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EAT LOCAL KOBE | 世界の都市農家インタビュー 〈3〉世界最大の屋上菜園。フランス「アグリポリス」

動画

2020.12.28

小さな市民運動から始まり、今や世界的な注目を集めている URBAN FARMING(アーバンファーミング)。簡単にいえば、街で野菜や植物を育てることです。自然が少ない都市における、子供達の食育の「教室」や、食糧を供給する「農場」、町の人々が交流する「公園」のような役割を果たしています。人口が減少傾向にある日本においては、空き地の「有効活用」や「防災」、「防犯」にもつながると期待がされているのです。

そこで、今、世界でどんなことが起きているのか。神戸で URBAN FARMING(アーバンファーミング)は広がっていくべきなのか?そうであれば、私たちは何を学べるのか。

そんなことを考えるために、EAT LOCAL KOBEオリジナルのインタビュー動画をご紹介します。

以下、EAT LOCAL KOBEより転載。

世界のアーバンファーム インタビュー企画

第3回; AGRIPOLIS (フランス);世界最大の屋上菜園を運営。世界の人口の50%以上が密集する都市への食糧供給と環境問題にアプローチ。

EAT LOCAL KOBE | 世界の都市農家インタビュー 〈3〉世界最大の屋上菜園。フランス「アグリポリス」

“Our Product never travel more than 1 or 2km”
(私たちの農産物は、2キロ圏内で全て食べられています)

そう語るのは世界最大の屋上菜園をパリで行うアグリポリスの創設者のパスカル・ホディーさん。既にフランス国内で11の屋上菜園を運営し、本格的に都市の食糧問題と、気候変動の課題に取り組んでいます。

世界の全人口の50%が住む都市への本格的な食料供給手段として

世界の人口の50%以上が都市部に住む現代、都市にいかに新鮮な食糧を供給し続けるかは大きな課題です。そんな中、アグリポリスのミッションは、既存の農業に比べ、環境負荷の低い形で生産から流通までを行い、質の高い商品を一般的な価格で提供することです。つまり、環境的な視点から資源を守りながらもより生産的な新しい食糧供給モデルを考えるという訳です。市民活動として、食育やコミュニティ活動の一環として行われているアーバンファーミングとは性格が異なり、本格的な生産と抜本的な環境問題の解決を目指しているところにこの活動のユニークさがあるのかと思います。

2キロ圏内で生産と消費が行われる

パスカルさんいわく、フランスのフードマイレージ は平均で1,000km ほどで多くの食料はスペインやモロッコなど遠い地域から届くそうですが、アグリポリスは同じものをわずか1-2km 圏内で生産して消費しています。さらに驚くことに流通の過程では冷蔵機械を使っていません(品質を落とすためだそうです。)。さらに顧客が農作物をピックアップするため、物流にトラックも使っていないそうです。都市で農業をするから消費者がすぐ近くにおり、流通コストも抑えられているというのです。

EAT LOCAL KOBE | 世界の都市農家インタビュー 〈3〉世界最大の屋上菜園。フランス「アグリポリス」

太陽光で栽培、冷蔵庫なし、配送もしない。

ご存知の通り、農業は大きな環境負荷を伴います。土壌や水質の汚染、輸送による環境コストなど。こういった総合的な環境負荷を減らしより持続的な食糧生産を行うことはアグリポリスの目指していることの一つです。インタビューでその思いが細部までこだわり抜かれているように思いました。例えば、野菜の栽培にかかる電力は最小限に抑え栽培を促進するようなLEDを使用はせず太陽光で自然に即した形で栽培する方針、冷蔵システムを使わず、顧客のピックアップ方式になっているところなど。

富裕層しか買えない価格設定では意味がない

希少性の高い野菜を作れば、収益性は高まります。しかし、高い野菜を作って届けても環境負荷を減らすことに貢献しない。だから作らないといいます。大切なことは、既存の野菜よりも環境負荷の少ない方法で栽培し、人々に選ばれる代替手段になることだそうです。

動画ではアグリポリスの創設者パスカルさんのプレゼンテーションや、フルインタビューをご覧になれます。あなたの持っている屋上が利用可能なのかどうか、不動産の家賃の設定、パスカルさんのイデオロギーまで。示唆に富んでいますので、ぜひご覧ください。

URL

http://eatlocalkobe.org/agripolis/