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【福島・白河市】「意外と地元おもしろいかも」って高校生が気づける場所『コミュニティ・カフェ EMANON』

拠点情報

2021.12.09

城下町として発展してきた歴史のある福島県白河市。その場所に「高校生びいき」という斬新なコンセプトの古民家カフェがあると聞き、取材にやってきた。

【福島・白河市】「意外と地元おもしろいかも」って高校生が気づける場所『コミュニティ・カフェ EMANON』

商店街にあった築90年の古民家を改装し、2016年にオープンした「コミュニティカフェ・EMANON」(以下 EMANON)。お店があるのは白河駅から徒歩10分、どこか懐かしい空気がただよう本町通り。EMANONの風情ある外観からは想像できないが、多くの高校生が訪れているようだ。「高校生びいき」というコンセプトと何か関係しているんだろうか。今回はそんなEMANONを運営する青砥和希さんに、成り立ちからお店に込めた想いまで伺った。

「高校生びいき」って?

EMANONは旧奥州街道沿いにある。宿場町として栄えた時代から時は流れ、現在は古きよき建物が多くならぶ商店街になっている。そんな町にたたずむEMANONは、もともと古民家ということもあってか、周りの景観にとてもなじんでいる。

取材で訪れるまで白河に来たことがなかった私は、すぐにこの場所が好きになった。

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EMANONがある旧奥州街道

取材当日、わたしたち取材班は予定よりも早くEMANONに到着した。外で待っていてもよかったが、せっかくなので店内で待たせてもらうことに。

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青砥さんや高校生がDIYした福島県の杉とヒノキを使ったテーブルやイス
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店内にあるさまざまな文房具は自由に使用可能。パソコンやカメラの貸出も行っている
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見たことのないボードゲームがたくさん

店内には古民家ならではのアットホームな空間が広がっていた。まるでおじいちゃんとおばあちゃん家に来たような安心感だ。

注文したケーキとドリンクをいただきながら周りを見渡してみると、高校生とスタッフが友達のように仲よさげに話している。一般的なカフェではあまり見ることのない光景だ。

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「最近学校どう?」「楽しいですよ〜!」

「そもそも『高校生びいき』とはどういった意味なんだろう?」。そんなことを考えながら店内の様子を見てまわっていたら、こんな黒板を見つけた。

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飲み物や食べ物の持ち込みもOK!

老若男女だれでも来れるカフェだけど、高校生は注文しなくても店内を利用でき、ドリンクは全て50%オフ。ときには高校生の「こんなことやってみたい!」という相談を受け、青砥さんやインターンをしている大学生スタッフが一緒にイベントを企画し開催することも。スタッフとのおしゃべりを楽しみにくる高校生も多いんだとか。どおりで仲がいいわけだ。

つまり、「高校生びいき」とは高校生にとことん寄り添った運営スタイルらしい。

福島を離れる前に、地元の魅力に気づいてほしい

【福島・白河市】「意外と地元おもしろいかも」って高校生が気づける場所『コミュニティ・カフェ EMANON』
EMANONを運営する青砥和希さん

「高校生びいき」の背景を知るために、EMANONを運営している青砥さんに話を伺った。

福島県矢祭町出身の青砥さん。白河の高校を卒業後、東京の大学に進学し地理学を学んでいた。2011年、大学1年生だった青砥さんは東京で東日本大震災を経験する。

世の中で福島のことが大きく取りざたされるなか、あることを感じたという。

「福島出身の人が福島のことをメディアやSNSで熱く語っているのに、自分は語れるほど地元のことを知りませんでした。そんな自分に無力感を感じたんです。そもそも福島で過ごした18年間の間に、家族や先生以外の地域の人と関わったり、福島のモノに触れたりする機会がありませんでした。自分にとって福島は、実家や学校がある場所でしかなかったんです」

「次の世代には福島を離れる前に、地元の魅力、あるいは課題などをもっと知ったり考えたりしてほしい」。そんな想いを胸に、当時大学生の青砥さんは白河出身の大学生が運営する学生団体に所属することを決意。白河の高校生たちに福島のことをもっと知ってもらおうというイベントなどを開催していた。

