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【鹿児島県南九州市】作り手の繋がれた物語を残し、次の世代が新しい未来を創っていけるバトンを。/ Tealabo Channel 蔵元恵佑さん

インタビュー

2022.07.01

鹿児島のブランド茶である「知覧茶」の作り手を直接訪ねて、その秘めたる想いを若者に届けるプロジェクト『Tealabo Channel』(以下:Tealabo)。

知覧茶の作り手に日々寄り添いながら事業を展開されているTealabo運営事務局で『株式会社オコソコ』代表取締役の蔵元恵佑さんにプロジェクトの背景や今後の展望についてお話を伺いました。

【鹿児島県南九州市】作り手の繋がれた物語を残し、次の世代が新しい未来を創っていけるバトンを。/  Tealabo Channel 蔵元恵佑さん

知覧茶の作り手の秘めたる想いを若者へ

3年前、行政から「若者に対して、お茶の消費拡大を促すきっかけとなる事業をしてほしい」と相談を受けた蔵元さん。

そこで“日本中にお茶のある暮らしを届けよう”をテーマに発信していくプロジェクトTealabo2020年にスタートします。

まずは、全国の学生を対象にオンラインとオフラインを活用して、プロジェクトを進めていきました。結果、形として一冊の冊子が出来上がったのです。

「1年目で見えてきた課題として、目的としていたお茶の消費拡大に繋がらなかったことでした。冊子を作っても、イベントを開催しても、生産者さんのお茶をどこで買えるのかわからない。それぞれのお茶にどのような特徴やこわだりがあるのかわからない。それらが浮き彫りになったんです。」

「それなら、もっと生産者さんのホームページやお店にアクセスできるような企画にしようと考えました。なので、生産者さんの背景や想いを伝える企画に舵を切り替え、商品をちゃんと買える商流をちゃんと作っていくことにしたんです。」

【鹿児島県南九州市】作り手の繋がれた物語を残し、次の世代が新しい未来を創っていけるバトンを。/  Tealabo Channel 蔵元恵佑さん
写真提供:株式会社オコソコ Tealabo 1年目の取り組みの様子

2021年からは蔵元さんやライター、カメラマンでチームを組み、知覧茶の作り手のもとへ伺い、取材を進めていきました。

昨年度は15組の取材を行うことができ、それぞれの作り手と信頼関係の構築に繋がっていったといいます。

「弊社で運営している『だしとお茶のお店  潮や、』ではTealaboで取材協力していただいた生産者さんのお茶をいくつか取り扱っています。微々たるものかもしれませんが、消費の拡大にも繋がっているのではないかと思います。」

「何より生産者さんがお店に直接来て「自分が作ったお茶を取り扱ってくれている」と感じてもらうことは新鮮でもあり、刺激になると思うんです。」

「今まではお茶を市場に出すと、その後はどこでどのように扱われるかわからない状態でした。だけど、このように生産者さんが直接目で見て感じることで「こんなことをやろうか?」と考える1つ1つの挑戦の火種になればいいですよね。」

【鹿児島県南九州市】作り手の繋がれた物語を残し、次の世代が新しい未来を創っていけるバトンを。/  Tealabo Channel 蔵元恵佑さん
株式会社オコソコ 代表取締役・蔵元恵佑さん

作り手の背景が可視化されたことで

知覧茶の作り手が数多くいる中、蔵元さんはどのように取材までの段取りを行っているでしょうか。

葛藤や苦労、転換期等。

メディアに出ることもあって作り手にとって話しづらいことも多いはずです。

それでも作り手が胸の内を話してくれる背景には蔵元さんの配慮や地道な努力がありました。

Tealaboでは皆さんそれぞれの幼少期から遡った人となりをインタビューしています。中には言いたくない部分だってあるはずです。だから、取材に至るまで皆さんと地道にコミュニケーションをとるように心がけています。」

「お世話になっている生産者さんからの紹介もあります。「よかど!」(鹿児島弁で「いいよ」という意味)と生産者さんから生産者さんへバトンを渡していくような感じが取材を受ける理由にもなると思うんです。」

【鹿児島県南九州市】作り手の繋がれた物語を残し、次の世代が新しい未来を創っていけるバトンを。/  Tealabo Channel 蔵元恵佑さん
写真提供:株式会社オコソコ Tealabo取材 生産者による茶工場の案内

Tealaboをやっていて面白かったことは生産者さんが一番記事を読んでくれていることです。」

嬉しそうに蔵元さんは話します。

さらに、意外なことまで教えてくれました。

「実は、物理的に近い生産者さん同士がお互いのことを知らなかったりすることもあったんです。「あの人はあんな想いでやっていたんだ」って。」

「感覚的にではなく、物理的に可視化されているメディアがあることで背景や想いもある程度わかります。同業者は刺激を受けてさらに良いお茶を作ろうと励むし、消費者は生産者さんを身近に感じることができる。一石二鳥ですよね。」

またTealaboきっかけで、都市部のお茶に関するメディアの取材サポートをすることもあったそうです。サポートをしたことで、そのメディアが作り手の想いを汲み取ることができ、取材を円滑に進めることができたといいます。

