旅の目的地となるカフェを、街をつくりたい 「ひらみぱん」オーナーシェフ・平見高広さん
フランス料理・ピザ・パン製造 スタッフ募集中
ブラッスリーカフェ「ひらみぱん」が、「せせらぎ通り」にオープンしたのは2011年春のこと。交差点角の扇型に広がる大正時代の鉄工所跡の建物を3分割し、真ん中に「ひらみぱん」、両隣に古書店の「オヨヨ書林 せせらぎ通り店」、「町屋ダイニング あぐり」が同時オープンしたことで新たな人の流れが生まれ、この一角は「せせらぎ通り」のランドマークになりました(金沢R不動産で仲介 )。そして、「ひらみぱん」オーナーシェフの平見高広さんは、同交差点を囲むように2017年に「クレープリー アンティーム」、2018年に「ピッツァ ブッダゴリラ」を相次いでオープンしました。
旅の目的地になるカフェをつくりたい
「ひらみぱん」があるのは、金沢屈指の観光地「長町武家屋敷群」のそば、なかでも加賀藩トップクラスの重臣が屋敷を構えていた歴史あるエリアです。さらさらと心地よい水音をたてて店の前を流れる「鞍月用水」沿いは「せせらぎ通り」と呼ばれ、古くからある住宅と銭湯や飲食店などに加え、近年は町家や空きビルを改装した魅力的な雑貨店・セレクトショップ、飲食店が次々と誕生しています。
–3軒のお店を近接してオープンしましたが、この場所に思い入れがあるのですか?
最初に「ひらみぱん」をこの場所でオープンできたのは、とてもラッキーでした。この建物を見たときに「ここでお店をやりたい!」と思って連絡したんですが、実は僕より先に名乗りを上げていた方がいたんです。でも、先約の方がちょうど辞退されたタイミングで僕がこの物件に出会い、出店できたんです。
「アンティーム」と「ブッダゴリラ」も良い空き物件が近くに出たからもありますが、「せせらぎ通り」、特にこの交差点の周辺には「オヨヨ書林」さんはじめ、店のアンティーク家具や備品などをお願いしている「Gloini」さんなど素敵なお店がいくつもあって、どうせならこの場所で、周りのお店と一緒に街づくりができたらいいなと思ったから。
–「せせらぎ通り」のお店は、それぞれが独立しながら、ナチュラルで自然体。「せせらぎ通り」的ともいえる独特の雰囲気が生まれていますね。
飲食店も雑貨屋さんも、お互いに刺激しあって、いい雰囲気が生まれています。今ここで自分も3軒のお店をできるようになりましたが、僕の憧れ、目標は「CAFE SHOZO」さんなんです。1988年に菊池省三さんが栃木県黒磯市(現・那須塩原市)のアパートの2階で始めた「1998 CAFE SHOZO」。菊池さんは何もないと思っていた故郷の黒磯にカフェをつくり、空き店舗があればインテリアショップや雑貨店などにリノベーションして、そしたら次第にお店をやりたいという若者も集まってきて、全国のカフェ好きが遠方からも訪れる人気の通りをつくりあげた人。
–いい店が、いい店を呼び、人が集まり街になる。「ひらみぱん」のオープンも、後続店や街の雰囲気にも少なからず影響しているのではないでしょうか。
「那須に行ったら『SHOZO』に、黒磯に行かなきゃ」っていう感じで、「金沢に行ったら『ひらみぱん』に、せせらぎ通りに行かなきゃ」みたいに、金沢に旅の目的地になるカフェをつくりたいと思って始めたのが「ひらみぱん」でした。今、旅行者の方々が朝食やランチにたくさん来てくださっているのは、本当に嬉しいです。「ひらみぱん」で朝ごはんを食べてから、近くの雑貨屋さんを巡りながら通りを散歩する。ここのエリアに来るだけで素敵な時間が過ごせる、そんな通りになったらなって。
–影響を受けた人や本も多そうですね。
僕が最初に影響を受けたのは高校生のときにお世話になった美容師の夫妻。都会的でカッコよく、県外に進学してからもCDや本を送ってくれて、カルチャーの部分で刺激を受けました。東京で服飾の学校を卒業してファブリック関係の仕事に就いてからは、自分でもオリジナルのバッグやTシャツなどの作品を作っていましたが、リセットしたくなって25歳で七尾にUターン。2年半ほど地元の食品会社で働きながら、マルシェで作品を売っていたときに出会った、マルシェを運営する谷内博史さんの言葉も忘れられません。
「平見くん、無いものねだりじゃなくて、あること探しだよ」と谷内さんに言われて、ハッとして。それまで当たり前に見ていた田舎の風景や古い物の魅力を再認識しました。雑誌『ku:nel』で読んだ「二三味珈琲」の記事も衝撃で、「能登半島の先端でも、こんな凄いことができるんだ!!」って。
–カフェをやりたいと思ったときに、飲食の経験はなかったんですか?
