【北九州】まちの新しい歩き方「タイポさんぽ」って?
北九州市立大学 地域創生学群 片岡ゼミの編集チーム「つづる。」が身近な北九州の魅力を自分達自身の言葉で綴り、みなさんにお届けしていきます。

こんにちは!「つづる。」の、りのです。
今回は、新テーマ『タイポさんぽ』をご紹介します。
突然ですが、「タイポグラフィ」を知っていますか?
簡単に言うと、レタリングのようなもので、文字を装飾してデザインすることです。私は、小学校5年生のときにタイポグラフィに出会い、趣味で描いてきました。2026年3月からは『タイポ堂』という名前で、タイポグラフィやデザインの活動をしています。
今回は、私ならではの視点で、小倉のまちの看板や文字に着目しながら歩いていきます。
思わず二度見した不思議なバランス
最初に見つけたのは「船場エステートビル」の文字。
ビルやマンションの入口には、ほぼ必ず名前が書かれていて、一番身近なタイポだと思います。シンプルなものから、独特な雰囲気を醸し出すものまで、まちを歩きながら見ていて飽きない対象物のひとつです。

この文字、一見、なんてことのないありふれた文字に見えます。が、私は、「船場」と「エステートビル」のなんとも言えない絶妙なバランスに思わず二度見してしまいました。
「エス」がなんか大きいような、、、
「テート」が委縮しているような、、、
写真を撮って線を引いてみます。

カタカナと漢字はまったく同じ大きさでした。
文字をデザインするとき、基本となるのが四角の枠です。ふつう、カタカナは四角枠の中にひとまわり小さな枠をつくってデザインされます。
カタカナは、漢字と比べて余白が広いからこそ、少し小さめにデザインすることで、頭の中でバランスよく見えるようにされているのです。
しかし、このカタカナは四角いっぱいにデザインされています。「船場」のおとなしさと、「エステートビル」の張り切った感じが共存する、唯一無二の文字でした。
お祭りならではの提灯文字
歩いたのが7月中旬だったこともあり、小倉のまちには小倉祇園の提灯がたくさんありました。
こちらは、米町一丁目の提灯。

私が見つけた中での一番の推し提灯です。以前提灯の文字にハマっていた時期があり、籠文字(かごもじ)みたいでかっこいい!と一人で興奮してしまいました。
籠文字は、江戸時代末期から提灯や神社の札に使われてきました。相撲の番付に使われる寄席文字(よせもじ)に似た書体です。
余談ですが、火消しのときに着る半纏(はんてん)にも使われていた文字で、「加護字(かごじ)」とも呼ばれ、縁起のいい文字でした。
「米一」の力強い筆文字に、丸をベースに細線で描かれた稲のマークは、町紋だそうです。
籠文字「みたい」といったのは、筆の形が角張っているのが特徴的な籠文字に対して、「米一」は少し丸みを帯びているように感じたから。文字とマークの太さの強弱、今風な丸みを含んだ文字に、伝統的でありながらもモダンな雰囲気を感じました。
提灯への字入れは、最近では印刷が増えてきたものの、手書きで書かれることが多い伝統技術です。
この提灯が、どの方法で字入れされたものかはわかりませんが、提灯や看板など、手書きの技術に思いを馳せるのも、楽しみ方のひとつです。
不思議な壁画
続いて目に入ったのが「小林文具店」の壁。大正14年から小倉のまちを見守ってきた歴史ある文具店です。いつもは通り過ぎてしまっていたのですが、この日は目に飛び込んできました。

一度気になると抜け出せません。ピカソのゲルニカに似ているような、アルファベットを並べたら何か言葉ができそうな、、どんどん想像が膨らみます。
気づけば3分もこの壁を眺めていました。
文具店だからか、鉛筆や三角定規のような形、割り算の記号のようなものもあります。アルファベットも無数に書かれていますが、DやQなど書かれていないアルファベットもあるようです。
不思議な絵でした。
続いて、小倉のまちでお気に入りの眼鏡店の看板を2つご紹介します。
さりげないこだわりが光る眼鏡店の看板
1軒目は「松田眼鏡店」。

ぱっと見は、シンプルな明朝体のように見えますが、よく見ると、「松」「眼」「鏡」の中に丸が隠れています。こういう、気づくか気づかないかくらいのさりげないこだわり、個人的にすごくときめきます。

はねやはらい、「田」や「口」の下の部分、横棒の両端のセリフと呼ばれる飾り。文字を解剖していくと法則が見えてきます。
全体的に、縦にも横にも直線的だけれど、下のほうだけ跳ね上がるような文字。喫茶店のような、舞踏会のような、どこか懐かしささえ感じられました。
THE眼鏡店な看板
2軒目は「めがねのオガワ」。

「オ」「ガ」「ワ」に共通する、左払いの形をベースに、デザインしたのでしょうか。左に伸びるカーブが特徴的です。
黒丸がリンクした、「めがね」の「が」、「オガワ」の「ガ」の点々と、目。おわん型になった看板の形もレトロで好きです。
視力表が看板に描かれているのが眼鏡店ならではで、赤いメガネも目を惹きます。この日は動いていなかったのですが、目がゆっくりぐるぐると動きます。たまたま上目遣いになって、かわいく撮れました。
タイポさんぽのススメ
今回は5つの文字を紹介しましたが、他にもたくさんのおもしろい文字がありました。たまには顔を上げて、まちの中にある文字に注目してみてはいかがでしょうか?
フォントの背景や、隠された想いを考えてみると、新しい発見があるかもしれません。
(文・写真:りの)
※この記事で紹介している価格は取材時のものです。











