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【山形/連載】地域密着型スーパー〈エンドー〉へようこそ Vol.10

連載

2023.11.30

山形市長町にある〈エンドー〉は、地域密着型のスーパーである。創業は昭和40年。以来、地元の人々に親しまれ続け、日々、さまざまな顔が集う。そこにある時間と、ここにしかない風景。今日のエンドーでは、どんなことに出会えるだろうか。

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縁の下の力持ち。エンドーの「えりさん」

エンドーの遠藤えりと申します。私の仕事は基本的に、お惣菜やげそ天、おにぎりなんかを作ったり、イートインのお客様の注文対応をしたり、レジをやったりっていうように、お店の業務全般という感じです。ただ、魚売り場は店主の遠藤が担当しているので、私はほとんどやらないですね。

朝9時半ぐらいにはスタッフが揃うので、私もそれまでには家で制服を着て、頭には手ぬぐいを巻いた状態でお店に行きます。開店準備をしながらお惣菜をちょっとずつ作り始めて、できたものから並べて。そこからはずっとお店にいます。注文が入ったら作って、ちょっと落ち着いたらこれやって、次にあれやって、みたいな感じで一日やっています。

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エンドーで使っているのは沖縄の「竹塗り箸」。食堂をはじめ、飲食店では昔からこの箸が定番だそう。エンドーの店主である英則さんの妻・えりさんは、石垣島出身なのだ。

うちは子どもが5人いて、小学校、中学校、保育園と帰宅時間やお迎えの時間がバラバラなんです。家族が揃ったら、閉店後のお店で夜ごはんを食べます。その後に片付けをして、私が家に帰るのはだいたい21時過ぎぐらいですかね。

実家がこういう環境なので、子どもたちは地域の人たちに成長を見守っていただいている感じがありますね。お店の常連さんたちもかわいがってくださるので。お店が忙しくてみていられないときは、近所の電気屋さんのおばあちゃんのところで昼寝させてもらったり、なんてこともありました。だからうちの子どもたちには、いろんな「ばあちゃん」が何人もいるんです(笑)。

私の故郷は石垣島で、沖縄本島から南に400キロぐらい離れたところにあります。実は10月の終わりに4日間、子どもたちと一緒に帰郷していました。店主の遠藤と結婚して山形に来て以来、初めてのことです。家族全員で行くとなるとお店を休まなきゃいけなくなるし、子どもたちの学校や家のこともあるし、いろんな事情があってなかなか帰れなかったんですよね。今回このタイミングで帰りたかったのは、法事を兼ねていたこともあります。そんなときに同窓会の連絡もあって、次はいつ帰れるか分からないから、子どもたちも連れて思い切って行こう!ってことになったんですね。

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家族で初めての石垣島旅行。エンドー店主、えりさんの夫の英則さんは同行できなかったが、東京のお姉さんと家族を含む総勢9名での旅行となった。(画像提供:えりさん)

行き方としては、うちから車で30分ぐらいの山形空港から羽田空港に行って、羽田から石垣島までは直行便があるんです。今回は主人が仕事で行けないこともあり、私が子どもたち4人を連れてかなきゃいけないっていうのが不安で、休みの日は空港まで行く練習をしたりしてました(笑)。
乗り継ぎも含めて余裕がある時間で予定を組んだので、向こうに着いたのは夕方ですね。行きと帰りは1日ずつ移動でほぼ潰れちゃう感じなんですよ。現地ではレンタカーを借りて、観光地はもちろん親戚の家だったり、じいちゃんばあちゃんのお墓だったりを回ってきて。子どもたちの学校は休ませちゃったんですけど、いろんなことを一通りやって、帰ってきました。

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石垣島で過ごしたのは高校までで、卒業してからはずっと東京です。東京と石垣島の暮らしが半々ぐらいですね。進学や就職をするときに島を出る人は、東京や大阪が多いんですね。もちろん島に残る人もいますけど。そのとき私は、とりあえず東京で就職しようと思って島を出たんです。

仕事は飲食関係で、最初は洋食屋さんで5年ほど働いていました。しばらくのあいだアルバイトで働いてたんですけど、このままじゃいかんなあと思っているときに、知り合いが創作和食のお店を紹介してくれたんですね。そこで私が働いていたときに、主人が入ってきて出会ったんです。一緒に働いていた期間は2年ぐらいで、先に主人が転職してその後山形に戻り、少し経ってから私も山形に移住して結婚しました。

