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一杯のコーヒーの先には、何が見えるだろう「Ordinary Coffee 」齋藤佑二さん

インタビュー

2020.09.29
一杯のコーヒーの先には、何が見えるだろう「Ordinary Coffee 」齋藤佑二さん
『Ordinary Coffee』オーナーの齋藤佑二(さいとう ゆうじ)さん。いつもの帽子とノーカラーの白シャツで。
“消費”ってそんなに必要?営業職と震災を経て考えたこと

群馬県出身の齋藤さんが福島県に越してきたのは、2010年のこと。東京の大学で知り合った奥さんが須賀川市の会社に就職をし、結婚を機に齋藤さんも福島への移住を決めました。
もともと音楽の学校に進学を考えていたほど音楽好きの齋藤さんですが、周囲の説得により大学では環境問題を専攻。福島に来てからは郡山にある広告会社の営業として勤務を始めます。
しかしいくらやっても思うような成果は出せず、働き始めて2年半ほど経った頃、齋藤さんの中で広告の仕事や働き方自体への疑問が大きくなっていきました。

「消費することって、そんなに必要?」

今の日本社会では正社員になって、できれば大企業であるほうが安定しているから好ましくて、年齢に見合った収入があって、お金は多いほど豊かで、少ないと幸せじゃない、稼いだお金で消費しないと豊かになれない…みたいな雰囲気があることに、違和感を募らせていたのです。でも今自分が一生懸命売っている広告は、そんな消費の文化を助長しているんじゃないか。そもそも「この枠○○円」みないな売り方もこの広告枠も、自分自身がほとんど魅力的に思えていないじゃないか。「なんで自分はこれを売っているんだろう」という問いへの答えが分からなくなった時、齋藤さんは広告会社を辞めました。

一杯のコーヒーの先には、何が見えるだろう「Ordinary Coffee 」齋藤佑二さん
コーヒーの他にも各種ドリンクや、県内のお菓子屋さんから直接仕入れたお菓子も置いている。
自分が良いと思うものを、自分の手で提供できる幸せ

仕事を辞めてすぐコーヒーの道へと進んだかと言えば、そうではありませんでした。
何をしたら良いかなと考えて、最終的に残った選択肢が “クラフトビール”か “陶芸” か“コーヒー”か”出家”。「家族がいるんで出家はさすがに難しいですよね」とトーンを変えずに語る齋藤さんですが、ちょうどその頃、郡山のコーヒー店で飲んだスペシャリティコーヒーの味わいに衝撃を受け、コーヒー道へのめり込みます。
色々な豆を取り寄せて飲むところから始め、次第に自分で焙煎してしまった方が良いということで、自宅でも使える小さなロースターを購入。焙煎をすると一人では飲み切れないほどの豆が出来てしまうので、家族や友人に飲んでもらい、その機会が増えるごとに「おいしい」と言ってもらえることも増えていきました。
この時、齋藤さんは初めて「魅力的だと思うものを自分でつくって、提供して、喜んでもらう幸せ」を感じることができたと言います。それから屋号を『Ordinary Coffee』、日常にいつも寄り添えるようなコーヒー屋さんとして、マルシェなどのイベント出店からスタートを切りました。

一杯のコーヒーの先には、何が見えるだろう「Ordinary Coffee 」齋藤佑二さん
コーヒーは注文を受けてから、齋藤さんが1杯ずつ丁寧に淹れる。
一杯のコーヒーの先には、何が見えるだろう「Ordinary Coffee 」齋藤佑二さん
豆は定期的に入れ替えながら、常時3種類を齋藤さんのセレクトで用意している。
一杯のコーヒーの先には、何が見えるだろう「Ordinary Coffee 」齋藤佑二さん
スペシャリティコーヒーは「ざっくり言うとおいしいコーヒーのこと」だと、齋藤さん。

公共施設の中で、一杯のコーヒーができることを

現在齋藤さんが常設店舗を持っているのは、須賀川市の旧市街の真ん中にある『市民交流センターtette』の中。2019年のtetteオープンと同時に出店をしています。それまで地域のイベントを中心に「店舗を持たないコーヒー屋」として活動してきましたが、常設店、しかも公共施設という場所での出店を決めたのには、周囲からの後押しが大きかったと言います。

「正直、公共施設のような場所は、ハコはあってもソフト面を上手に機能させられない、という勝手なイメージがありました。でもtetteは、企画段階から“誰が” “どのように” 使うのかをしっかりと考えられてると思ったんです。設計者や建築家の方々から施設内にカフェ機能を置くことの重要性を教えてもらい、店を出すことを決めました。」

カフェと言うと、特に都会などでは「居場所料」として空間や過ごす時間を含めて値段設定をしているところも多い中、齋藤さんは敢えて“コーヒーだけ”で勝負をしたいと語ります。建物としてのハードが完成されているtetteだからこそ、今までやってきた「一杯のコーヒーを提供する」ということに注力できる。自分が良いと思うものを、しかも様々な人が集まるパブリックな場所で心を込めて提供することで、「ここで何か面白いことしてみたいな」と、来てくれた人が考えられるような雰囲気が出来たら良いと言います。

一杯のコーヒーの先には、何が見えるだろう「Ordinary Coffee 」齋藤佑二さん
「tetteで過ごす時間をコーヒーの力で豊かにしたい」と語る齊藤さん。
一杯のコーヒーの先には、何が見えるだろう「Ordinary Coffee 」齋藤佑二さん
カウンターに展示されている絵は、常連の5歳の男の子が描いたもの。展示期間は「絵を取りに来るまで」。

「自然に続けられるかどうか」か自分らしい働き方…かも。

コロナを経て改めて感じたことが、「仕事は心身のためにある」ということだと言います。サラリーマンを辞めて、モノや価値を自分自身で生み出し提供できる仕事に転向してから、不思議と「忙しいほど楽しい」という感覚が育ってきたそうです。色んな人に会って、話をして、要求に応える。見る人から見たら「大変そうだなぁ」と思われる働き方かもしれませんが、この喜びは齋藤さんにとってかけがいのないものなのかもしれません。

tetteにお越しの際はぜひ『Ordinary Coffee』のコーヒーで、ふっと肩の力が抜けるような、自分らしい時間を過ごしてみて下さい。

一杯のコーヒーの先には、何が見えるだろう「Ordinary Coffee 」齋藤佑二さん
一見落ち着いて見える齋藤さんですが、こんなお茶目な一面も。このギャップが人気の秘訣かも。
名称

Ordinary Coffee(オーディナリー コーヒー)

URL

https://www.ordinarycoffee.net

住所

福島県須賀川市中町4-1 須賀川市民交流センター tette 1階

備考

須賀川市民交流センター tette  :  https://s-tette.jp/index.html
Instagram : https://www.instagram.com/ordinary_coffee/

営業時間

水〜日曜日 10:00〜17:00

 

定休日

月・火曜日

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