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【鹿児島県日置市】まちの未来を想う一つ一つの灯が、人の心を動かす -前編- / 動く永吉 大寺聡 さん

インタビュー

2023.08.23

鹿児島県日置市吹上町の永吉地区では地域住民有志により誕生した『動く永吉』がまちの賑わいを取り戻すための活動を行っています。前編では初期メンバーや代表の大寺聡さんを中心に、後編では若手メンバーでもあり、農家の鶴田修市さんに活動を通して見えてきたものについてお話を伺いました。まずは前編からです。

【鹿児島県日置市】まちの未来を想う一つ一つの灯が、人の心を動かす -前編- / 動く永吉 大寺聡 さん

人を動かすことで前へ

“新しい地域おこしのカタチをつくりたい。”

2011年に

ある地域住民の一声から立ち上がった『動く永吉』。

団体名の由来は“人を動かす”(※1)という本からだったといいます。

「他の地域も同じかもしれませんが、永吉も住んでいる私たち自身が動いていかないと、どんどん衰退していく気がしたんです。」(大寺さん)

「その時に感じた危機感をそのままネーミングとして使わせてもらいました。小さなまちで何ができるのか?手探りの状態で立ち上がりました。」(大寺さん)

そのように答えるのは中心メンバーの一人でもある大寺聡さん。立ち上げから今に至るまで永吉の地域おこしの活動に携わっています。

立ち上げ前には公民館で説明会を開催したのだとか。

その時に参加されていた本田さんは当時のことをこのように振り返ります。

「覚えているのは、大寺さんが映像を流しながら、通学路にある壊れた看板やほとんど使用していないフェンスなど、永吉の現状を話していたことです。」(本田さん)

「“魚のようにグッと集まりサッと去るような、必要な時に必要な人が集まるような団体をつくりたい”と話されていました。」(本田さん)

(※1)D・カーネギー著。社会人として身につけるべき人間関係の原則を具体的に明示して、あらゆる自己啓発本の原点となった不朽の名著。

【鹿児島県日置市】まちの未来を想う一つ一つの灯が、人の心を動かす -前編- / 動く永吉 大寺聡 さん
動く永吉 代表 大寺聡さん

団体として最初に取り組んだことは使われない看板やフェンスの撤去作業からでした。

「まずは、景観から変えないといけないと感じました。まちの規模を保ちつつ、少しずつ綺麗に便利にしていけば、暮らしやすさに繋がると思ったんです。」(大寺さん)

「地権者の意見も聴きながら、私たちの考えも伝えました。ゴミの投棄が多発していた場所は、閉鎖するのではなく、開放することでゴミを減らせるなどと議論を重ねました。」(大寺さん)

次第に、市役所や公民館で住民の想いを語る場を設ける等して

少しずつ仲間を増やしていかれました。

「対話をしていくと、皆さん思っていたことがあったのか、たくさんの意見をしてくださいました。東日本大震災が起き“エネルギーと食糧は地方で生産・都市部で消費”という現代の構図に疑問を感じ始めた頃だったからかもしれません。」(大寺さん)

そして、その次に取り組んだこととして挙げられたのが

永吉で100年以上続いているイベントへの関わりでした。

【鹿児島県日置市】まちの未来を想う一つ一つの灯が、人の心を動かす -前編- / 動く永吉 大寺聡 さん
写真提供:大寺聡 今までの活動経緯を可視化し整理した一部のもの

10年後、20年後を見据えて

そのイベントとは蓑笠市(4月)と歳の市12月)という

永吉商店街が中心となって続けてきたものでした。

関わり始めた時のことをメンバーの中城さんが教えてくださいました。

「昔は、通りの商店に唐揚げを求めてたくさんの列ができるほど賑わっていたイベントと聞いています。しかし、ここ20年程は露天のお店が少し出るぐらいで、そこを大寺さんたちが“動く永吉として、商店街の活性化を進めるカタチで関われないか?”と組合に話をしたのは覚えています。」(中城さん)

大寺さんは最初に関わった蓑笠市(2013年)について次のように振り返ります。

「商店街の皆さんと交渉を重ね、長年まちの中心にあった空き地をメイン会場として使えるようになりました。地元有志で大掃除を行い、使われていない場所というイメージを払拭させることもできたかと思います。」(大寺さん)

「既存のイベントに乗るカタチで、地域や学校の皆さんと一緒につくっていけたらという想いで関わり始めました。最初の2013年はODK-おしかけデザインかごしま-(※2)のプロジェクトも加わり、多様性をつくりだすきっかけになったと思っています。」(大寺さん)

(※2)鹿児島県内で活躍する主にフリーランスのデザイナーによる任意団体。問題を抱えるいろんなところに「おしかけ」て、無償でポスターをつくって応援する活動を2013年より展開している。

