real local 山形【移住者インタビュー】インテリアコーディネーター・戸田真奈美さん | reallocal|移住やローカルまちづくりに興味がある人のためのサイト【インタビュー】

【移住者インタビュー】インテリアコーディネーター・戸田真奈美さん

インタビュー
2026.10.21

2026年2月。あこや町に新しい学生マンション「J-012」がオープンしました。全室家具家電付きのデザインルーム。3つの部屋のスタイルがあり、1階には漫画や雑誌が置いてあるラウンジもあります。その内装を担当したのがインテリアコーディネーターの戸田真奈美さんです。2024年に関東から夫の地元である山形に家族3人で移住(戸田さんの場合はJターン)。関東の仕事をメインにされていた戸田さんが山形で初めて担当したのがこの学生マンションだったそう。山形でフリーランスとして働くこと、そして子育て、暮らしについてお話を伺いました。

【移住者インタビュー】インテリアコーディネーター・戸田真奈美さん

関東での仕事を継続しつつ、山形を開拓中

―――山形は旦那さんの地元で戸田さんのご出身は茨城だそうですね。関東を離れて、山形にJターンをしようと決めた理由は何でしたか?

戸田:私は大学のときに茨城から神奈川に出てきて、結婚してからも神奈川に住んでいました。夫婦共に個人事業主なのですが、子どもが生まれるとなったときに、家族の助けなしで生活できるのか…?と不安に感じ、どちらかの地元に引っ越したほうがいいのでは、と話し合う機会がありました。私の地元に引っ越す案もあったのですが、生活のしやすさや仕事のことなど総合的に考えて山形に決めました。

―――山形に住む決め手になったのは、どんな理由でしたか?

戸田:移住を決める前に山形市が行なっているオーダーメイド型移住体験ツアーに参加したことが大きいです。そこで私たちのような個人事業主で子育てをしている世帯をモデルケースにしたツアーを組んでくださいました。スーパーを見学したり、子どもの遊び場としてコパル(シェルターインクルーシブプレイス コパル)を紹介してくださったり。担当してくださった方が細かく山形の魅力を紹介してくださり、その情熱に心を打たれました。山形で暮らすことを中々想像できていなかったのですが、そのツアーに参加して、かなり具体化できたんです。

―――戸田さんのようなクリエイティブな仕事だと地方で働く不安はありますよね。

戸田:そうですね。夫はアプリの開発をしていてパソコンがあればどこでも仕事ができるので、関東にいることは私の仕事のためという部分が大きかったと思います。でも子育てと並行してフルで仕事ができるのだろうかという不安もありました。仕事と子育て、両方のバランスを考えたときに関東に住んでいる理由が薄くなっていって。山形市なら東京で仕事があっても新幹線ですぐに出られるし、義両親も近くにいてくれるので、大丈夫じゃないかなという安心感がありました。また、体験ツアーのときにスタートアップステーションのジョージ山形にも連れて行ってくださって、いざ山形で仕事を始めたいってなったときにもサポート体制がありそうだと感じました。相談先があることは心強いですし、移住する前に知れたことで1番の懸念事項だった自分の仕事がクリアになったのが決断できた理由だと思います。

―――個人事業主にとって相談先があることはかなりありがたいですね。仕事で東京に行かれることも多いんですか?

戸田:取引先に関東を離れるとき最後の挨拶のつもりで「山形に行きます」と伝えたら、「リモートでお願いします」と、言っていただけて。そのまま継続して仕事を担当させていただいています。山形でイチから開拓していかなければいけないと思っていたので、とてもありがたかったです。打ち合わせやプレゼンなどで東京に行く機会はありますけれど、基本は自宅作業がメインです。今は関東での仕事の比重が大きいですが、交通費がかかったり、相手の企業さんに負担がかかってしまう部分もあるなとは感じていて。どちらかに比重を置くのではなく、山形でも仕事を広げていきたいと思い始めてもいます。

【移住者インタビュー】インテリアコーディネーター・戸田真奈美さん
戸田さんがインテリアを手掛けられた学生マンション「J-012」

―――あこや町の学生マンション「J-012」は山形での初仕事と伺いました。

戸田:はい。去年の4月に子どもが保育園に入園し、本腰を入れていこうと考えていたタイミングで建設会社の社長さんにお会いする機会があり、プロジェクトに参加させていただくことになりました。7階建てのマンションで階ごとに3色のイメージカラーを変えています。今年入居が始まったので、完成まで約1年半関わらせていただきました。

―――とくに、こだわった部分はどこですか?

