山形ラーメン、ダイバーシティ放浪記_04「麺の違いの楽しさを存分に味わえるつけ麺」
「山ラー」のまち山形市は「ラーメン多様性のまち」。
これぞ山形のラーメン!という典型はないけれど、昔ながらの中華そば、鳥中華、冷たい肉そば、冷やしラーメン、辛味噌ラーメン……などなど実に様々なラーメンが共存する豊かなラーメン生態系のまち。そして、目を凝らしてよく見れば、そこには主流のカテゴリーに属さない、ひときわユニークなマイノリティが存在する。わたしたちが生きる「山ラー」のまちは、「ガラパゴス的ラーメンの楽園やまがた」でもある。
ガラパゴスが「進化の実験場」と謳われるように、山形のまちは「ラーメンの進化の実験場」かもしれない。これまでここに報告してきた「どんどん焼きの乗ったラーメン」「山菜と牛サガリのラーメン」「牛肉と大根の煮込みが乗ったラーメン」はいずれも、他に類を見ない、山形でしか出会えない、不思議な進化を遂げたものたちばかり。非常に興味深いサンプルであった。

さて、今回紹介するのは、山形市落合にある「めん僮楽」の「つけ麺」である。
この店でつけ麺を注文する際には、スープは醤油味、味噌味、塩味の3種類から選ぶことができる。そして、注目すべきことに、麺もまた3種類から選ぶことができる。それぞれ、僮楽麺(もっともオーソドックスに近い、黄色い中華麺)、全粒粉麺、黒小麦麺とある。替え玉もできる。
今回は「つけ麺を、味噌味スープで、僮楽麺で」オーダー。その際、さらに「最初から、替え玉として、全粒粉麺、黒小麦麺を付けてください」というお願いをしてみた。そして登場したのが写真のものである。
麺の、色が違う、太さが違う、歯切れが違う、もちもち感が違う、ツルツル感も違う、風味が違う……ということくらいは、決して味覚が鋭いわけではない私にもなんとなくわかる(ような気がする)。「なるほど、それぞれ、なんか違うわぁ」と言えて、ちょっと心がおどる。「違いがわかるわぁ」と言えるというのは、「もしかしたらじぶんは案外敏感な舌を持っているんじゃないかしら」と自尊心をくすぐるところがあって嬉しい。違いがわかるという楽しさや嬉しさこそ、このつけ麺が体験させてくれる価値だと感じた。
ただし、弱点がある。
3種類を1玉ずつオーダーすれば、こちらは麺を3玉食べることになる、ということだ。きわめてあたりまえのことである。しかし、このあたりまえが苦しい。50歳をすぎて麺を3玉食べようとすれば、楽しい境地を超えてすぐに苦境に入る。完食はした。けれどそのかわり、「ごちそうさまでしたぁ」と言った瞬間にゲフッ!と胃から喉へ、さっきまでつけ麺であったものたちがさかのぼってこようとするのを感じた。家に帰ってからもずっと夜中までお腹いっぱいがつづいた。
探検とは、ときに苦しさや辛さが伴うもの。あらためてそのことを身に沁みて感じる。だが、やはり、新しいなにかに出会うためには、ときには危険を冒すこともいたしかたないのだ。
なにせ私たちは、今日もあしたも、未知に溢れたこのガラパゴス的世界を生き抜いていかねばならないのだから。















