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ワインと、定食と。逗子「le pissenlit」が繋ぐ、これからの暮らし方 

2026.07.31

JR逗子駅から徒歩2分。昼は和定食、夜はナチュラルワインを中心としたワインバーとして営業する「le pissenlit(ル・ピソリ、以下ピソリ) 」があります。
お昼には、大きな窓から光が差し込み、定食を目当てに訪れる人たちの穏やかな時間が流れます。夜になると、店内はぐっと落ち着いたワインバーの表情に。15席ほどの店内にはピアノも置かれ、これから音楽の時間も生まれていきそうな気配があります。

ワインと、定食と。逗子「le pissenlit」が繋ぐ、これからの暮らし方 

ワインと、定食と。逗子「le pissenlit」が繋ぐ、これからの暮らし方 

店主の岸部兼太郎さんは、葉山出身、逗子在住。もともと地元で店を開きたいという思いがあり、駅からの距離や日々の使いやすさを考え、2026年3月に逗子でこのお店をオープンしました。

「ワインバー」と聞くと、少し構えてしまう人もいるかもしれません。でも、ピソリではお昼に定食を食べに来る人もいれば、夜にワインを目当てに訪れる人もいる。ワイン以外のお酒もあり、唐揚げとビールで一杯、という過ごし方もできるそうです。そこには、誰もが気兼ねなく過ごせる空気があります。

今回は店主の岸部兼太郎さんに、お店を開くまでのこと、ナチュラルワインとの出会い、そして逗子・葉山で店を営むことについて伺いました。

ワインと、定食と。逗子「le pissenlit」が繋ぐ、これからの暮らし方 

ワインに出会い、フランスへ

岸部さんが飲食の仕事を始めたのは、22歳の頃。バイクのメカニックのお仕事をやめて、そろそろどこかで働こうと考えていた時に、学生時代から飲食店でのアルバイトが好きだったこともあり、逗子で長く愛されるダイニングバー「match point(マッチポイント)」でアルバイトを始めました。

ワインと、定食と。逗子「le pissenlit」が繋ぐ、これからの暮らし方 
店内のインテリアの一部はマッチポイントから受け継いだそう

そこで、料理をひと通り経験。その当時、お店でワインを扱っていたものの、詳しい人があまりいなかったことから、自分がやろうとワインの勉強を始めます。
「勉強しようと思って藤沢のワインショップに行きました。そこで選んでもらったワインが、すごくおいしくて。単純に、ワインが好きになってしまったんです」
ワインと、定食と。逗子「le pissenlit」が繋ぐ、これからの暮らし方 
その出会いから、岸部さんはナチュラルワインの世界へと惹かれていきます。2016年にはワーキングホリデーで単身、フランス・リヨンへ向かいました。

リヨンのレストランで、たまたま日本の知り合いと現地の生産者が一緒に食事をする機会があり、これはチャンスだと、その後、直接生産者へメールで連絡し、「勉強させてほしい」とアプローチを重ねました。

最初は断られたものの、やり取りを重ねるうちに「まずは2週間くらい来てみたら」と受け入れてもらえることに。そこから、ボジョレーでの暮らしが始まりました。

 

ワインづくりより先に、暮らし方があった

お世話になった生産者の家には、グランドピアノが置かれていたそうです。フランス語がうまく話せなかった岸部さんは、少し弾けたピアノで、子どもたちにジブリの曲を弾いてあげたり、家族と一緒に音楽を聴いたりして過ごしました。
「なんとなく一緒に音楽を聴いたりして、気が合って。そこから、ここにいてよし!と受け入れてもらえた気がします」

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最初にお世話になった生産者のワイン
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その年のワインは岸部さんが描かれたラベルになっています

その後、紹介を通じて他の生産者のもとにも手伝いに行くようになり、畑仕事から収穫、醸造、剪定まで、ワインづくりの一連の工程を経験しました。 そこで岸部さんがフランスで学んだことは、ワインづくりの技術そのものだけではありませんでした。
「一番よかったのは、一緒に生活したことですね。作り方よりも作り手の生き方のようなものを体感することができました」 水の使い方、洗剤の捨て方、普段の食事。ワインだけが自然派なのではなく、日々の暮らしの選択とワインづくりが地続きになっている。その姿が、岸部さんにとって強く印象に残ったと言います。
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「こういうふうに生きていきたいから、俺たちはこういうワインをつくる。このつながりがちゃんと見えたのが、すごくかっこいいなと思って。帰ってきてから、じゃあ自分はどうやって生きていきたいのかを考えるようになりました」
ナチュラルワインを扱うということは、単に“自然派のワインを選ぶ”ということではなく、どんな暮らし方を大切にしたいのかを考えることでもありました。

 

