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鎌倉市坂ノ下の「paso by 27 COFFEE ROASTERS」でコーヒーの新しい体験を

ショップ情報

2023.12.03

鎌倉市坂ノ下の古い平屋の民家を活用したカフェ「paso by 27 COFFEE ROASTERS」。辻堂に本店があるコーヒー専門店・カフェ「27 COFFEE ROASTERS」が手掛ける鎌倉で2店舗目の店です。坂ノ下に出店して現在までどのような歩みがあったのか。山田さんにお話を伺いました。

鎌倉市坂ノ下の「paso by 27 COFFEE ROASTERS」でコーヒーの新しい体験を
鎌倉市坂ノ下の古い民家を再生した店舗です

鎌倉市内には2店舗。このエリアに出店したきっかけは?
山田さん:オーナーの葛西がまず鎌倉に住み、そして辻堂の本店以外にカフェと焙煎所として出店できる場所を探していたのです。最初は広く探していて、鎌倉から葉山まで。いろいろと物件を見ていく中で、この場所とはいいタイミングで出会うことができ、出店となりました。
物件を手掛ける鎌倉R不動産が古い民家の改装工事を行い、その後に我々が必要な客席やバックヤード、キッチンを作ったという感じです。鎌倉R不動産が行った工事は古い民家に付け加えられた余計な部分を取り除き、オリジナルの状態を綺麗に蘇らせる工事。経年変化した趣ある梁や柱、建具等は洗いをかけたりと丁寧に手直しをしていき、引き算をすべき部分は潔く引き算する。そして「鎌倉らしさ」とはなにかを考えながら工事を行ってくれました(工事の詳細はこちらのコラムからご覧いただけます)。

鎌倉市坂ノ下の「paso by 27 COFFEE ROASTERS」でコーヒーの新しい体験を
店内のカウンター席。実は天候条件のいい日にはチラリと海が見えることもあります

なので、我々も店を開くのに必要最低限なにが必要なのか、逆になにがいらないのかを丁寧に見極めました。オープン前には「振舞いコーヒー」と称して一般のお客様を呼び、縁側に腰かけるスタイルはありなのか?靴を脱いで上がっていただけるのか?ということを検証してみました。そして、現在の靴のまま入ることができ、一部は畳の小上がり風という客席に落ち着いたのです。

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店内の一部は畳の小上がりになっていて、落ち着いた雰囲気です

鎌倉の中でも坂ノ下というエリアは少し特殊ですね
山田さん:そう、鎌倉のメインの観光地といえば小町通りですよね。小町通りのような観光客の往来はないのがこの坂ノ下。坂ノ下の中でも、この店があるエリアは古民家カフェが点在している場所です。そして、地図をぱっと見ただけではすぐに辿り着けないようなくねくねとした細い小路が多いエリアでもあります。そんな特殊な場所なのもあって店同士がとても仲がよくて。お客様に自分の店以外も店を紹介して差し上げたり、店同士で行き来していたりとコミュニケーションが盛んなのです。都内ではお客様を取り合っているのかもしれないから、こんな状況は考えられないのかもしれませんが、ここの人たちはみんな助け合って、支え合っている。自分が良ければいいのではなくて、地域をみんなで盛り上げようという文化が根強いのだと思います。

鎌倉市坂ノ下の「paso by 27 COFFEE ROASTERS」でコーヒーの新しい体験を
坂ノ下はくねくねと細い小路が入り組んでいます
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店に到着するまでの過程も楽しみたい。素敵な路地、海が見えるところも

店同士の繋がり方が鎌倉らしいですね。お客様はどうですか?
山田さん:お客様も、ふらっと立ち寄るというよりは事前に調べて来て下さる方がほとんど。別の店で紹介してもらったという方や、Googleマップを見て来る方もいます。ただ細い小路が多いもので、最初はお店まで辿り着けなくて、お問合わせをいただいたりしますね。ですが、道に迷いながらも鎌倉の海沿いの住宅街らしいこの坂ノ下エリアの風景を楽しんでいらしてくれれば嬉しいなと思います。小路の先に海が見えたり、地域猫がいたり、素敵な住宅があったり。そんな会話を店に着いてコーヒーを楽しんでいただきながらしてもらえれば。
店に来るまでの過程、コーヒーを選ぶ楽しみ、そして店内の雰囲気を味わいながらコーヒーをお召し上がりいただく。そんな一連の出来事が相まって「素敵なコーヒー体験ができた」と感じてもらえると嬉しいです。

