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【愛知県豊田市】豊田の街を変えていく芝生の駅前広場「とよしば」

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2021.11.09

豊田市駅東口、人々が行き交うこの場所に駅前交流拠点「toyocba(とよしば)」ができたのは2019年秋のこと。この広場で多様な人々をつないでいるのは、ありがちなカフェではなく、「うどん」「茶屋」「酒処」と日本の大衆文化をベースにしている「◯七商店」さん。
これまで10年以上続いてきた「TOYOTA ROCK FESTIVAL」共催・企画・運営なども手掛けてきたという、とよしば管理人の神崎勝さんに話を聞いてきました。

【愛知県豊田市】豊田の街を変えていく芝生の駅前広場「とよしば」
とよしばの管理人 神崎勝さん

【愛知県豊田市】豊田の街を変えていく芝生の駅前広場「とよしば」

【愛知県豊田市】豊田の街を変えていく芝生の駅前広場「とよしば」
とよしばは、約540平米の芝生広場、うどん屋「〇七商店(まるななしょうてん)」、そしてパブリックスペースをミックスした施設です。

 

あそべるとよたプロジェクト

豊田市の玄関口でもある名鉄豊田市駅。その周辺にある開けた空間は「まちなか広場」と呼ばれ、人々の活動の場・くつろぎの場として開放されてきました。

そして、この広場を使いこなしていこうと2015年度から始まった「あそべるとよたプロジェクト」は、市民・企業・行政が一緒になってアイデアを出し合い、やってみたいことをカタチにしながら、みんなが使いやすい広場にするための継続的な仕組みをつくっていこうというもの。神崎さんは、初年度からこのプロジェクトに関わってきました。

「2015年の初年度はぺデストリアンデッキという、松坂屋とT-faceの間をつなぐデッキで1カ月間限定で、木製パレット300枚を持ち込んで小屋を建てました。たくさんの人たちが足を止めて、くつろいでいかれる様子に嬉しくなりました。これが評価されて翌年度は6カ月間に延長され、今度はコンテナを持ち込んでスタンディングバーをオープン。次の3期目は10カ月になり、様々な経験を経て、今回は「とよしば」に参加することになりました。」

この「とよしば」は、2023年3月31日までの3年7カ月という期限付きの実証実験として位置づけられています。

【愛知県豊田市】豊田の街を変えていく芝生の駅前広場「とよしば」
豊田市駅周辺にある7つのまちなか広場。窓口へ申請し、使用することができます。2回目以降はwebで予約可能。
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2015年木製パレットでくつろぐ人々。
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2016年ペデストリアンデッキにコンテナを持ち込んでバーを運営していた際の様子。
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2016年 ペデストリアンデッキ上でのイベント誘致「橋の上大盆踊り大会」の様子。

 

万人を受け入れる、とよしばのうどん屋

「とよしば」とは、豊田市の駅前にある芝生広場の略。また、Toyota Creative Base Areaの頭文字をとった愛称のこと。

広場には細長い建物が併設され、飲食店やギャラリースペース、ちょっとした機材を備えた工作室、豊田市中央図書館によるユニークな選書コーナーなどが軒を連ねます。そして、この場所で神崎さんが開いたお店は、カフェではなく、夜は酒処「◯七商店(まるななしょうてん)」、昼は肉系讃岐うどん「肉麺奴等(にくめんやつら)」という、うどん屋でした。

「大手フランチャイズ業態や、今時のカフェ業態が入れば人は集まるだろうけど、それとは違うアプローチをしたいと思いました。このプロジェクトは集客だけを狙うものではなく、市民の方の能動性・交流を引き出すことが重要。年齢・世代・性別・人種、ハンデキャップも関係ない、より多くの方々のさらなる交流を日本の文化をベースで表現したかったです。

そこで考えたのがうどん屋。赤ちゃんから爺ちゃん婆ちゃんまで大好きなうどんは、日本の食文化を代表するもので普遍性が高い食べ物。それを自分たちなりにカスタムして、大袈裟かもしれませんが100年後も残るお店にしたいと思ってやらせてもらいました。うどん屋なのにドリンクが充実していたり、お酒を出していたり。