戸田:大学1年生の女性が多いと聞いていたので、初めて親元を離れて暮らす学生たちが少しでもさみしくない空間にできればと思いました。明るい気持ちになれるピンクやグリーンなど帰ってきたときにホッとするカラーリングを使用しています。ぬいぐるみに癒やしを求める方もいると思うので、ラウンジは生き物のアイコンを置いて安心感を得られる空間に。米沢の伝統的な木彫り「おたかぽっぽ」も置いてみました。

【移住者インタビュー】インテリアコーディネーター・戸田真奈美さん
1階にあるラウンジ。グリーンや柔らかい色味の家具、動物モチーフを置くことで落ち着けるスペースになっている。

―――山形での仕事は開拓中という感じでしょうか。

戸田:そうですね。最近ですと、天童市に新しくオープンしたお菓子店「Kashi .Labo .Tsumugiiro/紬彩」さんの店舗デザインを担当させていただきました。それはジョージ山形に相談に行ったときに、同じように新規オープンの相談に来られていたオーナーをご紹介いただいてお仕事に繋がったんです。ジョージ山形の方がマッチングして次の一歩が始まりました。

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8月、天童市にオープンしたKashi .Labo .Tsumugiiro/紬彩の店舗デザインを担当。主役となるお菓子に集中できるよう、ノイズレスな空間に仕上げたそう。(写真提供:戸田さん)

―――フリーランスとしては取引先は多いほうがいいですし、山形と関東、どちらもバランスよく仕事を続けられたらいいですよね。

戸田:そう思います。インテリアのショップは都内に集中していたりするので、仕事で東京に行くのはインプットのためでもあります。それに私は山形が地元ではないので、今は親しい友人が関東に多くて。仕事の合間に友人に会えることもうれしいんです。息抜きにもなりますし、仕事の拠点が2か所にあるのは私にとってバランスが取れているように感じています。

移住してから生活がすごく便利になりました

―――移住されて2年、実際に山形で暮らし始めていかがですか?

戸田:神奈川で子育てをしているイメージができないほど暮らしやすさを感じています。神奈川の家は駅やスーパーまで行くのに徒歩20分ほどかかる場所だったこともあり、今のほうが生活がすごく便利になりました。子どもが生まれてからはベビーカーに乗せて移動になるので、雨の日とか買い物に行くのも億劫で…。山形では、車に乗ればどこにでも行けて本当に楽です!

―――車を運転するハードルはありますが、慣れてしまえば楽かもしれないですよね。

戸田:徒歩と交通機関の移動だと出かける度にベビーカーを準備したり、雨ならカバーをつけたりも。交通機関に乗るのも子連れだと大変ですしね。山形には家を出たらすぐ子どもが遊べる場所があるのも気に入っています。

―――公園の近くにお住まいとかですか?

戸田:川が近くにあって、家を出たらすぐ遊びに行けます。保育園に迎えに行くと、上のクラスの子たちが草の上をダンボールで滑っていたりして。外で思いっきり遊べる環境が身近にあるのを見て、地方で子育てをしてよかったと思いました。神奈川では、小さい公園にたくさんの子どもたちが集っていましたが、山形だと広大な公園で伸び伸び遊ばせることができる。素敵ですよね。加えてコパルやべにっこひろばといった屋内の遊べる施設もあり、雨でも雪でも遊べて助かっています。

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現在住んでいる川沿いのご自宅が気に入っているそうで、「次に住む場所も川沿いと決めています」と戸田さん。

空き家のリフォームが地域活性化に繋がって欲しい

―――山形に住んでいるからこそチャレンジしたいことはありますか?

戸田:全国的に地方に空き家が増えていると思うのですが、それをどう有効活用し地域活性に繋げられるかということを大学で研究していました。そこから内装や空間デザインに興味が出てインテリアコーディネーターの道を選びました。実は山形で住む家を探すのに非常に苦労した経験があって。空き家はたくさんあってもすぐに借り手がつくような状態の物件は少ない。そのときに少し手を加えたオシャレな物件が多ければ、移住したいと思っている人をもっと呼び込めるのではないかと思いました。

―――それは私もUターンのときに同じ経験をしました。古い物件でもオシャレにリフォームされていたら、住みたいと思いますよね。

戸田:そうなんです。もちろん金銭的な投資が必要になってくるので、ハードルは高いと思うのですが、初期費用をかけた分、賃料が上がっても借り手がつくような実例が増えれば空き家のリフォームはもっと進むんじゃないかと思いました。

―――壁の色が違うだけでも印象は違いますし、外観が古くても中がキレイなら問題ないように思います。

戸田:古い建物はリフォームするだけでだいぶ変わりますよね。内装のリフォームであれば、インテリアコーディネーターとしてできることがあるなと感じています。「この家なら移住してみたいな」と思ってもらえる空き家にアップデートしてくようなお仕事をしていけたらと考えています。子どもが大学で関東や別の地域に行ったとしても、また山形に戻ってきたいな、帰省するのが楽しみだなと思える街になったらいいですよね。

―――山形には個人でまちづくりの活動をされている方もいますね。

戸田:それも驚いていて。まちづくり、街の活性化は行政の仕事だと思っていたのですが、山形では個人活動をされている方もいらっしゃるようですね。そういう活動に私自身も関わっていけたらと思っています。例えば、新しく店舗をオープンするときに内装をどこで相談したらいいんだろう…と悩んでいる方の相談役になれたらいいなと考えています。そのひとつのきっかけが街の活性化に繋がっていったら、うれしいです。

【移住者インタビュー】インテリアコーディネーター・戸田真奈美さん
戸田さんは「人が集う場所をつくるお手伝いができたら」と話す。

 

戸田真奈美さん
arki
HP:https://arki.jp/

取材協力:株式会社ジェイ・エス・ビー

Text:中山夏美
Photo:渡辺然(Strobelight)