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山形県天童市・移住者インタビュー/ 野川さんご夫妻

インタビュー

2024.03.22

#山形移住者インタビュー のシリーズ。山形県天童市出身の野川喬平さんが、家業を継ぐためにUターンしたのは2021年のこと。奥様は渋谷生まれ・渋谷育ちの根っからの都会っ子。約10年の東京暮らしの中で出会い、山形県天童市で新しい人生を歩みはじめた野川さんご夫妻に、新しい命とともに育むこの地での暮らしについて伺いました。

山形県天童市・移住者インタビュー/ 野川さんご夫妻

家業を継ぐために
移住を決意

喬平さん:天童市内の高校を卒業してすぐに上京し、約10年ほど東京で暮らしていました。家業を継ぐためにいずれは山形に帰ろうとは思っていたのですが、コロナ禍をきっかけに山形に帰る決心がつきました。実家が山形を拠点とした地域密着型のグループ会社を展開しています。移住して間もなく3年になりますが、今は各種食肉卸・小売店舗事業の取締役という肩書きをもらい現場に出ています。

仕事では食品の品出しや接客、店舗運営などを担っています。食品を扱う仕事なので食べて勉強することが多いのですが、元々食に興味がある方なので楽しいです。東京に住んでいた頃は、AV設備設計の仕事で自分の働きが形として残るところにやりがいを感じていました。現在の仕事では代々の伝統を守ることが使命です。伝統を守りつつも新たに自分ができることを広げていきたいなと思っています。

最大の準備は
奥様へのプロポーズ

喬平さん:私の場合、移住に向けての最大の準備は妻へプロポーズすることでした。プロポーズする前に、妻の家族に会いしっかりご挨拶をして周りを固めていきました。妻には天童に何度か来てもらい、自分の両親を紹介して、天童がどんな場所かを見せていきました。

移住にあたっては、先に私が引っ越して、その1年後に妻がやってきました。1年間の時間差は、籍を入れるまでの猶予・準備期間です。親にもよく相談していたんですが、実はこの猶予期間は親からの提案でもありました。「仕事もままならないのに急に来てもらって大丈夫なのか」と。それから、山形に住んですぐに冬・雪だと大変なので、冬の時期を避けて春に来てもらい入籍をすることにしました。

奥様:山形に移住が決まったときは、何も分からなさすぎて想像もつかなかったですね。周りから「そんなにうまくいかないよ」と反対されることもありました。でも結婚しようと決めていたので、とりあえず行ってみようという感じで、とにかく新婚生活や結婚式が楽しみでしたね。

山形の生活はまだよくわからなくて、最初はやはり雪が心配でしたね。あとはどれぐらい実家に帰れるかも。両親も友達も東京にいるので離れて大丈夫かなという心配はありました。妊娠前は3ヶ月に1回ほど実家に帰っていました。天童は新幹線で1本で東京に行けるところがいいですね。

山形県天童市・移住者インタビュー/ 野川さんご夫妻

車必須の地方暮らし
最初は自転車で……

喬平さん:当初は空いていた祖父母の家に住もうかと考えてたんですが、妻の要望もあって賃貸マンションにしました。マンションは暑さ寒さに強いし、雪かきも楽ですし、近所付き合いも少ないので快適です。結果的に賃貸にして正解でした。今は子どもができて手狭になってきたので、そろそろ実家の敷地の方で一緒に住もうかなと考えています。

奥様:私は移住したばかりの頃はまだペーパードライバーだったので、市内を徒歩や自転車で移動していました。当時、結婚式の準備で自転車でいろいろなところに行っていたんですが、どこに行っても「自転車で来たの?」とびっくりされました(笑)。

喬平さん:東京にいる感覚だったら自転車で移動できる距離でも、山形では車で移動だもんね。僕も東京では全然車に乗っていなかったので、帰ってきたばかりの頃はこすったりしていました。でも、車は電車移動よりストレスがないのがいいよね。

奥様:子どもがいて東京で暮らすことを考えると、ベビーカーで混雑する電車に長時間乗ったりするのは大変そうなので、そこは良かったなと感じています。山形では子どもを車に乗せて一緒にドライブしたり、行動範囲が一気に広がりますね。

はじめての子育て
はじめてのママ友

奥様:山形に来てから子どもが生まれる前はダンスをやっていたんですが、妊娠してからはいけなくなってしまって。出かけることも減って、同世代の友達はあまりできませんでした。

子どもがまだ5ヶ月なので、今は子どもと家で2人でいることが多いです。息抜きしたいときは、駅前の「わらべ館」や「健康センター」で定期的に開催している親子向けの講座に行っています。わらべ館では月に1回、同じ月齢の子が集まる催しや全4回の「ベビープログラム」というのがあって、そこで出会った方とは連絡先を交換して、いわゆる「ママ友」がはじめてできました!

