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【名古屋市】都心に新しい交流拠点「喫茶七番」

ショップ情報

2022.07.08

名古屋市中区錦二丁目に、公民館のような喫茶店「喫茶七番」が誕生しました。
名古屋駅と栄のほぼ中間に位置する錦二丁目で、まちづくりの一環として数年前から進められていた大規模再開発がこのほど完成し、再開発の中心となる高層マンション一階の共有スペースに開放感溢れる喫茶店「喫茶七番」がオープンしました。さまざまな人たちが暮らし、働く都心のビジネス街で、多様で多彩な交流を生み出す新しいまちの拠点を取材しました。

【名古屋市】都心に新しい交流拠点「喫茶七番」
「オリマチ錦」1階部分にオープンした「喫茶七番」  店長の白石恭一さん(右)と責任者の阿部充朗さん(左)
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優しいピンクとグレーの2色がさりげなく配色された店内

イメージカラーは淡いピンクとスモーキーなグレーの優しいツートーン。主張は強くないけれど、なぜか印象に残る柔らかな雰囲気がとても居心地よく、お店の中は都心の真ん中にいることをひととき忘れさせてくれるような独特の空気感に包まれています。
「喫茶七番」というちょっとユニークな店名の由来も気になるところ。店長の白石恭一さんにお話をお聞きしました。

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白石店長にインタビュー。喫茶七番のイメージカラー、パウダーピンクのシャツがお似合い!

 

江戸時代にさかのぼる店名の由来

「店名についてはいろいろな人からよく聞かれるんですよ。この界隈は名古屋城の城下町にあたり、いまでも当時の都市計画の名残としていくつもの通りと筋が碁盤の目状に走っています。そのうち錦二丁目と呼ばれるエリアは全部で16の街区に仕切られていて、今回再開発されたこの場所は7番街区にあたることから『喫茶七番』という店名になりました。」

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店名には「他所から訪れた人にも錦二丁目の歴史を知ってもらえるきっかけになれば」との願いも込めて。
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16の街区のうち7番街区の場所がひと目でわかるようにデザインされた木製スツール。

今から400年あまり前、名古屋城築城に合わせて町ごと引越しを行ったことで知られる「清州越し」。その時代から受け継がれてきた歴史が今も息づく錦二丁目で、地域のまちづくりを担うエリアマネジメントの会社によって運営されている「喫茶七番」。店名ひとつにも、まちが誇る文化を大切にしたいという深い想いが窺えるようです。

【名古屋市】都心に新しい交流拠点「喫茶七番」
店の中央に設置された円形カウンター

お店の造りはガラスの仕切りが広場に向けて大きく開く大胆なデザインと、それによって生まれる圧倒的な開放感が特徴。その中心で喫茶七番の顔ともいえる円形のカウンターが存在感を放っています。

「真ん中に配置した丸いカウンターは、半分が店の外に突き出したデザインになっています。これは〝中と外を繋ぐ〟というこの店のコンセプトを表しているんですが、中と外といっても単なる空間的なことだけではなく、人もそう。地元、錦二丁目の人たちはもちろん、そうでない人もお互い隔たりなく交流できるような、みんなを繋ぐ場所になれたらという思いを表現しています。」

そう聞いて思い浮かんだのは、昔から多くの日本の家にあった「縁側」のイメージ。

「そうなんです。建物の中と外の間にあって、それぞれを緩やかに繋ぐ場所としてまさに縁側のイメージがぴったりだなということで、店内に縁側を作っちゃったんですよ。日本家屋の縁側って高さが40センチと決まっているらしく、それに倣って40センチに。奥行きも普通のソファ席やベンチよりも深いので、小さな子が寝転んでも余裕があって、お子さん連れのお客さまにもゆったり過ごしてもらえると思います。」

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昔ながらの「縁側」をイメージしたスペース。奥行きを広く設けることで小さな子供さんを連れたお客さまも安心してくつろげるようにとの配慮が。

 

「会所」と「路地」の再現

喫茶七番が目指すのは、喫茶店である前に〝まちの交流拠点〟であること、と語る白石さん。その背景には、このまちならではの歴史と文化を大切に守りながら未来へと繋いでいきたいと願う、地域の人たちの長年にわたる切実な想いがあるのだとか。

「江戸時代、碁盤割に整備された城下町には区画の中心に『会所』と呼ばれる空間があって、『路地』を通って人々が自由に交流できる公共空間として機能していたそうです。僕たちの店は、かつてまちのあちこちにあったこの会所を現代に再現するという意味もあるんです。」

その昔、町人文化が栄えた時代には神社やお寺が置かれて大いに賑わったという会所。
いま、令和の時代に蘇った新しい会所には、誰もが気軽に訪れてゆっくりくつろげる喫茶店が。まさに喫茶文化が根付く現代の名古屋らしさをも象徴しています。