なぜ、ワインバーで和定食なのか

この生き方の感覚は取り扱うワインだけでなく、お昼の和定食にもつながっています。
「フランスにいるときに、日本の文化や感性について聞かれることが多かったのですが、当時はなかなか言葉にすることができなくて。これではいけないと思い、日本に帰ってから出汁を引くところから始めました」
外に出たからこそ、自分の足元にある食文化を大切にしたいと思うようになった岸部さん。ピソリのご飯は鍋で炊き、味噌汁はかつお節を削って出汁を取ります。

ワインと、定食と。逗子「le pissenlit」が繋ぐ、これからの暮らし方 

ワインと、定食と。逗子「le pissenlit」が繋ぐ、これからの暮らし方 
ワインを飲みながら、温かいお出汁もいただきました

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顔の見える食材を使いたい

ピソリで使う食材は、地元のものが多いそうです。 魚は逗子の店から。鶏肉は地元で知られる鶏肉店から。野菜は葉山・上山口の同級生の畑から、週に一度仕入れに行くといいます。
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「基本的には、自分が安心できる人のものがいいなと思っています。地元のお店のものを使っていきたいです」
葉山出身で、現在は逗子に暮らす岸部さんにとって、この地域はずっとお世話になってきた場所でもあります。
「そろそろお世話になった皆さんに、まちに返す側になってくるので。ここに来た人が、またつぎの方へ返していくようにつないでいけたらいいなと思っています」
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素材を仕入れることも、店を営むことも、誰かとの関係の中にある。フランスで見てきた、生活とワインづくりが地続きにある感覚は、逗子・葉山での店づくりにも自然につながっているように感じます。

 

昼も夜も、気兼ねなく使える場所へ

現在、お昼は地元の方が多く、夜は地元の方に加え、逗子や鎌倉、藤沢などからワインを目当てに訪れる人もいるそうです。

友人や知人が集まり、少しずつ仲間が広がっている一方で、岸部さんは「もう少し間口を広げたい」と話します。 昼に出すワインも、難しい説明が必要なものではなく、カジュアルなワインも中心にしているそうです。
「詳しくないと飲んじゃだめ、みたいなのはあまり好きではなくて。お昼にはそんなに考えなくて美味しいとガブっと飲めるワインも取り扱ってます」
ワインに詳しくなくてもいい。まずは、おいしい定食を食べて、明るい店内で少し気持ちよくなって帰る。それくらいの軽やかさが、ピソリの昼にはありました。
「地元の人に一番、気兼ねなく使っていただきたいですね」

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地元の方とお話する岸部さん

ワインを飲みに来てもいいし、定食を食べに来てもいい。ビールを一杯飲んで帰ってもいい。昼も夜も、ふらっと来て、なんとなく心がほどける場所。
“ワインが主役の店”でありながら、同時に“思い思いの時間を過ごす場所”でもあるのだと思います。

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クラフトビールと唐揚げも最高でした

逗子・葉山で店を持つということ

もともと念願だった地元での出店ですが、 実際にオープンして、逗子・葉山で店を営む難しさも感じているといいます。
「今は、夜は移住されてきた方が中心に来てくださっています。そこをどうやったら、地元の人が気軽に来てくれる場所にしていくのか。それが次の目指すところだと思っています」

ワインと、定食と。逗子「le pissenlit」が繋ぐ、これからの暮らし方 
店の前を行き交う、逗子の日常の風景

長くこの地域に暮らしている人と、逗子・葉山の暮らしに惹かれて移り住んできた人。そのどちらにも開かれながら、まずは地元の人が気兼ねなく使える店でありたい。岸部さんの言葉からは、そんな思いが伝わってきます。

店内に置かれたピアノでは、今後ライブもできたらと話してくれました。フランスで、言葉を超えて音楽から関係が生まれたように、逗子のこの小さな店でも、食事やワインや音楽をきっかけに、新しいつながりが生まれていくのかもしれません。

ワインと、定食と。逗子「le pissenlit」が繋ぐ、これからの暮らし方 

「何か、心地よくなって帰ってもらえたら一番いいですね」

昼は定食を、夜はワインを。時間帯ごとに違う楽しみがあるピソリは、逗子のまちの日常の中で、ふらりと立ち寄れる場所になっていきそうです。

ワインと、定食と。逗子「le pissenlit」が繋ぐ、これからの暮らし方 

 

名称

le pissenlit(ル・ピソリ)

URL

Instagram:@le_pissenlit___

住所

神奈川県逗子市逗子1-5-21 第2菊池ビル3F

営業時間

月〜金 11:30–14:00/18:00–23:00
土・祝 15:00–23:00

定休日

日曜日

アクセス

JR横須賀線「逗子」駅 徒歩2分 /京急逗子線「逗子・葉山」駅 徒歩4分