今夜も「若葉」で金沢おでん&熱燗を
年中「おでん」が食べられる専門店の存在は、私が金沢で驚いたことの一つ。お隣の富山県では、冬になると居酒屋の片隅におでん鍋が登場するサイドメニュー的存在であるのに対し、金沢では通年で「おでん」を専門にした店がたくさんあり、今や「金沢おでん」として全国にも知られるようになりました。
また、金沢人はたいがい自分好みの行きつけの店があります。今回ご紹介する「若葉」さんは、金沢暮らし10年目の私のお気に入りのお店の一つです。
昭和10年創業、有名作家も愛した老舗おでん店
「若葉」さんは、兼六園から車で3分ほどの石引商店街にあります。石引の町名は金沢城築城の際に戸室山から石を曳いたことに由来し、周辺には金沢大学附属病院、金沢美術工芸大学などもあり、お医者さんと学生が多い街で、地元客が通うローカルな飲食店が充実しています。かつて近くに住んでいた作家の五木寛之さんも、「若葉」さんへ頻繁に訪れていたそうです。
地元客に昔から愛され続けているお店ですが、近年は観光客がどっと増えて週末は大変な賑わいです。実は私も以前つとめていた会社がすぐ近くだったこともあり、職場の飲み会はもちろん、友人たちと飲みに来たり、会社帰りの夕飯に・・・とお世話になったものです。大人数だと盛り合わせで30種類以上ある具材をあれこれ食べ比べでき、注文してすぐに出てくるという点でもおすすめなのです。
人気の理由は丁寧に下ごしらえされた具、そしてスッキリとした味わいながら深みのある上品なお出汁。一番の人気メニューは「大根」で、地元石川県産に限らず、北は北海道から季節に合わせて最も美味しい旬の地域の大根を仕入れて使っています。何せ、通年で大量に必要なわけですから。大根は10cm近い長さにも関わらず、お出汁がしみて、箸を通せばスッと切れる柔らかさ。トッピングに白味噌が添えられます。
「いわしのつみれ」もリピーターが多い人気メニューで、優しく口どける独特のフワフワ感と、たっぷり練り込まれた玉ネギが食感と甘みを添えています。おでん=魚の練り物が多いイメージですが、食べ応えのある肉団子や牛すじ、脚1本を串刺しにしたタコ、金沢らしいバイ貝のほか、竹の子、フキ、シイタケなどの野菜類も豊富で、食感・味わいがバラエティに富んでいます。
ロールキャベツは、じっくりと炒めた玉ねぎにひき肉を合わせ、片栗粉でとろみをつけたものをキャベツで巻いているので、サッパリとヘルシーにいただけます。注文してから出汁にさっと潜らせて供される「みつば」も大好きな一品。「ふかし」(150円)や「車麩」(150円)も、金沢独自でおすすめです。
これも注文したい!おでん以外の注目メニュー
おでん以外にも、実は注目したいメニューやポイントが。まず、とりあえずビールの次は、ぜひぜひ熱燗を! 魔法瓶ポットから実に見事に、“つるつるいっぱい(=表面張力が働くほどギリギリいっぱい)”のお酒をグラスに注いでくれます。料理や飲み物を注文すると値段を書いた木札が積まれて行くのも昔ながらで味わい深い(カウンター席のみ)。
注目メニューその2は、表の暖簾にも書かれている「どて焼き」。肉厚の豚バラ肉を鉄板で煮焼きにし、白味噌で味付けして、たっぷりネギをトッピング。
注目メニューその3も、表の暖簾に書かれている「茶めし」。出汁で炊いたご飯で、旨味と甘味がほどよく、お腹いっぱい食べた後でも、なぜかペロリと食べられます。おでんの出汁を少しかけて、出汁茶漬け風にするのも美味です。
どうしましょう、今夜も食べたくなってきました。毎日食べても食べ飽きないのも「若葉」さんの「おでん」の魅力かもしれませんね。
名称 | 若葉(わかば) |
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住所 | 石川県金沢市石引2-7-11 |
TEL | 076-231-1876 |
営業時間 | 17:00~23:00 |
定休日 | 月曜 |
アクセス | 駐車場 なし(近隣にコインパーキングあり) 北鉄バス「小立野」から徒歩1分 |
料金 | 2,000〜3,000円 |
石川県金沢市石引2-7-11