“若者に対するお茶の消費拡大”といった目的の手段として動いていたメディアに副次的な効果が備わったことは、メディアとしては新しい機能なのかもしれません。

【鹿児島県南九州市】作り手の繋がれた物語を残し、次の世代が新しい未来を創っていけるバトンを。/  Tealabo Channel 蔵元恵佑さん
写真提供:株式会社オコソコ Tealabo取材 生産者による茶工場の案内

小さな積み重ねを寄り添っていくことで

「可能性しかないですね。」

Tealaboを通して感じた茶業界の課題について尋ねると

このように力強く答えました。

「課題は確かにたくさんあります。でも、それを解決できたら面白い未来が待っているんだろうなって思うんです。」

「茶業界全体を変えることは難しいですが、生産者さんを個別具体で変えられることはたくさんあります。Tealaboを通して、その解像度が見えてきたことは大きいです。」

「大事なのは小さな階段の一歩一歩です。それぞれができる範囲で動いている人たちが少しずつアメーバのように広がっていけば「変えたい」と意志をもつ人が増えていくかもしれません。」

大きく変えようではなく、小さな積み重ねをどうやっていくか。

そして、一人一人の顔が思い浮かぶか。

その気づきが課題感とともに将来の展望のように感じました。

【鹿児島県南九州市】作り手の繋がれた物語を残し、次の世代が新しい未来を創っていけるバトンを。/  Tealabo Channel 蔵元恵佑さん
写真提供:株式会社オコソコ Tealabo取材中 茶畑にて

Tealaboは知覧茶の生産者さんたちを可視化したメディアとして作っていますが、これは「無いから作って」いるんです。」

「「無いから作る」といったシンプルな問いを常に進歩させていきたいです。常に無いことを道として作っていこうとする意志をプロジェクト名に込めているので。」

「僕たちがやっていることが一つの指標になれば、それを真似してもらってもいいと思っています。「あ、こんな情報発信をしたら、若者に届くぞ」って。その先にお茶を飲んでもらうとか、実際に生産者さんへ会いにいくことに繋がれば嬉しいですよね。」

顔が見える世界で

目の前にある可能性を最大限に引き上げいくために

寄り添い、少しずつ、少しずつ前へ進んでいく。

蔵元さんのそんな覚悟が垣間見られました。

【鹿児島県南九州市】作り手の繋がれた物語を残し、次の世代が新しい未来を創っていけるバトンを。/  Tealabo Channel 蔵元恵佑さん
写真提供:株式会社オコソコ Tealabo取材中 茶畑にて

繋がれた物語を残し、そして未来へ

蔵元さんは2017年に鹿児島へUターンしました。

その後、今住んでいる頴娃(えい)町へ移住。決め手は茶畑の風景だったといいます。

「学生時代や社会人になってから日本や海外の色々な場所を巡りました。鹿児島以外の景色を知って、その結果、一番心魅かれたのが知覧茶の茶畑だったんです。」

移住後は、仕事や身内を通して、作り手との距離が縮まり、気がつけばお茶を軸にした事業を展開するまでに至りました。

「僕にとって知覧茶は鹿児島らしさを表している1つだと思っています。」

「鹿児島や他の産地の歴史から学ぶことはたくさんあります。それを踏まえ「僕らが生きている間にできることは何だろうか?」と常に考えているんです。」

【鹿児島県南九州市】作り手の繋がれた物語を残し、次の世代が新しい未来を創っていけるバトンを。/  Tealabo Channel 蔵元恵佑さん
写真提供:株式会社オコソコ Tealabo 取材 インタビューの様子

自分たちが生きている時代だけでなく

その次の世代のことまで想う蔵元さん。

最後にTealaboを通して描きたい未来像について尋ねました。

「日本にこんなに広大な茶畑がある場所はありません。生産者さんに会いに行ってもらって「こんな場所があったんだ」と思ってもらえたら何より嬉しいことはありません。一生に一度だけでもいいと思っています。きっとそれは生産者さんも同じ願いのはずです。」

「僕らは多分あと20~30年ぐらいしか仕事にコミットできないと思っています。その間に「何を残すか」というのが非常に大事で、感覚だけではなく、今あるテクノロジーをうまく使いながら、繋がれた物語をちゃんと残していきたいです。」

「残したものを次の世代の誰かが解釈して、新しい未来を作っていってくれると信じています。それができるように、今僕らがやれることをやっていく。その1つがTealaboだと思っています。」

【鹿児島県南九州市】作り手の繋がれた物語を残し、次の世代が新しい未来を創っていけるバトンを。/  Tealabo Channel 蔵元恵佑さん
写真提供:株式会社オコソコ Tealabo 取材 インタビューの様子

プロジェクトを通し

作り手の一人一人と向き合うことで見えてきた未来への兆し

大きくではなくても

小さな積み重ねの繰り返しで

何かを変えることはできる

きっとそれは茶業界だけではなく

他の業界でも一緒だと思います。

一人一人と丁寧に向き合い

そこに寄り添っていくことの大切さを

今回のお話を通して感じました。

【鹿児島県南九州市】作り手の繋がれた物語を残し、次の世代が新しい未来を創っていけるバトンを。/  Tealabo Channel 蔵元恵佑さん

屋号
Tealabo Channel
URL

https://note.com/tealabo_pj

住所
鹿児島県南九州市頴娃町別府369株式会社オコソコ内)
備考

飲食店:だしとお茶の専門店 潮や、

宿泊施設:ふたつや、