real local 神戸山内さん。 - reallocal|移住やローカルまちづくりに興味がある人のためのサイト【インタビュー】

山内さん。

山内庸資さん/イラストレーター

2014.08.28

山内さん。

神戸の長田を拠点に活動しているイラストレーターの山内庸資さんという方がいる。

山内さんは現在、雑誌媒体や商品パッケージ、お店のイラストレーションなどを手がけている。

MOOK本「MY STANDARD VOL.2-大人の自分定番-」(主婦の友社)や、関西の人ならエルマガジン社から発売されている「ひとりで歩く神戸本」この表紙のイラストを見てピンとくる方も多いのではないでしょうか。

山内さん。

山内さん。

 

 R不動産のコアなファンの方なら?  Arts&Craftsが手がける、セレクト型で選べるリノベーションシステム「TOLA」   のイラスト説明を見て「あぁ、この人だったんだ!」となるかもしれない。

山内さん。

そんな山内さん、元々は、大学を卒業後10年間は油絵のアーティストとして関西で活動していたそうだ。実は、イラストレーションを書き始めたのはここ数年のこと。

油絵アーティストだった山内さんが、現在のイラストレーターとして活動するようになった経緯を聞いてみた。

「当時、僕は現代美術の世界で油絵の作品を発表していました。現代美術の世界はまだまだ閉鎖的だったので、美術の同業者向けではなくてもっともっと一般の方にも幅広く見てもらいたいと考えていました。」

 
5年前に訪れたアメリカへの旅が、山内さんの活動の分岐点になる。

 「アメリカでは、一般の人たちが当たり前のように美術館を訪れ、アートを生活の一部として楽しんでいました。暮らしに対する人々の意識の高さや、心から生活を楽しんでいるのを見て感銘を受けました。」

 帰国後、丹波篠山にある雑貨屋さんの“器とくらしの道具ハクトヤ”さんに、「ハクトヤで開催するカレンダー展の企画に参加しないか?」と声をかけてもらって、その時に作った自分のイラストのカレンダーが予想外に人に喜んでもらえて、ものすごく嬉しかったんです。
アメリカで感じたことと、自分の描いたイラストを身近な人たちに喜んでもらえた嬉しさが重なりリンクしました。それをきっかけに本格的にイラストレーションを始めて今に至ります。」

山内さんの中で何かがカチッとはまった瞬間である。

山内さん。
似顔絵を即興で缶バッチに。FACESHOP 2nd」(京都・みずのき美術館、2014)にて

今、山内さんはイラストレーターとして、神戸を拠点に雑誌や商品のパッケージなどの仕事もしながら、瀬戸内国際芸術祭や、アート小豆島+豊島2014にも参加している。

山内さんが行うのは、小豆島の町を移動式屋台でまわりながらイラストを描いていくワークショップ。
即興で小豆島にあるものや風景・住民の方々を山内さんがイラストで描き、その場で缶バッチにするかわりに、島の人たちからは物々交換で自分の持っている何かを交換しあうルールだ。

地元の人たちからは、お野菜や島の特産物、特技のマッサージや中にはお坊さんが祈祷を交換してくれたりする。

 私も、東京にいた時は全く知らなかったのだが、神戸と小豆島(香川県)を始めとする瀬戸内海の島々は意外と近いのだ。フェリーで約3時間なんと片道1,990円で到着する。

関西からの航路アクセスの良さもあって、今、小豆島にはイラストレーターの山内さんをはじめ、関西の若い建築家の方々や、デザイナー、劇団員の方など、小豆島の地元の方々と行政とが一丸となって小豆島の観光や誘客に関わっている。
3年に1度回催される瀬戸内国際芸術祭で繋がった地元の方々と、継続的に小豆島の魅力を伝えて行くプロジェクトである。

山内さん。
長田の丸五市場/そば焼き”いりちゃん”にて。こちらの焼きそばとビールでカンパイしながら話は盛り上がる。

  イラストレーターとして活動するなかで、東京に行こうと思った事はなかったのだろうか?どうして神戸なんだろうか?

「正直なところ悩んだ時期はあります。東京に行きたい!というよりかは、イラストレーターとして、やはり発信力の強い東京に行った方がいいのかな、と思いました。
けれど、こうやって島のプロジェクトに参加をしていると、自分の描いたイラストの対価としてお金だけではないものをもらえたりする。
地元の人たちも外からきた僕のようなイラストレーターや、クリエイターたちを喜んで迎えてくれて、“ありがとう〜”と言って自分の畑で採れた野菜や、小豆島のそうめんをくれたりするんです。その食材で2日位は生活出来ます 笑。
その時に、お金だけで生活していくのとは違うベクトルの可能性を感じました。

 神戸なら、生活を大切にしながらイラストレーションが出来るし、地元の人たちとつながって関わっていけるなと可能性を感じたんです。
僕は、イラストという媒体を通してどうやって地域とつながって関わり合っていけるか、どうすれば地域をもっと良くしていけるのか、そこに一番興味があるんです。」

日常とアートの調和を、イラストレーションなら可能だと導きだした山内さん。

山と、海と、島へのアクセスの良い神戸を拠点に、生活の豊かさや、そこで暮らす人の姿を今日も描き続けている。

■余談ですが・・神戸を拠点に活動している絵本作家さんや、イラストレーターさんって実は多いんです。神戸R不動産でも、東京から神戸へ、移住のお手伝いをさせてもらった方々もいます。
皆、口を揃えて言うのは、神戸なら山も海も島もすぐに行けて絵を書く環境にもってこい!なんだそうですよ。

 

(写真*1)

•小豆島醤の郷+坂手港プロジェクト「観光から関係へ Relational Tourism」馬木の寺子屋イラストの時間「小豆島シューティング」

写真:Hideaki Hamada
http://hamadahideaki.com

URL

http://yosuke-yamauchi.org

山内庸資 Yosuke Yamauchi 1978年京都生まれ。神戸在住。平面作家として作品発表しながら、イラストレーターとしても活動中。近年はインスタレーションや平面表現のなかでの立体的表現の作品制作、展示の企画・構成などにも携わる。主な展覧会に、「Nowhere City」(滋賀・成安造形大学、2013)「NEW OPEN AREA」(神戸・KAVC、2014)「FACESHOP 2nd」(京都・みずのき美術館、2014)

備考