ダルマ自転車がゆく! 第12回 @桧葉の木公園
その日、わたしはある感慨に浸っていました。振りかえれば、ひょんなことからダルマ自転車を手に入れて、山形市内のあちこちの公園でこれを乗り回そうと思いついて早1年。令和というこの時代に、古風なダルマ自転車に1年間も乗り続けてきました。楽しかったなあ。
どんな楽しいことにも、かなしいことにも、終わりがやって来ます。わたしだってそのことはわかっています。ただ、その終わりがいつやって来るのか、それだけは誰にもわからないのです。たとえば、ザ・ビートルズの4人が最後に揃った1969年の夏の終わりのある日、彼らはフォト・セッションを行っています。その日が最後だとは4人とも口にしなかったそうです。が、終わりの予感はあった・・・写真の中の4人それぞれの表情には、そんな気持ちが見てとれます。
諸行無常の心境になりながら、ビートルズ最後のフォト・セッション時のジョージ・ハリスン風の洋服に身を包み、ダルマ自転車を引っ張って向かった先は、山形市の北にある「桧葉の木(ひばのき)公園」です。


「桧葉」というだけあってのことでしょうか、この公園は桧町のど真ん中にあります。正方形に近い広い敷地に、小さめの野球場、日本庭園風コーナー、噴水や新しい遊具もある、とても贅沢な空間。公園における「贅沢」とは、設備の充実だけではないのです。公園全体をゆったりした時間が流れていること。足を一歩踏み入れた瞬間、せわしない日常から切り離されること。それこそが「贅沢」であるということが、1年かけてあちこちの公園を訪れてわかりました。




また、公園の良さを測るには、元気な子どもたちの姿を見ることができるかという尺度も有効です。子どもこそ未来。この日の桧葉の木公園には、サッカーをして遊ぶ子どもたちがいました。突然の雨でさえ、遊びに全力を注ぐ彼らを止めることはできません。とはいえ、激しく降り出した10月の冷たい雨では、サッカー遊びもダルマ自転車遊びも中断を余儀なくされました。袖振り合うも多生の縁。少年たちとわたしは一緒にあずまやで雨宿り。



雨が上がると、子どもたちは鳥のように自由にどこかへまた飛んでいき、わたしはダルマ自転車で野球場をグルグル走りました。もう青くない芝に、これからやってくる冬を感じながら・・・。




平日の昼間のひととき、ダルマ自転車で公園を走る。なんて贅沢な時間だろうと毎回どの公園を訪れても思います。こんなささやかで変な時間がいつまでも続いて欲しいと思いつつ、桧葉の木公園をあとにしました。
それではまたいつか、どこかの公園で逢いましょう!
=== Park Information ===

山形市〈 桧葉ノ木公園 〉
山形市桧町(ひのきちょう)にある、面積約2.1ヘクタールの公園。1990年開設。
市北部に位置し、大野目(だいのめ)、江俣(えまた)、馬見ケ崎(まみがさき)、北町といった隣接する町とともに形成されるこの桧町近隣エリアは、郊外型の全国系ショップ(イオンとか回転寿司チェーンといったような)をはじめとした商業店が多い印象。また、ハローワークや健康管理センターなど職探しや健康診断でお世話になる場所でもあり、さらにはやや年季を感じさせるものづくり系の会社や工場などもあり、そしてまた住宅もあり……というように、新しさと古さ、賑やかさと静けさ、種々の機能と用途が入り混じっている。そんなエリアの真ん中にある公園ゆえに、いろんなタイプの人の利用を想定しているのかもしれない。実際、この公園は広く、グランド、噴水、遊具、東屋といくつかの区域に分かれている。野球やサッカーをしたい少年たちも、静かに時を過ごしたい大人たちも、遊具で遊びたい子供達も、噴水側で語り合いたいカップルも、お昼休みの会社員も、すべてを受け入れるキャパがある(気がする)。
ところで名前が「桧町公園」ではなく「桧葉ノ木公園」なのはなぜなのか、この取材のときも、それから時間が経ったいまも、ずっと謎に感じている。ヒノキとヒバはちがうのか、ヒノキでなくヒバでもなくヒバノキという名前にしたのには誰かのなにか強い意図が働いていたのではないか。しかし詳細は不明である。ご存知の方はリアルローカル山形までご連絡いただけたら幸いです。(那須ミノル)
写真:佐藤鈴華(STROBELIGHT)















