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【福井の連載】福井のみなみの季節と養生 #5/8月立秋~処暑「美浜町の日本酒、早瀬浦」

地域の連載

2021.08.28

福井のみなみの季節と養生は、福井の南に位置する敦賀でユニットを活動する養生デザインのお二人と季節ごとの養生についておはなししていく連載です。

※養生…身体の状態を整えること

8月に入り立秋を迎え、暦の上では秋を迎えました。
まだまだ残暑も厳しい日もありますが、暑さ対策をしながら乾燥する秋に備えていきましょう。
【福井の連載】福井のみなみの季節と養生 #5/8月立秋~処暑「美浜町の日本酒、早瀬浦」

夏の疲れの回復と喉に潤いを

青木(以下青):今年の夏は本当に暑い日が続きますね。体調はいかがですか?
牛久保(以下牛):このひと月ほど、バタバタしていることもあって本当に疲れが溜まっている感じがします。
青:暑さは体力を奪ってしまうんですよね。私もなんだか疲れやすくて、毎日の昼寝が欠かせませんでした。
牛:体力がないからではないのですね!
青:そうなんですよ。普段から元気な人でも暑さから体力や免疫力が下がっているのもこの時期の特徴です。粘膜も弱っていることも多く、喉から肺にかけてカラカラになったりなるので暑さ対策と同時に今からは喉の潤いも大切に意識してくださいね。
牛:喉の潤い対策に摂るとよい食材はありますか?
青:おすすめはぶどう、もも、なし、いちじくですね。
牛:どれも好きな果物です!
青:これらは身体の中に水分を生み出してくれるので、秋の味覚としても楽しんでみてくださいね。 
ただし身体を冷やすのでほどほどにしましょう。

少しずつ動いて軽やかな身体になる

山中(以下、山):特に朝晩が涼しくなってきました。涼しい時間帯に徐々に運動を取り入れて、軽やかな身体を手に入れましょう。
牛:おすすめの運動はありますか?
山:例えば歩き方に気を向けることも手軽なものの1つ。まずは息を深くすることを大切に、フゥーッと吐いたら鼻からゆっくり吸いこむことを意識してみてください。夏の疲れを回復させていく為にエネルギーチャージする様なイメージでも良いです。
牛:秋の始まりの涼しい朝の空気は美味しい感じがしますね。
山:秋は呼吸に大きく関係する時期、呼吸を感じながら身体を動かしてみましょう。
牛:なるほど!歩き方で気を付けるポイントはありますか?
山:おへそを前に向けること。おへそと前にある電柱や木などが繋がってる様なイメージで顔を上げて前を向いて歩くと自然と歩幅も広がりやすくなります。また、腕はぶら下がっているくらい力を抜いて。少し後ろに大きく振る様に歩くと、呼吸もしやすくなりますよ。歩く時間が無い時は前を向いてゆっくり鼻呼吸するだけでも良いので呼吸に意識を向けてみてください。

海の集落のお神酒をつくる 三宅彦右衛門酒造 さん

今月は美浜町の300年を越える老舗の酒蔵、三宅彦右衛門(みやけひこうえもん)酒造さんを訪ねました。お話しいただいたのは代表の三宅範彦さんです。

【福井の連載】福井のみなみの季節と養生 #5/8月立秋~処暑「美浜町の日本酒、早瀬浦」
お話をおうかがいした三宅さん(右)と杜氏の宮下さん(左)。

創業1718年。周りに米を作る田んぼがない海際の集落で、300年間続いている酒蔵は珍しいとのこと。
ここで作られる銘柄”早瀬浦”(はやせうら)は、地理的条件や環境に恵まれ、漁師町の信仰が深い地元の人々によって大切にされてきたお酒です。
そんな日本酒をつくる三宅彦右衛門酒造は地元ではミキヤと呼ばれています。由来は神様に捧げる大切なお神酒(おみき)をつくる家から。海の恵みをいただく漁師町の集落で、地域の人々の暮らしと深くつながっていることが伺えます。

