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商店街にカルチャーの灯火を「シネコヤ」オープン

藤沢市 映画と本とパンの店《シネコヤ》代表 竹中翔子

2017.07.24

商店街にカルチャーの灯火を「シネコヤ」オープン

昭和の香りの漂う雰囲気ある店構えは、かつてこの商店街にあった写真スタジオから引き継いでいる。

2017年、4月。鵠沼海岸商店街に、「シネコヤ」がオープンした。

シネコヤは、不思議な空間だ。パン屋であり、喫茶店であり、貸本屋であり、おまけに映画も流れている。
新たに作られたものでは醸し出せない、独特の風情の中、シネコヤ代表の竹中さんにお話を伺った。

商店街にカルチャーの灯火を「シネコヤ」オープン
入り口脇の喫茶店スペース。レジにはパンのショーケースも設けられている。パンだけの購入、喫茶店だけの利用も可。

「目指しているのは、どれか一つにでも興味を持って来ていただければ、今まで知らなかった新しいものに出会える、カルチャーの発信地です」

商店街にカルチャーの灯火を「シネコヤ」オープン
シネコヤ代表の竹中さん。「文化を思わせる覚えやすい名前を」と考え、シネマに“寺子屋”や“芝居小屋”を連想させる“小屋”を合わせた。

かつて藤沢駅周辺には、三つの映画館があった。

竹中さんはそのうちのひとつでアルバイトをしていた経験を持つ。今、その映画館は全て無くなってしまった。
「無くなった時に、映画館ってもう無理なのかもしれない、という衝撃がありました」

商店街にカルチャーの灯火を「シネコヤ」オープン
本棚に囲まれた書斎のようなスペース。落ち着いた味のある雰囲気が好ましい。

映画館閉館を惜しむ声は多かった。
「映画館復活に向けて誰かが動くかな、と思っていました。そうしたら、自分も参加したいと。でも何も起きなかった」

自分ができる範囲でいいから、やってしまおう。

竹中さんは、「シネコヤ」のプロジェクトを立ち上げ、藤沢市内で映画の上映会を行う活動を始める。
いずれ、常設の映画館を開くことを思い描いていた。

商店街にカルチャーの灯火を「シネコヤ」オープン
映画の上映は階段を上がった二階で。現在シネコヤでは、二週間ごとのプログラム変更で月に4作品をかけている。

「大きな場所はいらないと思ってました。自分のやりたいことって、映画“館”ではないな、と思って。そこからの模索。自分のやりたい方向性を、しばらく決めかねていたんです」

商店街にカルチャーの灯火を「シネコヤ」オープン
シネコヤのロビー的空間。パン屋のイートインスペースは映画や本の合間で賑わう。席が埋まってしまっているケースも

映画館で働いていた時代に、好きだったのはなんだろう?

考えて浮かんだのは「ロビー」の存在だ。
「映画が終わって、ロビーで浸る時間が好きだったんです。同じ映画を見ていた知らない人が、ロビーで涙をぬぐってたりして。“ですよね、わかります”って心の中で思うみたいな(笑)」

「映画本編を見ている時は、集中して一人の世界。映画と自分の、一対一の関係。でも、実は劇場には他にも人がいる。共有できるものがあることを大切にしたいなと思ったんです」

商店街にカルチャーの灯火を「シネコヤ」オープン
本を読んだり、コーヒーを飲んだり、思い思いに過ごす観客。編み物をする人の姿もあった。

鵠沼のレンタルスペース・IVY Houseでの定期的な上映企画「隠れ家シネマ」「鵠沼シネマ」などを経て、満を持しての常設店舗オープンを実現させた。

常設店舗を開くにあたってこだわったことがある。

それは、ただ映画を提供するだけの場所にはしないこと。

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「どうしても入って欲しかった」として竹中さん自らオファーした“チコパン×クゲヌマ”。焼印の可愛らしい、どっしりとしたあんぱんは、ぜひ味わっていただきたい。このほか、ベーグルの“seanuts”が販売を行う日も

パン屋であり、喫茶店であり、貸本屋であり、映画小屋でもある。

現在シネコヤの店内は、パン屋とイートインスペース、1階奥と2階は貸本屋を主体とした《映画と本とパンの店》というコンセプトで、本も映画も楽しめる、新たなスタイルの空間づくりを行っている。

本と映画は関係が深い、と竹中さんは考えている。

「映画の魅力を伝えていくのと同じくらい、本の魅力も伝えていく場所にしたい。本の選定にも力を入れています。本と映画の深い関係も楽しんでもらえたら」

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テーマに合わせた本が並び、それに合わせて映画も選ばれる。より一層作品世界を楽しめる企画だ。

借りた本はどこで読んでいても構わない。1階で購入した飲み物を持って、映画を見ることも可能。

「あえて境界線を設けないスタイルは、鵠沼だからこそできることだと思っています。場所の持つ雰囲気って、大きい。いろんな場所で、上映会を行っているうちに、身についた感覚です」

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パイオニア型ですね、と伝えると「事の重大さをわかってないんです!」。可愛らしい素敵な笑顔だが、一からシネコヤを立ち上げてしまったパワーは計り知れない。

オープンから三ヶ月が過ぎようとしている。
「やっとスタート。今までは踏み出せばよかった。これからは、続けていくことを考えないといけない」

商店街にカルチャーの灯火を「シネコヤ」オープン

「日常から一歩離れて、自分と向き合える、元の呼吸に戻れる場所。物理的な場所のことだけじゃなくて、そういう場を自分の中に持つことは、人間にとって必要なんだと思うんです」

それを時に守り、時に担うのが、カルチャーの役割だ。

カルチャーの灯火を掲げて、シネコヤは、誰かにとってそんな場所であるべく、今日もパンを焼き、コーヒーを淹れ、本を並べ、映画を流している。

名称

シネコヤ

URL

http://cinekoya.com

https://www.facebook.com/cinekoya/

住所

神奈川県藤沢市鵠沼海岸3-4-6(鵠沼海岸商店街 旧カンダスタジオ)

TEL

0466-33-5393(代表)

営業時間

10:00〜20:00(L.O)
22:00(CLOSE)

定休日

毎週水曜日

業種

貸本屋・パン屋

料金

1DAY・1日出入り自由

OPEN:10:00〜22:00(予定)
一般:1,500円(貸本料)
小・中学生:1,000円(貸本料)
※18:00以降は1ドリンク付きます。

 

シネコヤ年間パスポート

1YEAR:10,000円(貸本料)
1年間の出入り自由、
オリジナル「シネコヤ手帖」を
プレゼントします。

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