪ねた。ご夫婦でお弁当屋さんを営まれているユキさん・トモヤさんに、暮らしのこと、お店のことをうかがってきた。


家族の時間を大切にするために
2016年当時築23年だった延床約100㎡の事務所・車庫・住居の建物をアートアンドクラフトで購入+リノベーション。将来的に週末料理教室をしたり暮らしの中に溶け込む商いができればとの思いから、旧事務所部分を土間仕様のダイニングキッチンとして整えておいた。
その後、2019年にお子さんが生まれたことを機に、多忙を極めていた会社員のままでは家族の時間を大切にできないと夫婦で話し合い、暮らしの中で商いを始めることを決めた。まだコロナ禍だった2022年2月に、薬膳の専門家である中国の資格「薬膳師」を取得されていたユキさんが二十四節気ごとにメニューを変える、お弁当屋さんとしてCAGOMを始めた。
※二十四節気とは…1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けたもの。例えば「秋分」、「大寒」「立春」「夏至」などのことです。


CAGOMという屋号、じつは20代のころユキさんが一緒に遊んだり遠出したりイベント出店したりと楽しく過ごした4人の仲間とのチーム名!食卓を「囲む(かこむ)」から生まれた言葉で、トモヤさんも縁あって参加。そのときの仲間は今ではなんと、同じCAGOMを屋号に別々の地域で別々の商いをしている。
高知のカフェ cagom、大阪のCAGOM DESIGN (お店のロゴを手掛けられた)、小豆島のシェアハウスcagom nitte、そして吹田のCAGOM。それぞれの地域・暮らしの中でそれぞれのカゴムを実践されているという。
ユキさんが薬膳に興味を持ったのは、どこにも偏らない「中庸の状態」を大切する考えに共感したからとのこと。
食にまつわる商いをしたいと考えたときに、マクロビやヴィーガンといった食事もあるけど、自分は食べるものを制限するのはもったいなく感じる、旬の美味しい食材を料理したいし食べてもらいたい、それで体と心を整えてもらいたいと考えた。
※中庸の状態とは…体が冷えすぎていれば温め、熱がこもっていれば冷やし、不足しているものは補い、多すぎるものは取り除くことでバランスを取ること。
日本の旬の食材はだいたい10日ほどで入れ替わっていくそう。二十四節気が2週間毎なので、ちょうど旬のサイクルとあってくる。そして旬の食材を摂取することで人の体が季節の移ろいになじんでいくことを助けてくれるという。そのため、できるだけ旬の食材を使い、心身ともにバランスよくあること「中庸の状態」を保つことを目指してメニューを考えているそう。
薬膳をベースにというと気構えてしまうが、ユキさん曰く、「旬のものをそのまま美味しくいただくだけでもいいんです。例えば簡単に摂れるものとして果物はオススメ。夏は体の暑気を押し出す水分の多いスイカ、夏から秋に向かうこの頃は乾燥が気になり始めるので体を潤す梨やぶどうがオススメ」とのこと。食材を買いに行けばその時期、ちょうど出回っているものだ。そう、ちゃんと心身をいたわる食材は季節ごとに目の前にあることに気づかされる。
いざ実食
さて、そろそろ薬膳ベースの食事をいただきます。
この日は「白露」の献立、お店でランチをいただきました。
- 車麩のカツ〜肉味噌だれ〜
- 茄子としめじのすだちマリネ
- 人参と蓮根のきんぴら
- かぼちゃとレーズンの豆乳マヨサラダ
- 十五穀米入りごはん
どれもほんとうに素材の持ち味が活かされ、ほどよい塩梅の味付けで、食感もメリハリがあって、よく噛んでゆったりした気持ちで美味しくいただきました。
中でも、油揚げと野菜のお味噌汁がびっくりするくらい美味しくて、お味噌は手作りですか?とうかがったら、よく聞かれますが…実は近所のスーパーで買えます、と驚きの回答!
食材も調味料も基本生活の範囲で手に入るものを使用されているとのこと。お店で出すものも自分たちの日々の食事も毎日のことだから、入手困難や有機食材といった特別なものではなく、身近なところで調達できるもの・旬のものを自分たちで見極めて料理されることにこだわっている。とくにJR吹田駅周辺は商店街やスーパーマーケットなどお店がたくさんあり、CAGOMの二十四節気のメニューサイクルに合わせて、それぞれで買うものがだいたい決まってきたそう。
そして、お客さまに食材を聞かれたら、なんとどこで調達しているか教えてくれるとのこと!企業秘密じゃないんですね!(笑)
ある食材をご近所さんにお教えしたために仕入れ店で欠品になることもあったそう、でもたくさん仕入れてくれるようになったとか。(地域貢献ですね!)

