【イベント報告】廃材×地域 自分の人生を、楽しくつくる 福井で仕事をつくる人たちvol.4 ゲスト:村上なつかさん
real local福井が新たに始めた企画「福井で仕事をつくる人たち」第4回目を開催しました。
企画趣旨はこうです↓
U・Iターンしてきた30歳前後が、福井の各地域で仕事をつくろうとしている。
福井で仕事をつくること。それは、ここで生きていくという意志の表れでもある。
誰かに頼まれたのか、自主的なのか。こりゃ一体何が起こっているのか?
「各地でぽこぽこと湧き始めた人たちのことを、もっと知りたい。個々の活動を、横につなぎたい」
そんな素朴な思いで始まった30歳前後の当事者による横つなぎリレートーク企画。
10代で東日本大震災、20代でパンデミックを経験した世代が、いま、地方でどう生きているのか。
泥臭さも、迷いも、前進する時の糧も赤裸々に、自分たちの言葉で語る仕事づくり実践のリアル。
※ゲストが次のゲストを指名し、聞き手にまわる数珠繋ぎ方式で開催しています。
※第3回目の記事はこちらからご覧いただけます。
第4回は2026年5月29日に開催。聞き手のカサマツが、イベント報告をします。
【ゲスト】
村上なつか|株式会社むらかみ道具店の代表・廃材商人。石川県白山市出身。
新卒で広告代理店入社、WEBマーケティングの法人営業を担当。2018年に独立後、2020年鯖江へ移住し、2021年~越前鯖江のオープンファクトリーイベント「RENEW」の事務局長としてイベントのプロジェクトマネジメントを担当。2022年、産業観光で持続可能な地域をつくる「一般社団法人SOE」立ち上げに携わる。2024年に独立し、循環型社会を促進のためものづくりの廃材を見える化・流通させる「廃材商人」として、鯖江で「むらかみ道具店」を立ち上げ活動中。福井県の移住サポーター。シェアハウス運営中。
【聞き手1】
カサマツ|劇作家・演出家・俳優| 1999年生まれ、福井県出身。大学在学中より東京で芸人として活動し、卒業後に福井へ拠点を移す。2023年に演劇・コントユニット「タスサン」を結成。以降、倉庫や映画館、街中など既存の劇場空間に捉われない場所で、その場の空気や記憶を取り込んだ演劇・コント作品を発表している。
【聞き手2】
髙橋 駿介さん|PLAY CITY 理事/合同会社LIGHT HOUSE 代表社員
1996年兵庫県生まれ。2016年大学進学を期に福井へ引っ越し。坂井市三国町にて茶ノ下旅館の経営、湊ノ芸術祭共同主催、また福井市中心市街地の古ビル運用委託や各地で設計デザイン業務を行う。
僕は4年前に東京からUターンで福井の会社に就職したのですが、村上なつかさんとは割と福井に帰ってきて早いうちに出会いました。鯖江市河和田町には伝統工芸に惹かれて移住してきた若者たちを中心に築かれた複数のシェアハウスが存在しています。たしかその頃なつかさんはそのうちの一つに住んでいました。僕はただの訪問者でしたが、なつかさんも含めた住人たちは自分たちで企画した音楽フェス(?)の打ち合わせのような事をしていました。福井の文化度の低さに半ば諦めを抱いて上京していった身としてその自由で豊かなディスカッションは僕にとってかなりセンセーショナルな瞬間でした。
それから3年ほど経ってご縁があり、なつかさんが車を乗り換えるタイミングで元々乗っていた車を僕が譲り受ける事になり、それをきっかけに面と向かって話す機会が増えました。それまでも何度かお会いしていましたが、何となくなつかさんの世界に生きている「カサマツ」という存在に色がついたような感覚を(勝手ですが)得てとても嬉しい気持ちになったのを覚えています。
しかしこれまでよりもフランクに話せるようになった今、生じる疑問。
「この人一体どういう人?」
会話を交わすたびに、「自分に近いっぽいのになんかめちゃくちゃ遠い気もする…」いつしか蜃気楼を見るような眼でなつかさんの事を観察していました。そこで頂いたこの機会。僕の厚かましさを全開に、なつかさんの正体を合法的に暴いてやろうと意気込みトークに臨みました。
バイタリティ溢れる学生時代と挫折の経験
トークの導入はなつかさんの廃材商人としての活動を分かりやすく淡々と話してくれました。


