鎌倉市御成町|小商いの集まりが生み出す新しい価値、「とすいハウス」をめぐる
鎌倉駅の⻄⼝、通称裏駅の御成商店街。その一角にオープンした「とすいハウス」は、小さな空間に個性豊かな店主さんたちの店が集まる小規模複合スペースです。まちの人がふらりと立ち寄れる場として、少しずつ風景をつくりはじめています。
今回は、事業をすすめる三姉妹の長女・石原さんの思いと鎌倉R不動産との歩みから、このスペースの面白さに迫ります。


この物件のご相談を初めて受けたのは2025年のこと。石原さんたち姉妹の実家だったこの住宅は、戦後期に祖父にあたる方が建てた築70年ほどの建物です。この昭和の建物を壊すことなく活⽤するためにはどのようにすべきか、というのが最初のご相談でした。
御成通りに⾯する建物で、路⾯側にはすでに2つのお店が⼊居しています。その奥側にお⽗様が住んでいた実家(居住部分)がある構造でした。住まいだった部分はとても丁寧に使われていましたが、商店街沿いの木造住宅をそのまま居住用として貸し出した場合、どれほどの需要が見込めるのか。さらにこの立地を最大限に活かすという観点から、それが事業主体にとっても、まちにとっても良い選択なのか――そんな検討がありました。
その結果「住宅としての趣はできる限り残しながら、事業用の建物へと改築していこう」。さらに「一棟貸しにして大きく手を加えられてしまうよりも、共用部を残しつつ現在の間取りを活かし、部屋ごとに貸し出す形にする」ということを決めました。
⼀棟貸しをすれば、正直なところ物件の管理などは簡単になります。そこをあえて「⼩商い」が集まる建物とし、⼿間をかけてこの建物や⼊居者たちとお付き合いをしていくことを石原さんたちは選んだのです。

古い⽊造⼾建なので耐震補強をし、建物を安⼼して使ってもらえるようにする。増築部分があって、商業⽤としては使い勝⼿が悪く思えた部分は思い切って減築し、その分建物の裏には、誰でも⽴ち寄れるフリースペースを設ける。既存の開⼝部を⽣かして、ひとが通り抜けできる動線を確保し、建物全体にお客様が⾏き渡るようにする、それぞれのお店は住まいであった頃の間取りを活かして区画を分ける…などなど。
設計‧施⼯管理を担当された建築家・⾨⽥岳⼈⽒、地元の⼯務店である株式会社N.hansの吉村淳⽒と⼀緒に、事業⽤物件とするための設計を進めていきました。また、⼀部の建具については葉⼭の桜花園さんからのアドバイスをもらい空間に馴染むものを選び、外構は商店街に馴染むように鎌倉ロコマート&ガーデンの⼩嶋淳志⽒がデザインするなど、⼯夫をこらしました。


「⼩商い」の募集を得意とする鎌倉R不動産と、御成通りの不動産会社の2社が、改修⼯事の完了前から賃貸募集を担当し、コンセプトなどを丁寧に⼊居希望者さんに伝えることで、⼩さく集まることの⾯⽩さや、⼀緒にやるからこその難しさと楽しさに共感してくださるテナントさんたちに入居していただくことができました。


オープン後は、定期的に入居者での「寄り合い(相談、意見交換の場)」を設け、お互いに助け合えるような関係づくりを目指していきます。
入居テナントは様々。個性的でかつ、鎌倉での暮らしに寄り添ったお店が集います。
【1階】
「INCENSE」アンティークジュエリー・雑貨の店
「Purushana」ヨガ・ヒーリング専門店
「HemingArts Onari Kamakura」暮らしの道具とアート
「ilu kamakura ゆげ」マントウサンドのお店
「柚月木」花と酒のある空間
【2階】
「yoi-宵-」酒とつまみとコーヒーと
「MERINO」アニマルボンネットと子供服のお店
「ひよりノこま」レンタルスペース
(2026年4月時点・順不同)



2階|「ひよりノこま」レンタルスペース
どのお店も、地元の⽅がフラっと⽴ち寄れるような気軽さと、安⼼して集える場をつくることを⽬的としてい るように思います。地域の⽅と観光の⽅が訪れることで⽣まれる鎌倉への還元や、コミュニケーションの循環 も、よい点だと思えました。


御成通りや鎌倉が地元のオーナーだからこそ、地域の特性をよく理解し、その上で「受け継いだ実家をどうしたら、もっと素敵に、開かれた場として活⽤できるのか」を考え抜いた石原さんたち。「とすいハウス」メンバーたちによる「新しい場」づくりというチャレンジは、これからも続いていきます。
| 名称 | 鎌倉御成・よりあいノま|とすいハウス |
|---|---|
| 業種 | 小規模複合スペース |
| URL | |
| 住所 | 鎌倉市御成町10-3 |
| 営業時間 | 各店舗による |
| 定休日 | 各店舗による |
| アクセス | JR横須賀線・江ノ島電鉄線「鎌倉」駅より徒歩2分 |