金沢のパン屋さんで短期で働いたり、フレンチのお店で料理教室に参加した程度。カフェの開店という目標ができて、本格的に働き始めたフレンチレストラン「くりゑンテ 金沢・東山」の川端シェフと、「池田町バルバール」のオーナー「広坂ハイボール」の宮川元氣さんが僕の食・サービスの師匠です。
何事も長続きしなかった僕が「絶対に3年は頑張る!」と決心して飛び込んだ川端シェフの修業はとても厳しく、何度も逃げ出しそうになりましたが、本当にいい経験でした。僕自身は飲食の経験が浅かったけど、「ひらみぱん」の開店スタッフにキャリアのあるパン職人や料理人が入ってくれて、彼等からも多くを学びました。優秀なスタッフに恵まれたことも財産です。
–次々と話題店をオープンし、自転車でパンの移動販売を始めるなど、平見さんのアイデアにいつも驚かされます。
僕は好きな言葉や記事、写真などをスクラップしているんです。だからお店をつくる時も、はっきりしたビジョンがあって具体化しやすかった。ロバート・ハリスの著書『人生の100のリスト』に影響され、自分も100のリストを作成したら、10年経ってほとんど実現しています。夢は書き出すことで目標になり、実現可能です。いずれは故郷の七尾で祖父が暮らしていた築150年の古民家を改築してオーベルジュもやりたい。自分たちで農園もやって、育てた麦でパンを焼き、採れた野菜や地の食材を使った料理を提供したいんです。
–シェフというよりプロデューサーですね。
単に料理人というより、ストーリーを考えたり、売れる工夫をすることが好きです。周りからは突然の思いつきで動いているようにも見られますが、すべて胸のうちにあったこと。チャンスがあれば挑戦し、うまく行かない場合のやめ時と、別の方策も考えておく。僕の中ではすべてつながっているんですが、スタッフや周囲の人にわかってもらうのが下手で(笑)。アイデアを理解してもらう努力や働きやすい環境づくりは、経営者としてもっと力を入れたい部分です。
–現在スタッフを募集中とか。
はい、あんなことも、こんなことにもチャレンジしたいという、何でも楽しめる人は大歓迎。3店舗あり、料理やパン作り、サービスに販売など活躍の場は多彩です。責任をもって仕事をお任せできる方には、得意分野を活かして自由に働いてもらいたいと思っています。僕は仕事って人が成長するためにあると思っていて、修業時代は自分磨きをしている時だったと確信しています。人と人が擦れあって魂を磨くのだから、痛くてしんどいのは当たり前。それを乗り越えたら次のステージに立つ成長した自分に会える。そんな風に、毎日をワクワクしながら一緒に成長していける仲間と働けたら嬉しいですね。
名称 | ブラッスリーカフェ ひらみぱん |
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業種 | 飲食店(フランス料理・ピザ)・パン製造販売 |
URL | |
住所 | 石川県金沢市長町1-6-11 |
TEL | 076-221-7831 |
営業時間 | モーニング8:00〜11:00 ランチ12:00〜14:00 カフェ・軽食 14:00〜18:00 ディナー 18:00〜22:30(21:30LO) |
定休日 | 月曜 |
アクセス | 北鉄バス「南町・尾山神社」「香林坊」バス停から徒歩5分 ふらっとバス「中央小学校」バス停から徒歩2〜3分 |
備考 | <スタッフ募集中> 業務内容:調理、接客、販売(フランス料理・パン製造・ピザなど) 転勤なし/学歴不問/マイカー通勤可/未経験者歓迎/女性が活躍中/語学が活かせる仕事/禁煙環境あり |