食後のおやつ(別腹スタンバイOK!)は、定番のプリンと、季節の自家製シロップ「すだち」をソーダ割でいただきました。
カチっと堅くて卵が優勢の王道プリン、たっぷりかかったキャラメルが…苦くない!?というかキャラメルじゃない!!CAGOMならではのやさしい甘さの正体はぜひお店で確かめてください。しみじみと少しずつ味わってしまう控えめな甘さ…好きです…とプリンに心の中で告白しました。
対する、すだちは…さわやかな甘さと酸っぱさが絶妙すぎて一生飲んでいたいおいしさ!
すごく美味しいです、すごく好きです!持って帰りたいです!!と声を大にしました。(笑)
ちなみに、どちらにするか悩みに悩んだ季節のおやつ「ブルーベリーのパウンドケーキ」はユキさんの「お持ち帰りできますよ」の一言で即解決!(商売上手!)
翌朝、出先に向かう駅のホームのベンチで待ち時間にひとくち、目の覚めるおいしさに衝撃!むっちりとした食感と程よい甘さの生地にブルーベリーがとてもフレッシュ!ここにすだちソーダがなぜない!?と昨日の味を脳内でリプレイしました…
絶対すだちソーダがある間に再訪せねばと心に誓いました。
がんばりすぎず、中庸を大切にした毎日

ところで、住まいの中でお気に入りの場所はどこですか?とおふたりに尋ねてみると、お気に入りというか家の中でいちばん居るのはやっぱり台所(=カゴム)とのこと。
朝ごはんを作り、小学生の子どもが登校したら予約のお弁当づくりとランチの準備、11時~15時(Instagramで要確認)の営業時間は予約いただいた方、ご近所さんもふらりと来られる。その後、買い物に近所の店をまわり、帰宅して翌日の仕込み・家事と分担、子どもが帰宅したら家族の時間で揃って夕ごはん、そんな毎日を過ごしているという。
家族の時間をいちばん大切にしたいから定休日は日曜・祝日、そして仕込みのため月曜も。休みの日にイベント出店があるときは子どもも一緒に行く。そんなときはお子さんも「お店の子」を自覚されていて率先して手伝ってくれるそう。でも売り切ったら早く遊びに行こう!!と子どもの顔に。そんなときはすぐに家族モードに切り替えて子どもとの時間を大切にされるとのこと。
おふたり自身が、家族の時間を大切にしながら暮らしの中で商うために、がんばりすぎず中庸を大切にした毎日を実践されている。その中で生まれるしみじみとした料理の美味しさとお店の心地よさ、CAGOM全体のおおらかさにつながっていると感じた。
さらに、お客さまはSNSをご覧になってお越しの方が多いんですか?と尋ねたら、お店を支えてくださっているのは圧倒的にご近所さん!とのこと。二十四節気コンプリートされているお客さんもいらっしゃるとか。
この地域は戦前に町村合併で吹田市になるまで「吹田町」だったとご近所さんから聞いた。お子さんが通う小学校は明治7年創立、150歳を超える。そこに通われていたというご年配の方も来られる。たまたま条件のあう物件に出会えて引越して10年、歴史のある街で長くお住まいの方も多く、移住してきた若い家族で始められたCAGOMを快く応援くださっているそう。おふたりもみなさんから昔話をあれこれうかがえるのも楽しい時間とのこと。
取材時もちょうどお弁当の予約にご近所さんが来られた。
店先での立ち話がはずんでいる様子が微笑ましかったです。

「ご近所の方にほんとうに支えられています。自分たちができる範囲で臨機応変にお店を営めていることで続けてこられました。これからも地域の方と情報交換しながら体と心をいたわる美味しいものをつくっていきたいです。 」と話す、2016年にお会いしたときからずっと仲良しのおふたり。
料理に集中されているユキさんに、気を配りながらお客さんとコミュニケーションをとるトモヤさん、阿吽の呼吸でお店を営まれている様子を拝見できて、物件購入~リノベーションの打合せでも互いの意見を素直に伝え合い、自然な役割分担が生まれていたことを懐かしく思い出し、うれしくなりました。旬の食材で持ち味・食感が引き出された薬膳ベースの料理は食べれば食べるほど元気になれる気持ちになりました!心身を休め整えに、ぜひ来てほしいお店です。
ご家族との時間をいちばん大切にされているからこそのゆとりある空気をまとったCAGOM、地域の方も応援したくなるおふたりの今後の活動を楽しみにしています。また来ます!
| 名称 | CAGOM (カゴム) |
|---|---|
| 業種 | 飲食店 |
| URL | |
| 住所 | 吹田市片山町4-17-30 |
| TEL | 070-8948-9138 |
| 定休日 | 不定休 ※Instagram をご確認ください |
| アクセス |















