石、愛でていますか?/「石すもう はちふく場所」参加レポート
何か夢中になれるものはありますか。推し活ブームが続く昨今、誰もが何かしら好きなものがある時代。〇〇愛好家というと少し堅苦しい気もしてきますが、好きな気持ちがあれば名乗ってもいいと思うのです。かくゆう私も「パン屋愛好家」であり、「アイドル愛好家」であり「散歩愛好家」でもあります。最近はうつわに興味もありますから「うつわ愛好家」も名乗り始めようかと。
今回は「石愛好家」が集う「石すもう」に参加してきました。


石すもうとは?
各地の石愛好家たちが集い、自慢の石を見せ合う競技。
審判はその場に立ち会う人びと。
一試合に5個ほどの石を用意し、3個先取すれば勝ちとなる。
(石すもう発案・主催 江崎將史による石すもう紹介文)
9月27日土曜日、時刻は午前11寺を少し過ぎた頃、石蔵人によるエキシビジョンから石すもうはスタートしました。
今回は石すもう初参加の方が多いこともあって、真剣にルール説明に耳を傾け、未知なる競技にプレイヤー含め観客もワクワクとした様子を見せます。その気持ちをさらに盛り上げるBGMは、”石”に関するもの。例えば石/北島三郎、Stone Free/ジミ・ヘンドリックスなど。ユニークなプレイリストで場が温まります。「ホットな石が多いおすすめスポットは?」「いつから石を集め始めた?」などなど皆さんの石トークが止まりません。



場も温まったところで、ついに始まる第一試合。
神奈川県(!!)から参加の男性Aさんは、ネットの記事を見て石すもうを知り、昔石を集めていたのを思い出したそう。今日の参加に向けて、新たに石を拾って来られました。対するお相手は、去年からチームで石を拾い始めた、石すもう初参加の3人組。「孤独に集めている人が多い中、石仲間がいることは幸せだ。」この石すもうは、石仲間と繋がるきっかけの場にもなっているようです。
石を土俵に置いた瞬間、観客から「おー」の声が漏れます。思わず、私も。それを聞いて各プレイヤーは嬉しそうな表情。自分の好きなものが認められるのって、かなり嬉しいですよね。

石が一番魅力的な姿になるために
そのままでも石は美しいですが、ひと手間を加えると更に魅力が増すことがあります。石の持ち主は、石一つ一つの魅力の引き出し方を知っています。今試合中には”おしめり”と”お光り(仮)”ふたつの技が登場しました。
”おしめり”は石を濡らすこと。濡れた石は色がグッと深みを増し、つやりとします。石特有のひんやり感が伝わってきます。全て濡らすこともできますが、半分だけ濡らし乾いた状態との比較を楽しむ「ハーフ」も行司の神技で実現します。
”お光り(仮)”はライト上に石を置いて光を通すこと。見るからに光りそうな石もあれば、光を当てたら意外と光るポテンシャルを持った石もあるそう。光輝く石の姿は、不思議で美しい。いったいどうして光るのか、、、。



石拾いあるある話に花が咲く
石を拾いに行くと、石愛好家の存在を仄かに感じられる痕跡が残っていることがあります。探す過程で掘ったんだろうなというような窪み、一度探索した道で迷わないように目印として積まれた石石。石をどこで拾ったのか聞けば、その人がどんなところに行ったことがあるのか自然とわかる。人生は石と共にあり、まさにそんなエピソードが皆さんから語られました。
また、石の好みは人それぞれ。その人が纏う雰囲気に呼応するかのように、石にも個性が出ます。見つけた場所も色形もバラバラな自慢の石たちが一堂に会す場所、それが石すもうなのです。



白熱の決勝戦
もっとみんなで石を鑑賞していたい名残惜しい気持ちがありつつも、ついに始まる決勝戦。トーナメントで勝ち進んだプレイヤーのお二人は、どちらもなんと関東からお越しの方でした。関西組完敗です。


決勝進出者のお二人は石に対する姿勢が違います。お互いの石を褒め合い、相手の石まで愛でてしまう。まさに平和そのもの。ですがこれはあくまで勝負。お互いの手を読み、石を選ぶ。自慢の石をぶつけ合う白熱した試合となりました。五個目の石が出揃う頃には、観客は皆総立ち。名石の数々に座ってなんていられません!
勝負が盛り上がってきたところでBGMは、Like a Rolling Stoneに。それぞれに魅力がある石、どっちかなんて優劣がつけずらく悩ましい声がところどころで上がります。そして最終的な布石はこちら。先攻・東京からお越しのBさんが優勝です。質感の珍しいものから模様がキュートなもの、変わった色のものまで出揃いました。このお二人は石で語るタイプ。石のアピールポイントを行司に聞かれても「特にありません。」と答える姿が非常にカッコよかったです。


「石すもう はちふく場所」最後は拍手と歓声で締めくくられました。
『ナイスストーン!!』