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再生可能エネルギーに取組む!/Pelletman 高橋睦人さん・後編

2020.02.17

山形で再生可能エネルギー事業に取り組む先駆者たちとの対談を通して、その活動の原点や原動力そして未来のビジョンを探るシリーズ【グリーンエネルギー・フロンティア!】。

今回のゲストは、Pelletman(ペレットマン)の高橋睦人さん。聞き手は、ローカルエネルギーの研究者であり、東北芸術工科大学教授であり、そしてやまがた自然エネルギーネットワーク代表を務める三浦秀一さんです。

(前編はこちら)

再生可能エネルギーに取組む!/Pelletman 高橋睦人さん・後編
ペレットマン高橋睦人さん(左)と、やまがた自然エネルギーネットワーク三浦秀一さん(右)。2020年1月、ペレットマン小国本店内にて。

全国各地に広がってゆく
ペレットマンの事業と志

高橋:そんな感じで最初はぼくひとりで始めたペレットマンですが、ここ小国本店には男性スタッフ4人に女性がふたり、あとは冬場にだけペレットの袋詰めをやってくれる老夫婦がいたりと、スタッフが増えました。

三浦:雇用も生んで、素晴らしいですね。

高橋:基本として、ストーブを設置したお客さんへのペレット配達は自分たちでやるというつもりでした。だいたい車で1時間圏内のエリアはカバーしています。冬の間は車に100袋くらいのペレット積み込んでお客さんのお宅まで配達に行くというのを1日3回くらいやるでしょうか。基本的には担いで運びますから肉体労働ですけど、昔やってたローリーでの灯油配達に比べたら、タンクが満タンになるまで寒いなかで我慢して立ってるような辛い時間もないし油被ったりもしない分、ペレットの方が楽な気がします。それに経済的観点から見ても、灯油のような目先競争の果ての値段でやるよりは、ペレットの方が商売はやりやすいところがあります。ペレットを必要とするお客さんが十分な数になるまでは大変でしたけど。

三浦:この小国で雇用を創出しただけでなく、現在では鶴岡や酒田や米沢などいろんな場所にペレットマンの展示場を展開されていますね?

高橋:ペレットマン鶴岡店をやっているのは鶴岡で水道設備の会社をされていて、バイオマスボイラーによるお湯の循環を考えていた人です。酒田店をやっているのは酒田で木を切り薪をつくっていて、農業だってエネルギーだって同じ1次産業だって言ってやっている農家の方です。

再生可能エネルギーに取組む!/Pelletman 高橋睦人さん・後編

ふたりとも2012年に三浦先生と一緒にヨーロッパ視察に行ったときの仲間です。あのとき目の当たりにした先進的な仕組み、例えばボイラーや給湯などのあらゆるエネルギーに木材が利用されている光景に「こんな社会があるのか!」と本当に感動しました。それが単なる空想としてではなく、現実のモデルとして存在していることが励みになりました。ぼくらの周りの資源を考えれば「これ山形でもできるね」って本気で信じることができるから。

それで、日本に帰ってきてからも時々会って実際に何をすべきか喋っているうちに「確かにボイラーも熱供給もすごいけど、まずは木がエネルギーだということが知られていないのだから、ペレットストーブと薪ストーブをもっと増やして認知されないと次に行かないんじゃないか」という話になって「じゃあペレットマンやるよ」ということになったのです。鶴岡と酒田にペレットマンができたのはそういうわけです。

三浦:同じ志の方が様々なまちでペレットマンを始めた、と。

高橋:ええ。そういうパターンが自然と増えていきました。小国と米沢だけはうちの直営ですが、あとはそれぞれの地域で「やりたい」と言った人たちのお店です。北は八戸から南は所沢まで現在13店舗あります。

三浦:全体として仕入れを共有したりということはされているのでしょうか?