わらべ館ではスタッフの方が気軽に悩みを聞いてくれるので助かっています。市内にある「げんキッズ」は6ヶ月から参加できるプログラムが充実しているのでこれから利用するのが楽しみです。

喬平さん:実家は歩いて行ける距離なので、私が仕事のときに母に手伝いに来てもらっています。先日、初めて両親に子どもを預けて2人で出かけたんですが、新鮮な感覚でした。すぐ「帰らなきゃ!ミルクあげなきゃ!」って感じでしたけど、2人の頃とは違う新鮮さがありましたね。

山形県天童市・移住者インタビュー/ 野川さんご夫妻

子どもが生まれて
まちを見る視点が変わった

喬平さん:東京で暮らしていた頃は、とにかく2人でよく出かけていました。2人ともお酒が好きなので、よく飲みに行ったり。山形に来てからは夜遅くまで出歩くことはなくなりましたね。その分、家でご飯を作ってゆっくり食べたりと、家で過ごす時間が充実しています。

休みの日は、家族でランチに行ったり、子どもの遊戯施設に行ったりしています。昔はイオンモール天童がなかったので、今はだいぶ便利になりましたね。あと仙台にもよく行きます。

奥様:子どもが生まれてからは、まちの中のどの場所に授乳やおむつ交換ができる場所があるかに詳しくなりました。山形は無料の子育て遊戯施設や公園とか、子どもが遊べる場所が本当に多いですね。最近はご近所でお気に入りのお店も増えました。よく行くのは「焼きかつ 一歩堂」。ラーメン屋も美味しいところが多いですね。子どもが生まれるとお店を選ぶ基準も変わりますね。

喬平さん:子ども連れでも行きやすかったのは「日本料理 天華」。子ども用のイスが用意されていて、居心地が良かったです。僕は子どもが生まれてから、ラーメン屋に座敷席がある意味がわかりました(笑)。天童には新しい店もどんどんできています。最近はカフェも増えたのでカフェ巡りもしてるよね。

山の色で季節を感じる山形
うつろう四季と食文化

喬平さん:自分が年を取ったのもあるのかもしれないですけど、山形に戻ってきてからは、四季の移ろいや美しさを感じるようになりました。東京では音楽が好きで友達とバンドをやったりしていたんですが、山形に来てからは会社の方々とゴルフに行ったりしています。東京では自分がゴルフをやるなんて考えられなかったです。

それから、天童に帰ってきて改めて感じるのは、やっぱり食べ物が美味しいことですね。フルーツ、新鮮な野菜とか果物、お肉、ラーメン。とにかく美味しいものがたくさんあります。食べ物で季節感を感じることも多いです。さくらんぼもいっぱいもらえるしね。

奥様:そう、びっくりしました。さくらんぼ、ぶどう、ラ・フランス、高級フルーツが食べ放題ですから! それから私から見ると、山形・天童は、地域のイベントがたくさんあるのがおもしろいですね。人間将棋や芋煮、花笠とか、私の地元ではこんな大規模なものはなかったので。
逆に気になるのは、温泉街や駅前。活気が少なくてちょっと寂しいなと感じます。もう少し人が歩いていたり、賑わいがあるといいですね。

喬平さん:僕は帰ってきて改めて、山形県民の地元への愛の強さを感じてます。地元への誇りを持っている方が多くて、それが全国に認められると心から嬉しい。自社の商品もテレビに出るととても反響が大きいです。

それから仕事柄、季節によって売るものを変えていくんですが、山形県民はお盆やお彼岸など、季節の行事と地域固有の食文化をとても大切にしているなと感じます。東京で暮らしていると、山形ほど季節感を感じません。景色も変わらないし、山も見えないですし。山形は山の色で季節を感じますから、四季と食文化が強く結びついているんでしょうね。

山形県天童市・移住者インタビュー/ 野川さんご夫妻

ここはちょうどいい場所

喬平さん:山形に帰ってきてからは、子どもの頃見てたものと視点が変わって、意外と住みやすいと感じてます。昔はそうは思ってなかったんですけどね。田舎から出たいという気持ちで東京に行きましたが、ここは必要なものは全然揃ってるし、生活するには困らない。もっと山奥の場所だったら、妻に「一緒に来てくれ」とは言いづらかったかもしれません。

奥様:私の場合は、移住ですべてが変わりました。そんな中でも、東京にいると忙しかったり「いろいろしなきゃ!」となんとなくいつも急かされているような。とにかくすごい人混みで、ちょっとしたイライラが多かったり。ここに来てからは、そういうものから解放された気がしてます。

山形への移住を考えているなら
季節を変えて何度か来るといい

喬平さん:山形・天童の良さは一度訪れただけではわからないので、季節を変えて何回か来ると良いと思います。初めて来る時期は、冬は外したほうがいいかな。冬は冬で良いんですけど、それが生活に直結するとハードルになるので。私達の場合は一番最初は夏に来てまず山寺に登りました。

奥様:私ははじめて山形に来たときは、住みたいなとかはまだなかったんですが、実際住んでみるとすごくいいところだなと感じました。なので一度だけじゃなくて何回か来てみるのがいいと私も思います。

山形県天童市・移住者インタビュー/ 野川さんご夫妻

 

撮影協力:こみちカフェ
     天童市五日町二丁目2-28
     https://qbfq5.hp.peraichi.com/

 

取材・文:高村陽子
写真:渡辺然(strobelight)