real local 山形山形移住者インタビュー/昼田祥子さん「すっごく、たのしい」 - reallocal|移住やローカルまちづくりに興味がある人のためのサイト【インタビュー】

山形移住者インタビュー/昼田祥子さん「すっごく、たのしい」

移住者の声

2021.06.03

昼田祥子さんが山形に移り住んだのは、2020年10月のこと。
旦那さんと3歳になる娘さんとともに果たした東京からの移住は、世の中がコロナ禍となるまえから望んでいた念願だったそう。それから半年を過ぎたいま、山形のまちを「たのしい! そしてすごい!」と昼田さんは絶賛します。いったいなにが彼女をそこまで興奮させるのか。彼女の目にはどんなものが魅力的に映っているのか。そんなことを教えてもらうインタビューとなりました。

山形移住者インタビュー/昼田祥子さん「すっごく、たのしい」

好きなことを仕事にすると決めた

二十歳の頃から東京の出版社でファッション誌の編集をし、やがてWebにも活動領域を広げつつ、33歳からはフリーのエディターになりました。終電で帰れないのはあたりまえで、オフィスに寝泊まりし、死ぬ気で仕事するような毎日を送ってきましたけど、結婚し、子どもができた35歳あたりを境に、働き方はまったく変わりました。

いちど仕事から離れたことがいいきっかけになったんでしょうね。出産後、仕事に復帰するタイミングで「生活のために無理して仕事するのはやめよう」「もっと好きなことをやろう」って、気持ちがリセットされました。

その想いは今ではさらに強まり、「100年後も残ってほしいブランドと仕事したい」「じぶんが100%ファンで、すごく愛していて…、っていう存在のために働きたい」と思っています。お金を理由にするのではなく、その思想に共鳴するから、心から応援したいから、ということを働くモチベーションにしよう、と。

生き返るほどのおいしさに出会った

山形に来るようになったのは、夫の両親が暮らすまちだったから。私の出身は広島で、結婚前は東北って遠いし行ったことないし興味さえ湧いたこともないし…、みたいな感じでした。「いくぜ、東北」なんてキャンペーンを見ても「意味わからん…」って思ったり。なのに、実際に来てみたら、すっごくいいところだったんです。

なにがいいって、盆正月に来ると、お義母さんが作ってくれたごはんをいただくんですけど、それがめっちゃおいしいんです。「なんですか、これ、へぇ、納豆汁っていうんですか…!」みたいなおいしい出会いが毎日つづく。名物やスペシャルなごちそうというより、お米とかお野菜とか日常のなにげないものがものすごいレベルでおいしいんです。「まるで生き返るようなおいしさ」というものがこの世にあることをはじめて知りました。

訪れるたび食べるたびにめっちゃおいしいから、少なくとも1週間は滞在したり、大型連休のたびに山形で過ごしたりしました。頻度もだんだん上がってきて、自分の実家のある広島に帰ることはまるでないのに、「ねえ今月もそろそろ山形に行きましょうよ」と夫にせがむまでになりました。

さらにわかりやすいのは子どもの反応でした。ふだん東京ではごはんをあんまり食べない子なのに、山形に来るとすっごいバクバク食べるんです。まるで食欲が違うその様子を見ながら、いよいよ本気で「山形に暮らそう!」と考えるようになりました。でも、それには夫が賛同しませんでした。「だって東京の方が刺激的で楽しいし、山形は寒いから」って。

ルーティンを変えなくても、楽しく暮らせる気がした

それがコロナの影響で、状況が変わりました。夫も、改めて自分のことをゆっくり考える時間ができたからか「自然や公園が多い山形で暮らすのもいいかもね」って考えはじめたみたいです。

早速私は不動産サイトで山形市内の物件を探しました。よさそうな物件を見つけて「じゃあ、実際に見に行こうよ」ということになり…。それで山形暮らしが現実になったんです。

決めた住まいは、八日町です。楽しく暮らせそうな家だったし、夫の両親も近くにいるし、駅からも近いし、七日町まで歩くのにもちょうどいいし、って。歩きながらいろんなことを考えたりアイデアをまとめたり、というのは東京での日常の習慣だったので、歩いて仕事場に向かうプロセスは山形でも大事にしたいと思いました。

その意味では、私の場合、ものすごい田舎暮らしをしたいわけではなく、山形市内でも比較的都会っぽいところを暮らしの拠点にし、地域の常識やルールにあまり染まらずに、これまでのルーティンをなるべく維持しながら日々を送っていこうとしているんだと思います。仕事も、東京でやっていたことを変わらず続けています。クライアントの打ち合せはオンラインですし、執筆などのデスクワークならどこででもできますから。

クリエイティブが根付いたこのまちにときめいた

振り返ってみれば、私たちがスムーズに移住できた理由のひとつには、こどもがまだ小さくてじぶんのコミュニティを持っていない、ということが挙げられるのかもしれません。学校にもまだ通っていないし、自分の意思がはっきりとあるわけじゃないので…。親のわがままだけでやれたことなのかも、と。

いま、ほんとうに山形暮らしがすっごい楽しいです。クリエイティブにリテラシーがあるまちだなって感心します。山形ビエンナーレもあるし、素敵なデザイン会社もあるし、それに佐藤繊維米富繊維そしてBATONERなど、素晴らしいファッションを生み出す会社がいっぱいあるところですし。もっともっと多くのクリエイターの人たちに山形に来てもらいたいですね。絶対に楽しめるまちだと思います。

暮らしているひとたちもすごく素敵です。じぶんの好きなことを追求しているひとがすごく多いように感じます。東京だったら必死に売上をつくる商売をするしかないけど、ここにはそういうことに縛られず自由に生きている人たちがいるんですよね。面白い人たちとの出会いがたくさんあるおかげで、日々めっちゃときめいています。

text 那須ミノル
photo 伊藤美香子