主人と出会うまで、山形には一度も来たことはなかったです。だから山形といえば、子どものころに観た『おしん』と大泉逸郎さんの『孫』(笑)。あとはさくらんぼって感じのイメージでしたね。

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先週開催された、お客様との忘年会も兼ねた「立呑みエンドー」。テーマは「石垣島」で、現地から食材を取り寄せ、泡盛も石垣島の酒造のものを。「当日は調理にいっぱいいっぱいで表には出られませんでしたが、たくさんのお客様の熱気を肌で感じることができました」(画像提供:えりさん)

こっちにきてからの生活は、やっぱり雪は多いなと思いましたけど、寒さよりも暑さがたいへんでしたね。夏の気温が39℃になったときにSNSでアップしたら、石垣島に住んでいる友人たちに「沖縄より暑いよ」っていわれましたから。

山形の食べものは、やっぱりみなさんがいうようにおいしいです。あとは県民性なのかなと思うんですけど、食べることにはお金をかけることを惜しまない。それから食材を選ぶときも、これは国産かとか県産かとか気にされる方が多いですね。安ければいいって感じでは選んでないと思います。それで私もこっちに来てから、自然とそうやって食べるものを選ぶようにしてたら、やっぱりおいしいなって感じるようになりました。

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遠藤に聞いてもらったら分かると思うんですけど、私に「自分で考えてものを作る」っていうセンスはないんですよ。アイデアを出すとか、新しいことをするのが得意じゃないっていうのは自分でもよく分かっていて。そういう特性や性格でいうと、遠藤は逆にそれが好きだと思うんですよね。だから私はサポートするほうが良いなと思っているんです。そっちのほうが向いていますしね。

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最初に、私の仕事はお店の業務全般っていいましたけど、一緒に働いているスタッフのみんながすごい動ける人たちなんですよ。お客様への対応も、注文を待っている方やレジに並んでいる方がいたらすぐ対応してくれたり、お店に入って来られてキョロキョロしてる方がいたら注文の仕方をお伝えしたりとか、もう誰が何をいうわけでもなく、それぞれがサッと動いてくれるので、本当に助かっています。「臨機応変」っていう言葉の意味が分かる人じゃないとできない仕事だなっていうのは、常々感じますね。

たとえば何か新しいことをするときに、うちでは事前の打ち合わせみたいなのはほとんどしないですね。逆にいうと、みんなを信頼してるってことなんでしょう。良くも悪くもやればなんとかなるって思ってるんだと思います。だから私たちはとりあえず合わせて動く。しょうがないかって思いながら(笑)。そうじゃないと回っていかないですからね。スタッフのみんなは、そういうお母さん的な立ち回りが得意なんじゃないですか。

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エンドーではいろんなことができるし、やらされている。なんていったらダメですね(笑)。ほかじゃ経験できないことをやらせてもらってるなっていう実感はあります。それは今いっしょに働いてくれているメンバーとじゃないとできなかったことですね。

お店がこういう感じになってからずっといるスタッフの人もそうですし、遠藤の姉の陽子さんやお母さんにも、私が出産や育児をしなきゃいけないときに何かといつも助けてもらってきたので。本当に頼りになる人たちなんです。

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遠藤はこれまでいろんなことをやってきたし、これからもやりたいことがたくさんある人なので、ひとりではどうしても手が回らないんです。そういうのを私たちみんなでサポートしていければ良いかなと思っています。

どこまでも突っ走る感じの人なので、私たちは後ろをちょっと掃除しながら、片付けたりしながらついていってるみたいな感じですね(笑)。もちろん「えっ?!」とか「そんな!」ってなるときもありますよ。でも、いろんな人たちが関わってくれて、お客様も楽しみにしてくれてるっていうのがあるから、やるって決まったことはやる。でも、いいたいことはちゃんといいますねって感じでいつもやってます。

どうせやるなら楽しくやりたいですし、ちょっと文句いったところでお互いクスッて笑えるほうが、愚痴よりは良いじゃないですか。そこは心がけてるつもりです。やっぱりこうやって毎日一緒に働いてくれている人たちがいるからこそ、今までいろんなことをやってこられたんだと思います。

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DATA
エンドー
住所 山形県山形市長町2-1-33
電話番号 023-681-7711
営業時間 10:00-19:00(日・月曜休)
https://gesoten.jp/

写真:伊藤美香子
文:井上春香