【福井の連載】福井のみなみの季節と養生 #5/8月立秋~処暑「美浜町の日本酒、早瀬浦」
漁師町の早瀬区に約300年間続く酒蔵です。

早瀬浦はミネラルを含む仕込み水を使用し、発酵がすすんだ辛口の男酒。この地で湧き出る水と、同じく美浜町の伝統発酵食へしこともよく合います。
早瀬浦と名付けられて25年、地区独特の文化や300年続く歴史の中で様々なことがあったそうです。
特に戦時中に廃業になる酒蔵が多かった中、一軒のみ営んでいたおかげで蔵を続けられたお話も印象的でした。

季節のお酒、季節の商品をつくる

また、昔は米作りを終えた農家の方が出稼ぎのために酒蔵に来られ、冬の間だけお酒を作っていたそうですが、近年では従来の稲作の間もお酒をつくられています。

春、夏、秋とそれぞれの季節の特徴を生かし、春には穏やかな春の海をイメージしたお酒、夏には冷たく冷やして飲むと美味しいお酒など。季節ごとの商品を生み出しています。
「食に恵まれた地域だからこそ、身近な旬の美味しさの楽しみ方を知ってほしい」と三宅さん。
また、それぞれの季節に特徴を出しつつ「お酒の原料は基本はお米。お米はどんな食材にも合うもの。だからこそ、この食事に合うものとポイントを絞ってはいけない。ある程度どの料理にでも合うものを」とこだわっていらっしゃいます。
近年、この料理にはこのお酒とペアリングで紹介されることも増えている中、自然な暮らしの中で楽しめるお酒を追求されている三宅さんの熱意がこの言葉からも感じられました。

夏の甘酒「穂の実」

さて、早瀬浦さんには「穂の実」という夏の季語でもある甘酒も作られています。
こちらは夏から秋にかけてお酒づくりがひと段落する時期に、酒蔵で麹から作られるもの。
とろりとしたお米の力が十分にある滋味豊かな味わい。
福井県産の酒米を使い、精米歩合55%まで白く磨いた酒米を、吟醸麹100%で仕上げられた贅沢で豊かな飲み物です。

【福井の連載】福井のみなみの季節と養生 #5/8月立秋~処暑「美浜町の日本酒、早瀬浦」
吟醸麹100%で仕上げられた甘酒は、本当に贅沢で味わい豊かです。

夏の飲む点滴とも呼ばれる甘酒。
麹からつくられる甘酒には夏の疲れた身体に元気を補い、身体の中に潤いを生む助けとなります。また、腸内環境を整えるにも役立つ飲み物。夏バテ気味な方や、少し体力が落ちて食欲がないと感じる時の栄養補給に役立ててくださいね。

さらに日本酒は「酒は百薬の長」と言われるように、少量をとることで身体のめぐりを助け身体を温めてくれるはたらきがあります。
飲むと気持ちも緩むので、頑張った日や少しストレスを感じる時にホッとするのを助けてくれます。美味しいからと飲み過ぎはお勧めできませんが、夕方から少し普段の緊張をほぐしたい時にはお勧めです。
ただし、眠る前に飲むと睡眠の質が下がることもあります。眠れないからと、お酒を飲むのは控えめにしてくださいね。

愚直に美味しい日本酒を。次世代へのバトン

三宅彦右衛門酒造さんは、SNSなどで情報を発信していません。「お酒の販売はプロの販売店さん。自分たちはただひたすら美味しい日本酒を作りたいんです」

【福井の連載】福井のみなみの季節と養生 #5/8月立秋~処暑「美浜町の日本酒、早瀬浦」
三宅彦右衛門さんのところで作られている日本酒の数々。三宅さんの娘さんの手書きの説明書きが添えられています。

真っすぐな三宅さんの想いは今後の酒造りや、次世代へのバトンの受け渡しへと向かっています。
例えば、日本酒を作る時に出る酒粕のフードロスをどう減らしていくか(面白いアイディア随時募集中です)。
またこの酒蔵を維持していくために一緒にお酒を作る担い手も募っています。麹の声を聞いて自然とともにお酒を育てていくお仕事。どうぞ、気になる方はお問い合わせください。

早瀬浦をお求めの際は、三宅彦右衛門酒造さんにお問い合わせください。お近くの取扱店さまをご紹介しますとのことです。

名称

三宅彦右衛門酒造(有)

住所

〒919-1124 福井県三方郡美浜町早瀬21−7

TEL

 0770-32-0303