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TOP » 湘南 » 鎌倉市御成町｜「まちのジェラテリア」を日常に。「GELATERIA SANTi」

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鎌倉・御成町の路地裏にある『GELATERIA SANTi』は2018年4月にオープンしたジェラート専門店です。ショーケースには常時12種類のジェラートが並び、旬や仕入れに合わせてフレーバーは入れ替わります。湘南の地元農家を起点に、生産者と「顔の見える関係」を大切にしながら、必要に応じて県外にも足を運び素材を探されています。地元のレモンをそのまま生かしたソルベや、鎌倉のスパイス店〈アナン邸〉のチャイを使ったジェラートなど、地域の素材とまちの味が重なる“SANTiならでは”のフレーバーも登場します。今回は店主の松本 愛子さんにお話を伺いました。

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ジェラートが「日常にある」国で見えた、店のかたち

旅先のイタリアでジェラートに出会って衝撃を受けました。その味ももちろんですが、まちのなかにジェラート屋が当たり前にあって、皆さんが「今日はこれ」「明日はあれ」とその日の気分で毎日のようにジェラートを食べる文化があり、そのまちとの距離感が、とてもいいなと感じました。
もともとは公認会計士をしていて、湘南から東京に通勤する生活をしていましたが、その頃からするとまさか自分がジェラート屋をやるとは、想像していませんでしたね。

「おいしい」だけでは足りない

おいしいものを提供したい、という気持ちはもちろんありました。でもそれだけではなく、サステナビリティや安全性、地産地消など、自分たちが大切にしたいと思った価値観を、ジェラートに乗せて伝えたい気持ちがありました。私自身が湘南で暮らす中で、湘南特に鎌倉に住むひとは自分がいいと思うものを選び取る、こだわりの強い方が多い印象を受けました。お店のコンセプトを理解してくれる方が多いのではと思い、この地に店を構えることを決めました。大量生産・大量消費の良さも理解しつつ、それだけじゃない価値観も、これから大切になると思っています。

「ワクワクする場所」を探して、御成町の路地裏へ

店を構えるときに譲れなかった条件は、「自分がワクワクする場所」でした。鎌倉でお店を出すなら、小町通りなど観光が中心のエリアから少し離れ、まちを散策しながら見つけてもらえる場所がいい。あわせて、地域の方に日常として使ってもらえる場所を探していました。
お店のある御成通りは鎌倉駅の西口側にあります。西口側は地元で「裏駅」と呼ばれることもあって、観光の中心とは少し違う空気があります。駅からも近く、自分のやりたい店のかたちに合うと思っていました。

とはいえ、物件探しは難航しました。そんな中で「こんなイメージのお店を出したい！」とジェラートを持って直接大家さんに会いに行ったことがきっかけで、現在の場所に出店することができました。
最初は「ここでジェラートが売れるかな？」と心配されたり、「場所が分かりづらい」と言われたりもしました。が年月が経つにつれて「いい場所を見つけたね」に変わっていきました。

「どこから来たのか」が、そのまま味になる12種類のショーケース

鎌倉店は常時12種類。季節によって、日によって、素材に合わせてフレーバーが変わっていきます。湘南の農家さんからの仕入れを優先しつつ、必要があれば山梨や島根など、地域を広げて「おいしいもの」を探します。

私は、できるだけ生産者の方に会いに行くことも大切にしています。顔が見える関係があると、作り手さんとしての気持ちも違うと思いますし、お客様に伝えるときの言葉にも実感が乗るからです。大磯に系列店がありますが、庭の柿やみかんをジェラートにする年もあります。素材が「どこから来たのか」が、そのまま味になる感覚があります。

より素材の味を“立てる”ジェラートにするために

実は、ジェラートはかなり「計算」の世界。脂肪分や糖分など素材を分析して、配合を数字に落とし込んでレシピを作っていきます。

さらに、ジェラートは、乳脂肪や砂糖を控えめにできる分、アイスクリームより素材の味が生きますし、温度が少し高いので、香りや風味を感じやすいんです。

だからこそ、より素材の味を生かすためにはどうしたら良いか、日々数値で考えています。ここには公認会計士のスキルが生きているかもしれません。

目指しているのは、「おいしい」以上に、思い出の一部になること

オープンしたときからお客様の思い出の中に残る時間をつくることを目指しています。

添加物を極力使わないようにしていることもあって、以前から来てくれていたお客様が、出産後のタイミングで家族を連れて来てくれたり、お子さんの「初めてのジェラート」として選んでくれたりすることがあります。初デートで来た方が、結婚式の記念にウェディングフォトセッションをしてくれたこともありました。長期入院のあとに「最初に食べたかった」と来てくださった方もいて、そういう瞬間に立ち会えるのは本当にうれしいです。

おいしいことはもちろん、これからも素材を生かしたジェラートを通して、お越しいただく方の思い出をつくっていけたらと思っています。