高橋:そうですね。例えばペレットの仕入れとかストーブメーカーさんとの交渉などについては共同でやっています。各地のペレットマンみんなで集まってメーカーさんと一緒に勉強会をやったり、考え方や機械や技術といったものをみんなで積み重ねています。

三浦:メーカーや工場といった取引先との関係も、ペレットマンとしての存在感が大きくなれば有利に働くところもあるでしょうし、利益も生まれやすくなりますね。どうしてそんなに仲間が増えていくんでしょう?

高橋:今まで一度もぼくのほうから募集をかけたことはないんですよ。たまたま繋がりができてお会いして話したり飲んだりしているうちに「じゃあおれもやる!」って動きになるんですね。決して営業トークをしているつもりはなくて、自分が体験したことや普段思っていることをそのまま言っているだけなんですけどね。

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地産地消のエネルギーで
地域経済を回すために

三浦:ペレットマンで現在、燃料として取扱いしている木質ペレットには2種類ありますね?

高橋:ええ、鶴岡産黒松でつくられた黒ペレットと、岡山県の米松でつくられた白ペレットがあります。

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三浦:木質ペレットをつくるというのは技術的に難しいのでしょうか。地元であるこの小国のまちの森の木々から簡単につくれるものではない?

高橋:かつて県の委託事業を受けて1年間だけやってみたことはあるんです。できることはできるんですが、木材の乾燥であるとか様々の条件を揃えて品質を安定化させるのはなかなか難しいことでした。日々お客さんに直接ペレットを配達しているぼくたちとしては常に安定したもの、いつも同じものを提供できないと、お客さんが困ることになるんです。

三浦:地元で生産することも大事だけど、それ以上に品質の良いものを安定的に供給できるかどうかが重要だということですね。

高橋:やりたい想いはあります。だって、ぼくたちはペレットマンと名乗っているのだから、そりゃ自分たちでペレットつくっていますと言えたらいいですよね。でも、例えば年間200トンのペレットを生産できる工場をつくると想定すると、その原料となる製材端材をぼくらはどうやって集めることができるのかとか、事業の収支はどうなのかとかを考えたとき、ぼくのなかでは合わないんです。やりたいことをただやることと、収支の合うものをちゃんと長く続けていくことは別のことです。社会に合うもの、お客さんに求められているものをやるということはとても大事なことなんです。

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小国でペレットをつくることを諦めたわけではありません。誰かがやるべきだと思います。でもそれが誰なのかというと、ぼくではなく、ぼくよりもずっと合理的にやれるはずの人がいるだろう、ということなんです。製材端材がいっぱい出るような事業をされている人であれば、ペレットの材料をより良い条件で揃えられる可能性がぼくよりもずっとあるわけですから。

三浦:なるほど。厳密に小国産でなくとも例えば鶴岡産でも十分に「地産地消のエネルギー」と言っていいだろうし、もしかしたら国内産でも考えようによっては十分かもしれない。地産地消をどこまで追求するかというのはそれぞれの考え方次第ですよね。もっと言えば、海外産ですらあっても再生可能エネルギーであるという価値は変わらないですから、石油よりはずっと地球環境にも経済的にもいいものなのですしね。

とはいえやはり「地産地消のエネルギーで、地域の経済を回したい」という想いから事業を始めた高橋さんですから、やはり本当の本当を言えば、できれば小国のなかでやれたら最高ですよね?

高橋:おそらく、自然とそうなるときがやってくると思うんですね。

ストーブの販売でもなんでもそうですけど、いろいろ試したりしているなかで、物事がなるべくしてなる時期というものがあるような気がします。本当にやりたいこと、本当に良いもの、そういうのはタイミングや環境が整うと向こうからやってくるものです。

だから、自分たちとしてはそのときのために準備だけはしっかりしておきたいと思います。いまは事業の基盤をしっかりつくって、同じことをしっかりとやり続けていくことなんです。
(2020.1)

text : Minoru Nasu  
photo: Isao Negishi

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