ご飯屋にも、カフェにも、ちょっとした居酒屋にもなれるお店。どの時間にも気軽に利用できて、くつろげる場でありたいと思っています。狙いどおり、お酒を飲む大人もいれば、その隣のテーブルでは勉強をしている高校生もいる。そんな中でたくさんの交流が生まれていって欲しいですね。」

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ランチタイムは肉系讃岐うどん「肉麺奴等(にくめんやつら)」。 夜営業は、酒処「◯七商店(まるななしょうてん)」。時間帯で屋号が変わる面白い仕組み。
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お肉たっぷりの肉麺合盛り。
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お店ではビールを飲むことも。天気の良い日にはビアガーデン気分を味わうことができます。
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最近はじめた「茶虎 TEA STAND」。左は「紫芋とヨーグルト」、右はこいけや養蜂園の豊田のはちみつを使った、コラボ商品「はちみつレモンスカッシュ」。
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豊田市中央図書館とのコラボによる選書コーナー。店内で本を読むこともできます。
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オリジナルキーホルダーを作ることができる工作室も併設。

 

次のプレーヤーに残し、つないでいきたい

「豊田に住む人たちが「豊田の街って、もっと面白い日常があってもいいよね」と言っていて、そんな話をしている時に立ち上がったのが2015年の「あそべるとよたプロジェクト」でした。

これに参加して3期目くらいから、自分たちがやっていることがもしかしたら街の役に立っているのかな?何かを生み出せているかも?と運営していて少し思えるようになりましたね。

人が集まるほど責任もついてくるけれど、まずは自分が楽しんでいないと、上手くいかない時に誰かのせいにしてしまう。行政とのプロジェクトは商売ではなくて、街の中で新しいアクションを起こせるかもしれないという面白さが一番。既成概念を壊していきながら新しいカタチを表現する。それを優先すると多くの批判や反発を頂戴したり、いろんな事で損する事のが多いんですよね(笑)。

でも商売でないと言ってもウチも企業として利益を出すのももちろん大事。そこはいろんな努力が必要ですね。でも、豊田の街が変わってきたなっていう声を少しづつでも聞くのが何より嬉しいです。

いい大人が面白がっていることがいいんじゃないかと。広場を単なる場所貸しの施設としてではなく、僕らは広場を活用して自ら賑わいを創出したり、表現したい人たちの場づくりをサポートしてきています。

このような場所でいろんな方々が交流することで、また新しいことが生まれていく、人間交差点のような場所。飲食店事業も広場管理も人と人を繋げるハブの役目。それを念頭に活動しています。そしてそんな交流の場所が「とよしば」なんです。

その「とよしば」を僕らの会社のチームと、西村さん率いる「こいけやクリエイト」さんのチーム、もちろん行政とも連携しながら日々試行錯誤し、この考え方や想い、そしてノウハウを次につなげていくことが、僕らの本当の役割だと思っています。」

豊田のニュープレーヤーを育てる人材育成プログラム「とよしばスクール」が昨年度から始動し、豊田の街を「使う」「盛り上げる」イベントを企画・実践するプレイヤーも育っているようです。

そうした新しいプレーヤーたち(何かをしたいという人)に何を残し、次につなげてあげられるのかを常に考えているという神崎さん。

単発のイベントはお金と時間をかければ、意外とどうにかなるもの。これを残していこうとすると途端に大変な大仕事になります。2023年3月31日の期限終了までに仕組みをしっかりと作り上げて、次のプレーヤーに渡せるものを残したいと言います。郊外のモールに流れる人を呼び戻し、街中に賑わいを取り戻す。そんな気概を感じました。

【愛知県豊田市】豊田の街を変えていく芝生の駅前広場「とよしば」
とよしばスクールの様子。自分たちが行うマルシェについて具体的に考えてみる講座。
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とよしばマルシェ実行委員会のメンバーのマルシェの様子。オリジナルの木製テントは、とよしばの駅前工作室でDIYしたものを使用。

名称

豊田市駅東口まちなか広場

とよしば

URL

【とよしば】
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【○七商店】
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【茶虎 TEA STAND】
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住所

愛知県豊田市喜多町2丁目101

TEL

0565-50-8635

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