TOP > 湘南 > 店 

TOP » 湘南 » 鎌倉市腰越｜イタリア・マルケ料理の店「aniko enoshima」

• Facebook
• twitter
•  views

鎌倉市腰越の電車通りから一本中に入った場所にひっそりと佇む元自転車屋の建物。そこに「aniko enoshima」がオープンしたのは、2025年5月のこと。
本格的なイタリア・マルケ州の郷土料理を中心に、旬の食材を使ったイタリアンが楽しめる店で、オーナーシェフの井関誠さん、妻の英美子さんが中心となって営むアットホームな雰囲気も魅力のひとつです。店をオープンさせた経緯や今後のことなど、オーナーシェフの井関誠さんにお話を伺いました。

井関さんは広島生まれ岡山育ち。20代から料理の道に進み、イタリアでも10年間料理を学んで日本へ帰国。その後、東京にイタリア・マルケ州の郷土料理をいただけるイタリアンの店をオープンしました。そんな井関さんが鎌倉へ店を出そうと思ったきっかけは、年齢的にもそろそろ東京で追われるように仕事をする日々から少し距離をとって、もっとじっくりと料理に向き合いたいと思ったからだそう。

東京時代に「東京R不動産」で住まいを探した経験もあり、鎌倉での店舗探しの際には「鎌倉R不動産」のサイトを見ていたそうです。そこで出会ったのが「輝け！〇〇サイクル」という何やらユニークなタイトルの物件でした。内見してみると、そこは元自転車屋さん。天井が高く、入口は大きなシャッターのみ。店の奥には中二階があるという変わった造りの建物でしたが、井関さんはこのベースからどのように造り込めるか、造り込みたいかがすぐにイメージできたと言います。腰越のまち、電車通り商店街の雰囲気も気に入ってすぐに申込みをしました。2度目の内見では、実際にどんな工事ができそうか、具体的に赤坂の店の内装を手掛けた大工さんと話し合い、方向性を決めてから契約。そこからすこしずつ工事を進めて行きました。

出来上がった内装は高い天井を生かして、木の梁やアーチ壁を造作をして温かみをプラス。中二階は半分を取り払い、残した半分は個室としました。その下には、まるで洞窟の中のようなテーブル席があります。キッチンは建物の手前から奥まで一直線に繋がるオープンキッチン。最新の設備が整っています。インテリアはアンティークを配し、穏やかなイタリアの民家のような雰囲気に仕上げました。

店の看板メニューは、マルケ地方の伝統料理でもあるラザニア、オリーブの肉詰めフリットなど。取材時はランチタイムで季節のパスタをいただきましたが、ディナーのアラカルトメニューやワインもとても美味しそうで通いたくなってしまいます。

お客様は東京の店からの常連さん、腰越や鎌倉の地元の方など。東京の店はランチ営業というとビジネスランチの方がほとんどで、働いているひとが息抜きで食べにきてくれる感じでしたが、鎌倉の地元の方はランチもディナーにも来てくれます。鎌倉はまちも素敵ですが、住んでいる方もみなさん素敵な方ばかり。食に対する意識の高さや繊細さなどを日々感じるそうです。

店からすぐ近くの場所に住まいも移して、オープンから半年ほどのいま。店もようやく軌道に乗りました。腰越のまちの人たちには本当によくしていただいて、もっとこのまちに馴染んで、地元の先輩たち受け入れてもらえるようになりたいなと日々がんばっているところです、と井関さん。

鎌倉は都内に比べたらまだまだ知られていない名店が数多くあり、自分自身も好みの店があって、そこに通うのが楽しいなと思っているところ。また、腰越は鎌倉の中心からは少しだけ遠く、漁師町、下町の雰囲気が残るエリアです。このまちに鎌倉市内で独立する方の店や、自分たちのように東京からやってくる店など新しい店ができて、昔からの商店街の店と一緒にまちをより良くしていけたら。まだまだ自分たちは新参者ですが、いつかそんな風になれたらいいな、と話してくれました。

腰越に来たばかりの頃は、まちの人たちに受け入れてもらえるかと不安で少し肩肘をはっていたかもしれませんが、いまは関わって下さるみなさんのおかげで、いい意味で自然体になれたかな、と井関さん。

腰越のまちに馴染んできた名シェフの、これからの活躍と店の今後の展開もとても楽しみです。ぜひ、井関さんとのお話も楽しみつつ、マルケの郷土料理を味わってみてください。