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山形エコハウスへようこそ/カーボンニュートラルな暮らしの提案

2017.04.03

山形エコハウスへようこそ/カーボンニュートラルな暮らしの提案
これから山形に暮らす。これから山形に家を建てる。
そんなつもりがもしもあるのなら、ぜひ東北芸術工科大学すぐそばにある山形市上桜田の「山形エコハウス」を一度訪れてみてはいかがでしょうか。ここには「山形で快適に暮らすには?」という疑問に対する答えがいろいろと用意されています。

地球温暖化が進む世界に生きる私たち、東日本大震災と福島第1原発事故が起きてしまったあとの日常に生きる私たち、家族の高齢化や健康を気づかう毎日に生きる私たち、この寒暖差の厳しい山形の地に生きる私たちの、これからの暮らしとは一体どうあるべきなのか。
そうした問いに対するひとつの答えのカタチであるように思います。以下は、「山形エコハウス」を訪れて学んだことを私なりにまとめてみたものです。

特長その1〈木造であること〉

山形エコハウスへようこそ/カーボンニュートラルな暮らしの提案
山形エコハウスの室内は、空間が仕切られていない、いわば「ワンルーム」。大きな空間すべてが快適な温度。

 

山形エコハウスは木造です。地元山形産の杉とカラマツが使用されています。木材のよいところは、その生成過程でCO2を排出しないこと。それどころか木はCO2を吸収して育つということ(これに対してコンクリートや鉄は生成過程で大量のCO2を排出します)。

また地元産を使用することは、地域の森林のメンテナンス(間伐など)をしっかりとしていくことにもつながるほか、輸送にかかるCO2も少なくすみます。これによって、家を建てるときのイニシャルのCO2排出が抑えられるというわけです(しかし、住宅におけるCO2排出全体からみると、イニシャルCO2は全体の2割程度で、あとの8割は家を維持するときに発生するランニングCO2であるそうです。つまり、イニシャルも重要ですが、それ以上にランニングでのCO2排出を抑えることが大切)。


特長その2〈高い断熱性能〉

「山形エコハウス」が性能的に「エコ」であるといえるポイントは大きくふたつ。
「徹底的に省エネ化されていること(化石燃料の使用量が抑えられていること)」と「使用するエネルギーが、できるかぎり再生可能エネルギー(太陽光発電、バイオマスエネルギー)であること」です。
冬は氷点下にもなる山形の暮らしにおいて、暖房のために消費されるエネルギーは少なくありませんから、断熱対策による省エネ化は非常に有効です。

その点において「山形エコハウス」で特徴的なのは、断熱材が30センチほども入っているという分厚い壁と屋根、がっちりとした重厚感のある木製のトリプルサッシの窓がもたらす、高い断熱性能です。この家では、エアコン1台をわずか数時間稼働させるだけで、家中全体で夏はほどよく涼しく冬はほどよく温かい、快適な室温を1日中保つことができます。

(ちなみにこの記事の著者の実家はおなじ山形市にある築50年の家。そこに暮らす老人2人は冬の季節には灯油のストーブを何台も使用しています。でも、それでも寒いし、家全体がいっこうに暖まりません。ヒートショックを起こさないか本当に心配になります。)

山形エコハウスへようこそ/カーボンニュートラルな暮らしの提案
断熱性能を高めるための重要なポイントのひとつ、木製のトリプルサッシ(これは展示用のもの)。実はここにも断熱材が使用されている。
山形エコハウスへようこそ/カーボンニュートラルな暮らしの提案
外界との接点となる壁は約40センチほどにもなる分厚さだ。


特長その3〈ランニングコストが低い〉

家での暮らしに必要とされるエネルギーは、大きく2つ。
家電に必要な「電力エネルギー」と、給湯や暖房に必要な「熱エネルギー」です。断熱性能を上げることによって、必要なエネルギー量そのものを省エネ化している「山形エコハウス」では、さらに、屋根に乗せた太陽光パネルによって電力を自給します。また、ペレットボイラーを設置することで給湯をまかないます。

また、南側の窓は大きく、庇も大きくとられています。これによって、冬には陽ざしを取り込み、夏には庭の落葉樹と庇が強い陽ざしを遮ります。その他、まだ工夫はいっぱいあります(これ以上は私の理解不足でお伝えできません)。

山形エコハウスへようこそ/カーボンニュートラルな暮らしの提案
南側から見た「山形エコハウス」。大きめの庇(ひさし)と庭も、室内を快適に保つための重要なポイントになっている。

 

まとめます。
「山形エコハウス」は、カーボンニュートラル(CO2を排出しない)をめざした家です。それはつまり、徹底的に省エネ化され、使うエネルギーは再生可能な自然エネルギーである家ということ。しかもそれでいて、山形での暮らしをとても快適にする家。
完成したのは2010年3月。東日本大震災の1年前のことでした。それから6年経った今では、新しい技術も生まれているのかもしれません。でも、大事な「考え方」は変わらないと思います。

省エネであること、自然エネルギー利用への移行を図ること、地元の森林資源を大切に有効に使っていくこと、そして毎日の暮らしの何気ない幸せを大切にすること。福島第1原発事故後、「山形エコハウス」が提示する考えの正しさを感じずにはいられない、と私は感じます。

 

※山形エコハウス・プロジェクトメンバー(2010年3月当時)
竹内昌義(東北芸術工科大学教授)/三浦秀一(東北芸術工科大学准教授)/森みわ(東北芸術工科大学客員教授)/馬場正尊(東北芸術工科大学准教授)/Arup Japan 森義之・持田正憲/松尾剛志/松本年史/渡部桂/鈴木芽久美・川上謙・斉藤芳子(学生スタッフ)

※「山形エコハウス」の考え方や、このプロジェクトで討論された内容については、『未来の住宅 カーボンニュートラルハウスの教科書』(竹内昌義・馬場正尊・三浦秀一・山畑信博・渡部桂著、バジリコ株式会社・2009年)に詳しく書かれています。

山形エコハウスへようこそ/カーボンニュートラルな暮らしの提案

名称

山形エコハウス

住所

山形市上桜田3-2-37

URL

http://www.tuad.ac.jp/ecohouse/

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