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【山形 / 連載】穏やかな休日のための音楽4

地域の連載

2021.04.18

「穏やかな休日のための音楽」では、毎回山形に縁のある南米のアーティストとそのアルバムを紹介しています。

今回紹介するのはブラジルのヴェロニカ・フェリアーニ(Veronica Ferriani)。サンパウロを拠点として活動している美しい女性シンガーです。

【山形 / 連載】穏やかな休日のための音楽4

私が初めて彼女の存在を認知したのが、ガフィエイラ・サンパウロ(Gafieira São Paulo)というグループの動画だったと記憶しています。ガフィエイラとは、ボールルーム・ダンスの一種で、生演奏されるサンバやサンバ・ジャズに載せて踊る、という形式の音楽形態ですが、この演奏でのヴェロニカの歌が素晴らしくて、以来彼女の動向を意識するようになりました。

ヴェロニカは、1978年にサンパウロの北にある内陸の小さな街に生まれました。8歳でギターを手にして音楽を志します。その後サンパウロ大学建築学部に進学しサンパウロへ移りますが、歌への情熱を忘れられず、音楽を学び直したそうです。2003年には、ギタリストで作曲家のシコ・サライーヴァのステージに客演し、デビューを果たします。その後2年間はシコ・サライーヴァと共にブラジル中を廻りました。2004年には6ヶ月間、サンパウロにあるライヴハウスで、数々の伝説的なサンビスタのオープニングアクトを務め、サンバを学びました。2009年に、今回紹介するデビューアルバム『Verônica Ferriani』をリリースします。このアルバムは評論家に「2009年にリリースされたものの中で最も素晴らしいアルバムの1つ」と評されました。同年には、前述のシコ・サライーヴァとのアルバム『Sobre Palavras』もリリースされます。多くの素晴らしい女性歌手を輩出しているブラジルで、ヴェロニカは常に突出した活動をしてきました。

シコ・サライーヴァと。

 私的にずっとヴェロニカの活動をフォローしていましたが、幸運なことに山形公演の機会が訪れます。しつこく願っていれば何故か希望が叶ってしまうのが、我々の活動の不思議なところです。山形公演は2013年11月のことでした。

【山形 / 連載】穏やかな休日のための音楽4

山形公演の場所は「Bar Frank」。プロモーションも兼ねて、ということで50人程の観客でしたが、サポート・メンバーはサンパウロの最先端のアーティスト達で、とても贅沢な公演でした。ヴェロニカの力強い歌声は、観客を大いに魅了しました。彼女の誠実で、一所懸命な姿勢がとても印象的でした。ステージ終了後もお酒と日本食で打ち上げを楽しんでいただけたようです。ヴェロニカが手にして喜んでいる器は、上の畑焼きの伊藤瓢堂先生による特別のものです。

山形公演の様子。

【山形 / 連載】穏やかな休日のための音楽4

上の畑焼きを手にして喜ぶヴェロニカ。打ち上げにて。

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今回紹介するアルバムは前述した彼女の2009年のデビュー・アルバム、『Verônica Ferriani』です。サウンドは当時のサン・パウロの売れっ子プロデューサー、ビヂ(BID)によの最先端のものです。新旧取り混ぜて本人がこだわり抜いた選曲も素晴らしく、彼女らしい楽曲で統一されています。ちょっとスモーキーで、情感溢れるヴェロニカの歌声が魅力的です。ぜひ穏やか休日に聴いていただきたいアルバムです。

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(試聴)