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写真提供:大寺聡 蓑笠市2013のフライヤー
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写真提供:大寺聡 ODK-おしかけデザインかごしま- 蓑笠市の様子
【鹿児島県日置市】まちの未来を想う一つ一つの灯が、人の心を動かす -前編- / 動く永吉 大寺聡 さん
写真提供:大寺聡 ODK-おしかけデザインかごしま- 蓑笠市にてコラボした事業者とデザイナーの2ショット

さらに、活動をしていくうちに、商店街で使われていない空き家の所有者から「動く永吉の活動拠点として使ってみては?」と話が持ち上がります。

「元々、活動拠点をつくろうと模索していました。これから交通弱者が増える中で、車ではなく、歩いていける距離で買い物を済ませられるように、10年後・20年後を見据えて取り組みたい。そんな気持ちからでした。」(大寺さん)

「そして、そのデザインは表層的な意味ではなく、みんなが関わってつくった場所でないといけない気がしました。そうじゃないと愛着が湧く建物ができないのではと思って。」(大寺さん)

「だから、プロに任せる部分以外は、実際にみんなで体を動かして改修することにしたんです。メンバーで廃材を回収しに出かけたこともありました。答えを求めず、その場でできることを大切にしました。」

そして、201510月。

永吉銀座』として空き家が生まれ変わり、動く永吉の活動拠点として動き出すことになります。

【鹿児島県日置市】まちの未来を想う一つ一つの灯が、人の心を動かす -前編- / 動く永吉 大寺聡 さん
永吉銀座 正面
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永吉銀座 看板
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写真提供:大寺聡 改修時の様子 素人ができない部分はプロのメンバーに任せたとのこと

否定せずに、受け入れ続けることで

永吉銀座の由来を伺いました。

「商店街として銀座通り、文化通り、都通りと3つも通り会が存在したほどのまちでした。この建物があった通りが銀座通りだったので、それで永吉銀座と名付けたんです。」(中城さん)

毎週土曜日朝7時からアサカツと称して

メンバーがコーヒーを淹れて足を運んだ人たちと交流する場を9年程続けられています。

「毎回、議題もなく、意味なく集まるということを大事にしています。世の中のほとんどが“人を集めて会議をする”ことが当たり前だと思います。でも、誰が来るかもわからず、どんなことが起きるかわからない状態で話をするのも面白いと感じたんです。」(大寺さん)

「“地域のみんなが、、、”というとまだまだ課題はあります。でも、例えば、週に1回、ここで食堂が入ってお弁当やメニューを提供したり、定期的に英語教室や音楽教室も入ったりして、新しい動きは生まれています。」(大寺さん)

「だから、ここがあるか・ないかと考えると、あるからこその風景や今があると思っています。」(大寺さん)

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アサカツの様子
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永吉銀座で2ヶ月に1回開催されている英語多読の会の様子
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英語多読の会で読める本

新型コロナウイルスが蔓延し、

地域内での活動や集まりが制限された3年。

それでも、この3年が大きな転機だったといいます。

「若い元気な方々が永吉に移住されたりして、私自身も住みやすくなったと思っています。10年以上の地道な活動が少しずつですが、誰かの心に届いて、人を動かすということに繋がっていると実感しています。」(大寺さん)

「もちろん、うまくいかなかったこともたくさんあります。それでも、誰でも否定せずに、まずは受け入れることはずっと大事にし続けたいです。」(大寺さん)

「次世代の方が私たち世代よりも田舎の価値をわかっているのではないかと感じています。だから、そういった方々から勉強させてもらっている立場になりつつあると思っていて。」(大寺さん)

「僕はイラストレーターなのでデザインを軸に永吉に関わってきました。でも、皆さん持っている武器はそれぞれなので、いろんな関わり方があります。だから、これからは、そんな方々と考え、伴走しながら一緒に活動できたらと思っています。」(大寺さん)

後編では

次世代のメンバーとして永吉で活動されている鶴田修市さんにお話を伺っていきます。

【鹿児島県日置市】まちの未来を想う一つ一つの灯が、人の心を動かす -前編- / 動く永吉 大寺聡 さん
永吉に移住された西嶋さんご夫妻 夜市にて演奏をする様子
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永吉に移住されたラッパーの泰尊さん 鹿児島県内だけでなく、県外でも活動を展開中

後編へ

屋号
動く永吉(なかよし永吉)
URL

https://www.instagram.com/nakayoshi_nagayoshi/

住所
鹿児島県日置市吹上町永吉14191-4
備考

●永吉銀座
 問合せ先:上記URLDMよりお願いします

●アサカツ
毎週土曜日朝7時〜

●永吉銀座食堂
毎週火曜日午前11時〜