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店の前。店内利用はもちろんテイクアウトもできます
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この日のコーヒーのラインナップ。知識豊富なバリスタが丁寧に説明をしてくれます

pasoではホンジュラスから仕入れたコーヒー豆を使い自家焙煎したコーヒーを楽しむことができます。カウンターで注文をする際にはぜひバリスタに相談してみてください。我々はコーヒーのプロとして、お客様の好みに合うコーヒー。また、新しいコーヒーとの出会いを後押しできるといいなと思いながら、その時に最適なコーヒーをご提案しています。コーヒーは注文を受けてから丁寧にハンドドリップで抽出しています。飲む器にもこだわり、作家さんのものを使っています。
コーヒーは豆の品質や抽出の方法などによっても味が左右される、とても奥の深いものです。そして、コーヒーの味わいは飲む環境にも影響を受けるだろうと我々は考えています。この鎌倉らしい建物で味わう一杯は特別な体験になるはず、という思いを大切に営業しています。

鎌倉市坂ノ下の「paso by 27 COFFEE ROASTERS」でコーヒーの新しい体験を
丁寧にハンドドリップで抽出してくれます(写真中央が山田さん)

今回「reallocal」が主催する「都市と循環」の京都で行われるプレイベントにご参加いただけることになりました。「循環」と聞いてなにかイメージすることはありますか?
山田さん:我々のいるエリアでの循環がまずひとつ。古民家をカフェとして利用する人、自宅をほぼDIYで手直ししながら暮らす人も多い、少し変わったエリアだと思うのですが、そのエリアの歩みが現在の坂ノ下のまちをつくっています。古い建物を活かし再生させていく循環が元から根付いているエリアだと感じます。
また、我々の試みとしてホンジュラスのコーヒー農園との「信頼での循環」があります。コーヒー農園はしばしばフェアな取引が行われず、貧困などが世界的にも問題になることがあると思うのですが、我々はホンジュラスの農園に毎年足を運び、良質なコーヒー豆を適正な価格で、かつこの規模の店としては珍しくコンテナ単位で購入しています(コーヒー豆の買付けは日本の場合大手商社が行ったり、海外のチェーン店がコンテナで買付けることがほとんどだそうです)。そうすると「1回キリではなく来年もあの店がちゃんと買ってくれるから、彼らの為にいい豆を用意しておこう」と農園の方々は考えてくださいます。それを積み重ねお互いを信頼し、いい循環を生み出すことに成功しました。これからも農園との良好な関係を続け、本当に素晴らしいコーヒー豆をお客様の元へ届ける活動を続けたいと考えています。

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この日は「ホンジュラス ラ・ぺルラブルボン ナチュラル」中深煎をいただきました

そして、フードロスの問題は飲食店ですと避けられないと思うのですが、できる限りのアイデアで無駄をなくしていく試みも行っています。我々は大きな機械での自家焙煎を行っていて、新しい焙煎機を導入する場合には何度も試し焼きをします。その際に出てしまうのが、豆の品質はとてもいいのですが、残念ながら商品にはならなかった豆です。それを「チャレンジロースト」として、通信販売する活動も行っています(現在は「チャレンジロースト」の商品はありません)。

最後に「コーヒーに新しい気づきを与えてくれる場の力」をもった店です、と山田さんはこの店のことを話してくれました。鎌倉の坂ノ下だからこそ発信できるコーヒーの奥深さ、そして楽しさをぜひ体感してみてください。

名称

paso by 27 COFFEE ROASTERS

業種

カフェ

URL

https://www.instagram.com/paso_by_27coffeeroasters/

https://27coffee.jp/

住所

鎌倉市坂ノ下22-6

営業時間

9:00〜17:00(l.o.16:30)

定休日

火曜日

アクセス

江ノ島電鉄線「長谷」駅・徒歩5分

備考

営業時間・定休日等については変更される場合があります。詳しくは、お店のInstagramをご参照ください