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大堀相馬焼のEMANON特注カップ

約3年間、東京と白河を行ったり来たりしながら見えてきたのは「場所の必要性」だったという。

「イベントでは単発的な活動になってしまう。息の長い活動にしていくには、高校生がつどい、日常的に地元の人やモノに触れられる場所が必要だと感じました」

感じたことを感じたままにせず、すぐに行動にうつす青砥さん。なんと当時通っていた東京の大学院を休学し白河に移住して、高校生のための場所を作るプロジェクトを立ちあげた。

高校生と共にEMANONを作っていきたいと考えていた青砥さんは、まず白河にある2つの高校の正門の前で、プロジェクトメンバー募集のチラシ配りをはじめる。すると、青砥さんの思いに共感した10人の高校生が集まったという。

さらに、建築や家具のデザインに携わる友人に「手伝ってくれない?」と声をかけると、快く受け入れてくれた。

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福島のモノを見て、触れて、知ってほしいとの思いから福島づくしのEMANON

できるかぎり福島のモノを使い、改装やお店の運営をしていきたいという思いがあった青砥さん。地域の製材所や鉄工所だけでなく、県内各地でモノ作りをしている方のもとへ足を運んだ。

「『お話聞かせてもらえませんか?』と言うと、みなさんとても親切に話を聞いてくださいました。高校生に福島のことを知ってもらいたいという思いで始めた活動でしたが、福島県の人やモノに出会いEMANONを作っていく過程が、ぼくにとっては福島の魅力を知るきっかけになりました」

こうして青砥さんが多くの人を巻き込んでいくことができたのは偶然ではない。「次の世代のために」という彼のまっすぐな思いや行動力があったからだ。

1年間の準備期間を経て2016年3月、ついに青砥さんの想いのつまったEMANONは高校生びいきのカフェとしてオープンした。

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かつて宿だった隣の建物で使われていた靴箱。不動産会社の人からゆずり受けたモノなんだとか。靴箱の上にあるのは白河だるま

ここにしかない景色の中で、ここでしかできないことを

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丁寧に、そして優しい口調で話す青砥さん

高校卒業後、進学や就職で町を離れる学生が多いという白河。地元を離れる高校生にとっては、もしかすると3年間の高校生活が地元に住む最後の時間になる。

そんな白河にEMANONをオープンさせたのは青砥さんのある願いがあったからだ。

「高校生たちが町を離れても、自分たちが育った場所の景色を忘れてほしくないという想いが当初からありました。白河には歴史的な背景をもった建物や場所、言いかえると『入れ替え不可能な景観』が今も残っています。そんなここにしかない景色の一部にEMANONもなってほしい。そうすれば高校生たちの記憶に残る場所になるんじゃないかと思い、この場所を選びました。」

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時がゆっくり流れる本町商店街の通り
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酒造所の方と高校生が一緒にお酒を作るというユニークな交流も

取材中、ある男性が「明日お店を手伝ってほしいんだけどお願いできる〜?」と店内にいた高校生に向かって声をかけた。声の主は地元で有名な手作りアイスキャンディのお店の店主。高校生から大人まで幅広い年代の人が集い、つながりが生まれているのは商店街に建つEMANONならではの光景だ。

高校時代、青砥さんにとって福島は家と学校がある場所でしかなかった。しかし、青砥さんの思いのつまったEMANONが白河にある今、高校生たちにとって福島は、魅力あふれる場所に見えているんじゃないだろうか。

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EMANONはNo name(名前がない)の逆さつづり。お店を「自由に考えて、自由に使い倒して欲しい」という思いが込められている
名称

コミュニティ・カフェ EMANON

WEBサイト

https://emanon.fukushima.jp/

SNS

Instgram:https://www.instagram.com/cafe_emanon/

Twitter:https://twitter.com/EMANON_fks?s=20

住所

〒961-0905 福島県白河市本町9番地

TEL

0248-57-4067

E-mail

staff@junbishitsu.jp

営業時間

平日 15:00〜20:00
土日 12:00〜20:00

定休日

水・木曜日

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