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建築家・西田司さんの「地方で人が集まる場のつくり方」

東北芸術工科大学での特別講演会をレポート

建築家・西田司さんの「地方で人が集まる場のつくり方」

11月16日、東北芸術工科大学で開催された建築家の西田司さんによる特別講演会。「建築を、ひらく」をテーマに、西田さんの今までの活動や今後のビジョンをたっぷり味わえた1時間半となりました。

西田さんが率いるオンデザインパートナーズでは、建築という手段を用いてさまざまな要素を「ひらく」ことで、そこに住む人々にエネルギーを与えています。今回は、「地方で人が集まる場のつくり方」にスポットを当て、事例と共に地域での暮らし方や働き方、その可能性を紹介します。

 

建築家・西田司さんの「地方で人が集まる場のつくり方」
宮城県石巻市の空室となった元書店をリノベーションし、本好きのための空間に

昭和50年代までまちに人々が集まり、日々活気が溢れていた宮城県石巻市。しかし2000年以降、海から陸へと流通が変わり、次々とシャッターをおろしていく商店街を突如襲った東日本震災。

そこから被災した商店街を復活させようと始まったのが、まちづくりプロジェクト「ISHINOMAKI2.0」です。さまざまなコンテンツを持った小さな拠点をまちに埋め込むことで、人々が集まり、次第にコミュニケーションの連鎖を生み出していきました。

建築家・西田司さんの「地方で人が集まる場のつくり方」
暗闇のビルをスクリーンに上映される映画を前に、なんだかいつもより気持ちも高まる

たとえば、街のビルをスクリーンにした野外の映画上映会。月1回の「映画の日」には、まちのビルが瞬く間に映画館になります。人口2,000〜2,500人のコンパクトなまちだからこそ叶えられる、場も人も潤う映画館です。

他にも、本好きが集まるまちの本棚、まちなかで遊びながら学べるIT教室、つくり方を教わりながらものづくりができる工房など、さまざまなコミュニティを目にすることができます。

建築家・西田司さんの「地方で人が集まる場のつくり方」
島の風を穏やかに受けながら、悠然と佇む「隠岐國学習センター」

続いて、島根県海士町を舞台にした「島の学び場プロジェクト」。島の担い手を育てていこうと、島唯一の高校に通う学生たちと地域住民を巻き込み、島の拠点となる「隠岐國学習センター」をつくりあげました。

築100年島に根付いてきた民家をリノベーションすることで、その民家の価値と島の伝統や知恵を継承していく場となったのです。

建築家・西田司さんの「地方で人が集まる場のつくり方」
学習センターは、高校生だけでなく島の住人も自然と利用できる場に

地域住民も入りやすい、外の道路から引き込まれるような通り土間の入口。道路から見える勉強や談笑する高校生の姿。地域住民と設計者が直接対話したからこそ生まれた、人々が心地よく交じり合う場所です。

高校の学びに、地域の中で学ぶ要素を加える。ここは今、学習の場を超えた地域交流の場として根付き、まさに自走し始めています。

建築家・西田司さんの「地方で人が集まる場のつくり方」

「地方が活気づくには、外の人間がいかに新しい視点を提案できるかが要になります。だからこそ、外の風を受けとめる土壌がある地域は強い。それに応えるためにも、地域の人々をパートナーとして捉え、しっかり対話しながらまちにアクションを起こしていきたいですね」

西田さんから放たれる言葉は力強く、地域の人々とのつながりを楽しんでいるように感じました。

建築家・西田司さんの「地方で人が集まる場のつくり方」

山形に初めて訪れたという西田さん。山形の印象を伺ってみました。

「10〜30万人の都市って、どんどん疲弊していっているのが現状なんです。山形市は約25万人の都市でまさにその中に該当するんですが、まちなかを散策したときに、パン屋だったりカフェだったり、自分たちでなにかを始めようと実践している印象を受けました」

建築家・西田司さんの「地方で人が集まる場のつくり方」
焙煎されたコーヒーの香りに誘われ、引き込まれるようにいつのまにか入店していた〈BOTA coffee〉

「20代の方がオープンした〈BOTA coffee〉に行ってきたのですが、山形市では30歳前後の若い人たちがアクションを起こし、小さな取り組みがまちなかに点在していますよね。

長い目で見ながら、その地域に根付き人が集まる場所を若い人たちがつくるのって、すごい価値だと思うんです。人が集まっているところは、さらに人を集める効果があります。山形市は今まさに集まる場所が増え、その取り組みがこれから先に大きな実りをもたらすように感じます」

建築家・西田司さんの「地方で人が集まる場のつくり方」

建築はあくまで、社会や都市に接続する手段のひとつ。建築をつくることで終わらず、地域が持つ知恵を継承し、まちの人々が手を加えて更新していく場所にする。それこそが今の地域や暮らしを変えるきっかけだと感じました。人の集まり方から考える都市が、今後さらに広がっていくことが楽しみです。

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