廃材をどのように活かし、何を目指しているのかを分かりやすく説明していただきました。恐らく様々な場所で廃材商人としての仕事について話す機会があり、スライドの無駄のなさと澱みのない喋りはまさに稽古されにされ尽くした古典落語のよう。自分が話し手だった時と比べて、すごく分かりやすい!(笑)
しかし、僕が聞きたいのはこんな整った話では無いぞ!もっともっと内面を抉るような剥き出しの、、そのタイミングで彼女が出したスライドがこちら。

そ、そんなあー。全てはお見通しってことですか(笑)
本題はここからだ!と臨戦大勢で構えていた僕はこのスライドによってどれだけ核心に迫るような一手を打っても彼女の意図通りに動き回るという構図になることが確定しました。
予防線張るのうま。。
また色々と交わされて蜃気楼状態で終わらされてしまうのかと正直不安になってしまいました。
しかしその後のスライドで彼女の本気を感じました。語られたのはなつかさんが今まで人前で話した事がないであろう知られざる過去の話。育って来た環境と自分が選ばれた側の人間であるという全能感。何者でもない自分に対するコンプレックス。学生時代のバイタリティ溢れる活動の数々。その中で感じた事や得た知見。そして社会に適応できなかった過去。なつかさんこれ作るの相当勇気必要だったんじゃないかな。スライドの中には高校時代のプリクラや学生時代の怪しい集合写真などいじりしろだらけ。なつかさん側からこんなに隙を見せてもらえるなんて、正直とても驚きました。

心に「愛」と「アントレプレナーシップ」を
第一部が終了し、トークは第二部へ。第一部の内容を踏まえて議論が始まります。ようやく聞き手として僕の出番がやって来ました。実はこの日、福井市の中学生達が7人ほど学校の総合の取り組みの一貫としてこのトークを聞いてくれていました。第二部は僕ではなく、意外にもかなり前のめりな中学生達とそんな彼らを取りまとめる先生の質問で幕を開けます。

廃材商人としての活動について中学生達の質問に真摯に答えるなつかさん。最後に先生が思わぬ角度の質問をします。
「なつかさんにとって愛とはなんですか?」
これは一部の最後で、なつかさんは今の自分が大切にしているものとして「愛」と「アントレプレナーシップ」の二つを挙げました。「アントレプレナーシップ」とはリスクを恐れずに挑戦し、革新的な価値を社会に創り出そうとする行動力やマインドセットのことだそうです。一部のスライドでのなつかさんの人生の舵の切り方を見れば、アントレプレナーシップを大切にしている事はよく分かる。でもなつかさんの大切にしている「愛」ってなに?先生はもう少し具体的に確かめたかったようです。これは僕が聞きたかったことでもありました。先生ナイス!
なつかさんはそれはかつての恋愛経験に起因していると赤裸々に告白。時には俯きながら、言葉を詰まらせながら、それでも一生懸命言葉を尽くすなつかさんの姿に僕は胸を打たれました。演劇をやっていると、ごくたまに、上手い下手なんてどうでもよくなる瞬間があります。感動はそういった瞬間から生まれます。ぼくはこのトークイベント内でなつかさんの中にある言葉にならない部分が見れた事が何よりも嬉しかったです。出来れば僕の力で引き出したかったですが(笑)。先生、ありがとうございます。
この後もお客さんも含めて、白熱したトークが続きました。幼少期からの褒められたいという欲求の行く末、資本主義との向き合い方、そして「愛」について。他のどこでも聞か事ができない人間 村上なつかを体感できる90分になっています。なつかさんのこと僕と同じく近いようで遠い、蜃気楼に見えているアナタ!ぜひアーカイブのご購入をよろしくお願いします!僕はなつかさんのこともっと好きになりました!