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江戸時代にはまちの中にいくつもあったという「会所」と「路地」を、まちの喫茶店というかたちで現代に再現。
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コーヒーはS、M、Lの3サイズ別に違うマグカップで提供。

「人々が集まる場所にはやっぱりお茶やコーヒー、ご飯があったらいいですよね。うちではコーヒーをお出しするマグカップにもこだわっています。サイズ別に3種類、美濃や多治見、瑞浪などほとんどが岐阜で作られたものですが、それぞれ製造元や作家さんが違っていて個性的な雰囲気のカップが揃いました。まちの喫茶店でコーヒーを3サイズから選べるのって意外と珍しいと思うので、気分に合わせて楽しんでください。」

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白石店長が選んだゴールドと阿部さんが推すパープル。Lサイズ用のカップは2色あり、どちらも陶芸作家さんによる手作りの作品。

 

ボリューム自慢のメニューにも注目!

名古屋屈指のビジネス街、また古くから繊維関係の問屋さんも多いこのエリア。ランチタイムにはまちで働く人たちのお腹を満足させるご飯メニューもいろいろ用意されているそう。

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みんなの大好きがいっぱい乗った「大人のお子様ランチ」はビジネスマンにも大人気!

「誰からも愛されるまちの喫茶店でありたいということで、みんなの大好きな定番は外せませんし、お洒落カフェ風に見栄えを気にして手間をかけ過ぎるのも違うなってことで、昔ながらの喫茶店の定番メニュー、ハンバーグやエビフライをトッピングしたボリューム満点の『大人のお子様ランチ』を考案しました。その他にサンド系をいくつか。それとオープン前から僕のインスタでアンケートを取って、一番リクエストの多かったナポリタンも。あと僕が甘いものが大好きなのでデザートに自家製プリン。純喫茶の定番『プリンアラモード』もオススメです!」

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ボリューム満点「コロッケサンド」
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昔ながらの喫茶店の定番「プリンアラモード」も好評。「ナポリドッグ」はテイクアウトOK!

 

あそこに行けば誰かに会える「公民館」のような場所に

メニューを考案する際、何よりも重視したのは調理に時間と手間をかけない工夫をすることだったと白石さん。そこには、お客さまとのコミュニケーションやおもてなしにできるだけ時間を費やしたいという想いがありました。

「僕らはいつも、喫茶七番のことを説明するのに〝喫茶店以上公民館未満〟という言い方をしています。まずは美味しいコーヒーがあって、ご飯も食べられて、カフェとして居心地よく過ごせる空間でありたいのはもちろんですが、まちづくりの会社が運営する喫茶店として、単なる喫茶店というだけではダメだと思うんです。交流の拠点という大事な役目も担っているし、ここに来ればまちの情報が一番よくわかると言えるような場所にもなっていけたらいいなと。あえて表向きに打ち出してはいませんが、実を言うと、うちは注文せずにただ滞在してもらうのもあり、なんです(笑)」

なんと、喫茶店なら当然ともいえるワンドリンク、ワンオーダー制のルールさえ設けていないというから驚きです。社長をはじめスタッフみんなで話し合いを重ね、このスタンスこそが喫茶七番が目指すものだと再確認。思い切った決断に至ったのだそうです。

「店と繋がる広場にはベンチがあって、そこでお弁当を食べていく人もいるし、パソコン作業をする人もいます。そんな時、たとえ何も注文しなくても店のテーブルが空いていればそこで自由に過ごしてもらって構いません。誰もが気軽に立ち寄れる場所であることを何よりも優先したいんです。そういう場所でありたいという僕らの想いに対して、きっといつかみなさんからも、何かを還元していただけると思っています。」

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お客さんとのコミュニケーションを最優先に、喫茶店である前にみんなの拠点を目指す「喫茶七番」。

常に人が集まり緩やかに交わる現代の会所・喫茶七番。
ここを拠点に、無機質な都心にも顔の見える温かな関係が築かれ、お互いを支え合う文化が育まれていきます。喫茶七番はこれからの時代の都心に求められる、あるべき姿の象徴といえそうです。

名称

喫茶七番
(運営:錦二丁目エリアマネジメント株式会社)

URL

HP:https://kissa7ban.com/
instagram:https://www.instagram.com/kissa_7ban/

住所

愛知県名古屋市中区錦二丁目7番7号 オリマチ錦 1-A

営業時間

平 日:7:30-21:00
土日祝:8:00-17:00

定休日

年末年始

アクセス

伏見駅1番出口より徒歩5分
丸の内駅出口5・6番より徒歩5分

備考

電源使用可
Free Wi-fi

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