トークアーカイブ(全編)のご購入について
全編は下記URLからご購入いただけます。ぜひご覧ください!
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今回ゲストと聞き手の感想
村上なつか(ゲスト)
すご〜〜〜く良い時間でした!
準備の段階から、普段やっているようなまとめあげた話ではなく、ありのままの人間性を伝えて欲しいと言われていたので、「全部をさらけ出すぞ!」と気合が入りすぎてたかもしれません。そんなありのままの自分の話を聞いていただくなんて、とても贅沢な時間だと思っての、参加でした。
きてくださったのは、はじめましての中学生から鯖江の身近な友人たち、お世話になった方まで様々。「聞き応えのある話にしなくては。楽しく、おもしろく、新鮮なものに。」という気持ちで挑みました。前提知識の違う幅広い方に聞いてもらうのは、難しいかもとも思いましたが、結果的にマイワールドが伝播していったみたいで楽しかったです。抽象的な「愛」にまつわることから、事業のこと、具体的な人との出会い方など、多方面での質問が飛び交って、私も考えさせられることがたくさんありました。
普段は廃材メインで話すことが多かったで自分にフォーカスを当てていただいて、うれしかったです。終始楽しい2時間でした。私をご指名くださったカサマツさん、参加してくださったみなさん、本当にありがとうございました!
カサマツ(聞き手1)
実はイベントが終わった後、今日のトークは果たしてお客さんにとってどのような見え方をしただろうかと考え込んでしまいました。もしかしたらかなり置いてけぼりにしてしまったかなあ、と。数日空けて、アーカイブとして残された映像を知らない人が知らない人と喋っているトークイベントとして観ました。感想は「おもろすぎる」の一言に尽きます。奇しくもなつかさんのこと知らない人にもなつかさんの人間的な魅力がとてもよく伝わる内容になっていた。あとはカサマツという小生意気なガキがとても奇妙で面白かった。そして何よりもう一人の聞き手である駿介君の安定感。三人が三者三様、別の方向に向けて喋っているようなチグハグ感を感じる瞬間が僕の中では確かにあったのですが、それは数日後の自分に激しくも美しいジャズとして届きました。こんなヒリヒリ感もうしばらく味わえないんじゃないかな。三人で飲みに行きたくなりました。
髙橋駿介(聞き手2)
今までで一番難しかった。というのは、聞き手であるカサマツさんが、なつかさんの何かをめくってやろう、って気迫を感じたから。これまで、多くの場合、良くも悪くもトークは聞き手と話者でワンチームな感じで、こんなことはなかった。そして私に課されたミッションが、脱線しすぎたらいい感じに戻しつつカサマツさんに委ねながら良いトークにすること。無理なことはやろうとしない方がいいなと学びました。結果とてもとても疲れました。
私が入らなくてもガンガン打ち合える2人、なのに何か横から入って調整した方がいいような気もしてしまう。口を挟んでしまうのは私の本意ではないが、どうまとまっていくのか気が気じゃない。悔しい。トークが面白すぎたから、余計に自分のうまくやれてなさが際立つなー。反省しよう。
といった裏の話もありますが、トーク内容について。
廃材商人、実に今の鯖江にフィットした、日本、世界にフィットした綺麗な物語とプロジェクト、かっこよくて脱帽なのですがどこか綺麗すぎないですか?心の底からやりたいことですか?というカサマツさんが問いたかったこと、そしてなつかさんの心の底を探すトーク。この話がこの場でできたことは本当に意味深いことだったと思います。地方での取り組みは解像度が低いままでもなんとなく美談になりがちで、それに取り組む人の本当の部分は見えてこないことが多い、「奇特な人もいるもんだなー」という感じで終わってしまう。どう認識していいかもわからない。なので、めっちゃわかりやすくて素晴らしいプロジェクトをしているなつかさんだからこそ、めくりたくなるカサマツさんととっても相性が良かった。こんな生感のあるトークは初めてでした。
聞き手が数珠繋ぎで、次の話者を選ぶ形式。だからこそその現場ごとに癖が出る。その良さが今までで一番出た、痺れた回でした。いやー楽しかった。でも疲れた。
次回のお知らせ
トークシリーズ「福井で仕事をつくる人たち」は、第5回を開催予定です!
今回ゲストが気になる次のゲストを呼び、今回ゲストが聞き手にまわる形でバトンを繋いでいきます。

第5回目は、2026年6月29日(金)19:00-21:00。ゲストはユニクッカの黒川拓夢さん。
トークイベントのお知らせはこちらのインスタグラムで発信して参りますので、どうかよろしくお願いします!
(文:カサマツ、編集:川上真理子)
| 屋号 | むらかみ道具店 |
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